「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2020年05月12日(火)配信その2をお届けします。

 次回は、2020年7月7日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2020/05/12配信のハイライト(その2)

  • 低コストで信頼できる実験データ管理の方法
  • GAFAM株の高値とコロナの影響
  • コロナ後の新しいビジネスとしてのVR
  • 「活動を控える人類」の影響

低コストで信頼できる実験データ管理の方法

山路:じゃ引き続きよろしくお願い致します。じゃあその前に。

小飼:もう10万円入った方というのもぜひ。これから入るという方もぜひ。

山路:不要不急のサービスに使って、経済をまわしていこうではないですかと(笑)。じゃあニュースの話題行く前に、質問を視聴者の方から頂いているんで、それに関して行きましょうか。この方、大学の研究室で遺伝子組み換え実験なんかのことをされてる方らしいんですが、その実験データをここでは紙で記録しとると。

小飼:ああ、まあでも、それはべつに珍しいことではないですし、アメリカではLabnoteっていう言い方をするんですけれども、要はLaboratory Notebookの略ですよね。アメリカなのでA4からはちょっと離れた判型なんですけども、黄色いのが多いですね。日本のやつほど目が細かくないですけど、方眼紙になってて、要はなんでもわりとそつなく書けるようになってるんですよね。

山路:それを使っていちおう実験ノートとかつけなきゃいけない。たとえばパソコンでやったやつなんかでも、プリントアウトして糊でノートに貼り付けなきゃいけなかった。その方の上司とかに言わせると、ある意味そういうふうな紙のノートのほうが、改ざんとかしづらいし、管理しやすいところもあるんだと。ここの研究室はお金がないらしいんですが、そういうお金がないところでも、ちゃんと信頼出来る形で、改ざんされなくて、なおかつコストの安い実験データの管理、そうしたものっていうのは。

小飼:いやでも古き良きNotebookというのは、もうそのまま保管できるなら、保管してもいいと思います。でも最近は更に手軽な方法が出来ましたよね。一時期ScanSnapとか流行ってたというのか、今でももうブームではなくて、使っている人はもう手放せない定番みたいになっていると思うんですけども、最近はスマホで撮るだけでいいと。

山路:うんうん。

小飼:しかもそれを撮るに当たって、昔であれば今まで写真を撮ったら、書類のところだけクロップしてホワイトバランスを調節して、要は綺麗に保存したいと。なんですけれども、たとえばiOSですと今のやつは、OSにファイルというのが入ってて。このファイルというアプリでもう。

山路:スキャニング機能が。

小飼:そう、書類をスキャンというのがあるんですよ、これで。iOSお持ちの方、試して見て下さい。Androidにも似たようなことをするやつはいっぱいあります。たとえばAdobeもズバリ、Adobeスキャンというアプリを出してて、それで撮ると書類の部分だけ撮ってホワイトバランスとかっていうのもうまい具合に調節してくれて、というのをやってくれます。
だから普通にNootebookに記載してたやつというのは、もう写真でバックアップしちゃおうと。

山路:ただこの方がやりたいのは、後から改ざん、いつこの実験データが得られたかとか、後から改ざんされてないかとか、確かにこの研究者が記載したのかということを証明できるようなデジタルデータとして保存したい。

小飼:だからその人がやればいいじゃないの。だからデジタルデータというよりも、たとえばスマートフォンとかでやると何がいいかと言ったら、メタデータもその瞬間に生成されるわけですよ。いつ撮った誰が撮ったというのは、何もしなくても自動で記録されるわけですよ。

山路:それってでもExifデータとしてっていうことですよね。

小飼:まぁさっき言ったやり方でいうと、PDFにしてくれるんですけど、でもPDFのメタデータでやっぱり同様のものが取れます。

山路:それは証拠機能としては十分なんですか?

小飼:十二分でしょう。だから捏造すると言い張るためには、それこそファイルtoファイルで。

山路:デジタル署名するとかみたいな。

小飼:そうそう。

山路:話になってくるんでしょうけど。

小飼:だから、というところまで、要はアカウント偽造しなきゃいけないじゃん。
 要は撮って、自分のクラウドアカウントにあげちゃうというのであれば、少なくとも撮った人自体が不正使用としなければ、たとえばそれ以外の人が何かデータを捏造したり改ざんしようとしたら、たとえば自分以外の人がそのノートのページによからぬことを書いたり、たとえば俺は驚くべき証明を見つけたけど、この余白には書ききれないとかって落書きしたのだとしたら、照らし合わせればわかるわけですよね。

山路:うん、ただ本人が後から証明に使おうと思ったら、けっこう編集とか出来るじゃないじゃないですか。その撮った写真データ。つまり。

小飼:でも編集した部分というのが、わかれちゃう。要はPhotoshopでもIllustratorでもいいんですけど、普通に自分で絵を創作してたりする場合っていうのは、レイヤーを細かくわけますよね。写真撮ったものというのは、単一レイヤーに、要はレイヤー統合しちゃった状態なので、その上に足そうとした場合というのは、かなり露骨にわかっちゃいます。
 それ以前にあれですよ。要は自分のアカウントが盗まれない限りというのは、そこに挙げといたデータというのは、そう簡単には改ざん出来ないでしょうね。

山路:うんうん、それに今まで手書きでやってたんだったら、それに比べての証明と比べたらどうかと言われたらずっといい。

小飼:唯一トリッキーなのが、本来そういったデータというのは、そうたくさん出回らないから、簡単に検証できたということがあるんですけども、要は、いわゆるパクツイですよ。公にしちゃって、インフルエンサーとかその手の人というのが、あたかも自分が作りましたっていう挙げ方するのはいっぱいあるわけでしょう。そうするとオリジナルというのを探すというのも、ずーっと難しくなってくる。でもその場合もタイムスタンプがあれば、お前パクってるじゃないかというのは言えるわけですよね。

山路:そうか、複数のそういう要素みたいなことを組み合わせていけば、それなりの説得力のある証明手段にはなりえるのか。

小飼:今、1番簡単なのはパシャッ。今日ノートつけて、今日の終わりにパシャパシャパシャとやって。

山路:なるほどな、意外にあっさりと解決するみたいな。そうか、それでいいのか。

小飼:うん、慣れてくれば、ノートにやるものというのも、始めからデジタルでやるというのも、いいんですけども、100%デジタルにしなくてもいいんですよ。
 実際、今そのアナログとデジタルが混ざった、ちょうど潮目の過渡期的にあるのは絵を描く業界だと思います。マンガもそうですし、イラストレーションもそうですし。だからけっこう彼らがどういうふうにデジタルと付き合っているのかっていうのは、いろんな人で差があるじゃないですか。もう下書きは全部アナログで紙にやるけれども、色塗りのところだけはスキャンしてからPhotoshopでやるという人もいたら、もういきなりProcreateとかでビャっとやる人もいるわけですよ。

山路:まあ中間的な人もいますよね。

小飼:そうそう、だからその割合というのは、どれでもいいと思います。でも予めノート、手書きのノートつける習慣があるっていう人は、もうそれだけで改ざん耐性は強いと思います。だからデジタルと組み合わせると、ほぼ無敵なんじゃないですかね。

「iPhoneの中に残しておくの?」(コメント)

山路:って質問がコメント出来てますけど。そのパシャっとノートを撮影した場合、それなんかっていうのは、どう管理すればいいのかとか。

小飼:いや大してかさばりませんから。せいぜいものすごい勤勉な人でも、10万ページは作れないでしょう。一生かかって。

山路:アハハ、まあそうか、それに最近はクラウドのほうでも。

小飼:数万程度のオーダーであれば、今どきのクラウドというのは、ぺろりと飲み込んでくれちゃいますよ。1つ例外はあるかな。同じことを動画でやろうとすると、今のクラウドは流石にちょっと、色んなところが力不足なんじゃないかな。

「iPhoneの写真を何処かにコピーしたら、もう証拠能力はなくなるんですか?」(コメント)

小飼:うん?

山路:つまりiPhoneで撮影するじゃないですか、それを写真データ取り出して、どこかにコピーした場合、そのメタデータとかちゃんと保持されるか。

小飼:基本的に保持されますね、iPhoneの場合は写真のExifデータには、もちろんいつ撮ったの? というのはありますし。GPSのデータがあったら、だいたい何処で撮ったのかもわかりますし。前にも言った通り、コピーは簡単に出来るというのが、デジタル時代の大前提なんですよ。でも改ざんした場合というのは、後になりますよね。だからちゃんと因果ははっきりしてるわけですよね。ちゃんと電子署名するという方法もあるわけですよね。だから電子署名まで組み合わせたら、かなり改ざんというのは難しくなって、だからその後データを改ざんすると、今度署名が合わなくなるので。

山路:うんうん。なるほど、これ写真とか電子署名するソリューションって、普通にあるんですかね?

小飼:今のところは普通にどんなデータでも、デジタルでさえあれば電子署名出来てしまいますよね。だから特定のバイト列に対して特定の秘密鍵で署名すると、特定のビットパターンが現れるというのが、電子署名なので。

山路:つまり簡単に使えて、手軽に使えてそういう、ような電子署名的なソリューションていうのは、普及してるのかなと思って。

小飼:普及まではしてないんじゃないかな。ただたとえば電子メールとかっていうのは、電子署名に対応したメールアカウントであれば、メールを出すだけで署名してくれます。

山路:ああ、それでもう証拠能力としては、ある意味まあまあ。

小飼:十二分ですね。

山路:そもそもアメリカのほうでよく裁判とかになると、メールデータ探してそれを証拠にしてたりとかもするわけですもんね。

小飼:します。Gmailですとか、iCloudですとか、Outlookどうだったかっていうのはわからないですけども、少なくともこのドメインから差し出しましたという署名はしてくれます。要は、スパム判定されないための署名ですけどね。DKIM、ディーキムとかディーケーアイエムって言いますけれども、だからそれがあるだけでも、かなり強いですよね。

「写真をメールで添付して、自分宛に送ればいいのかな?」(コメント)

小飼:それでいいんですよ。

山路:なるほどね。時々そういうふうにやれば、より確実性が増すというふうになるというわけか。なるほどなるほど。

小飼:更に贅沢なことをいえば、ブロックチェーン化しちゃったっていいわけですよね。そうするとノートではなくて、一続きのノートブックがデジタル署名された、一連の人繋がりのデータということになって、完々璧々ですね。

山路:しかしまあ手軽に使えるソリューションがまだそんなに出回ってないですよね、それに関しては。

小飼:だけれども、スマホでノートの写真を撮るというのはもう、すぐ使える。

GAFAM株の高値とコロナの影響

小飼:(iPhone SEに関するコメントを読みながら)iPhone8があるので、これであんまり。
 ただね、最近時々キョドるというのか、要は明らかに中で走ってるプロセスが多くなりすぎて、操作したやつというのがだいぶ遅れて後で反応する。たとえばフリックしたら5秒後くらいにフリックされるみたいなのが時々起こるようになって、でもアプリのほうが悪さをしているんじゃないかなと。確かにSE2にすると、そういうもたつきとかっていうのもなくなるんだろうな、とは思いつつも。

山路:メモリ増えてるわけですもんね。

小飼:うん。だからあっちはもう、だって11とか11ProのCPUにガワだけ同じだという、僕このガワ凄い好きなので、確かにそそられる、特に赤いやつというのはそそられるんだけれども、あとそう、もう1つ億劫になっているというのは電話を引っ越すというのは、年々億劫にはなってますね。確かにiPhoneって1番引っ越ししやすいデジタルデバイスではあるんですけども、それでも鍵とかを兼ねてる場合っていうのは、やっぱり気をつけなきゃいけないですよね。

「え? めんどいか?」(コメント)

小飼:そう。

山路:Suicaの移動とかちょっと。

小飼:めんどいというよりも、億劫というやつですね。そう、Suicaとかっていうのは、いったんこれから外してあげてみたいなことをちょっとしなきゃいけないんですよね。

山路:あとLINEのトークの履歴をバックアップするの忘れないようにしねえとなとか。いろいろあったりはしますよね。

小飼:あと銀行口座使うトークンとかっていうのも、今や電話じゃないですか。だからちょっと億劫で、ちょっと気を使わなくちゃいけなくてというのがあるのが1つと、あとね、やっぱり現物見てからにしたくて、ヨドバシなりビッカメなり行けば実物触れるのはわかってるんだけども。まだそれに行ってないというのもありますね。でもまぁ買っちゃうのだろうか、だけども確かにな。

山路:もうほぼなんか買うフラグ立ってますよね。

小飼:フラグっていう程のものでもないじゃん。だって税込みで、ああ僕が書いそうなやつっていうのは、たぶん128のモデルなので5万円いくのかな? あれって。でもそんなものじゃん。

山路:いやまあでも、今回コロナ騒ぎで、消費落ち込むと言われてるわりにはAppleなんかもiPhone SEの新しいのを出したりとか。

小飼:とりあえず何も考えなくって、携帯に10万円も出すのがバカバカしいと思ってる人には今から薦めておきます。

山路:結局、それでスマホの需要が落ち込むから、Appleの株が相当下がるだろうなと思ったら、べつに下がってはいないという。さっきリンクを出したら。

小飼:(iPhone SEは)単なる速いiPhone8じゃないの?まあでもあれ、赤のモデルがあるんだよね。

山路:カメラちょっと良くなったみたいですけどね。

小飼:そうなの? そうなの? まあでも一つ目じゃん。

山路:何でこんなにアメリカの、主にGAFA。

小飼:Authenticatorの話題が出た、これやっとかよ、遅えよGoogle、仕事遅えよというのが。

山路:これってしかも、移行がしやすくなったというだけで、複数のデバイスの同期とかってまだやってないんじゃないかな。

小飼:そうなの? そうなの? 考え方としてはわからぬでもないんだけども、でもやっぱり鍵のバックアップって欲しいよね。

山路:あれ1Passwordなんかっていうのは、複数デバイスの同期あったりするから。

小飼:やってくれるし、iOSというのか、iCloudのアカウントを持ってると、全Appleデバイスの共通のキーチェーンが使えるというのもありますし。

山路:うんうん。

小飼:あとAuthyというアプリがあって。

山路:ああコメントでも、Authy一択って書いている人が。

小飼:Authy一択でしょう、今さらAuthenticator使うやついるのけ?

山路:アハハ、私は面倒臭いから、1Passwordに素直に金払っちゃってますけどね。

小飼:1Passwordは更にいいですね。更にいいですね。

山路:(GAFAなどの)株価が実態を反映してないんじゃねえの? っていう、その。

小飼:困ったことにGAFAの場合は実態反映してるんですよ。

山路:そうなの?

小飼:確かに、特にAmazonとか商売繁盛しすぎて、そう、不要不急のやつは後回しにしますと言ってるくらいでしょう。クラウド需要というのは否が応でも高まってるじゃないですか。皆さんデジタルデバイス使いますよね。というわけで、GAFAMに関しては、確かに需要の裏付けがあるんですよね。

山路:あれはじゃあバブルじゃない? バブルというかその過度な楽観では、GAFAに関してはない?

小飼:GAFAMに関してはないんですよね。

山路:ほう。