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小飼弾の論弾 #177「ブラックホールについて、思いっきり語ってみる」
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小飼弾の論弾 #177「ブラックホールについて、思いっきり語ってみる」

2020-10-02 06:00

     「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
     無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

     今回は、2020年07月21日(火)配信その2をお届けします。

     次回は、2020年10月13日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    2020/07/21配信のハイライト(その2)

    • まずブラックホールの歴史から
    • 「ブラックホールの境目から内側へは行けない」という発表
    • 「お金の一番の機能は?」と「全員が救われる」からわかりにくいベーシックインカム
    • 「決断を免責するための多数決」と「日本抜きで先へ進む」世界

    まずブラックホールの歴史から

    小飼:じゃあブラックホールの話から行きますかね。

    山路:はいはい。

    小飼:これは言われてみると、ああ、もしかしてそうかもという。

    山路:今までブラックホールって、よくイベント・ホライズン、事象の地平面とかあって、そこからは情報が出てこれないとか、そのブラックホールの中にあるものはわかんないみたいな話だったのが、それがブラックホールというのは別にそういう特別なもんじゃないかもよっていう話になってきている……ということ?

    小飼:ええと、そういうことでもないんだよね。

    山路:そうなんだ。

    小飼:じゃあまず、ブラックホールの歴史からいきましょう。じつはブラックホールという考えそのものというのは、コンセプトというのは、アインシュタインの前にあったんです。まだニュートン力学が宇宙の全天体を支配する法則だと思われていた時に、ブラックホールみたいなものがあり得るんじゃねと言った人がいます。ラプラスという人なんですけども。
     要は光よりも速いものというのはどうやら見当たらないんだけども、重力が十分強ければ、その光ですら脱出できないような状況になるよねと。
     ところがまだその頃というのは、光よりも速いものというのは見つかってなかったというだけで、なんで光が1番速いのか、宇宙のスピードリミットなのかとかっていうのはわかってなかったんですよね。

    山路:なんかエーテルとかが幅利かせてみたいな感じ?

    小飼:そうです。

    山路:エーテル物理学というのか。

    小飼:はい。それが光の速度というのが、単なるスピードリミットではないと示したのが、アインシュタインなの。

    山路:うーん。なんかこの宇宙の法則というか、そういうふうに出来てんだと、この宇宙は。

    小飼:だから相対論というふうに言っちゃってるんですけども、相対論というからわからないのであって、光速絶対論なの。光の速度というのは、自分がどんなに速く動いても、たとえ光の速度で動いても、同じ様に見える。

    山路:たとえば自分が光速で動く宇宙船に乗って、懐中電灯を前へ照らしても。

    小飼:光速は光速なんです。

    山路:光速は光速。ほう。

    小飼:だから光速を絶対にするために、何をしたかというと、時間のほうを変えたんですよね。
     時間のほうが短くなる。これをローレンツ短縮というんですけど、これが速度に光を代入すると、速度というのは、変な何だっけ? 割り算の公式みたいなのがありますけど、もう単純に言うと、距離を時間で割ったものですよね。もう少し後になると、割るのではなくて、微分するという言い方をしますけど、それはとにかくとして。分母が0というのは、分子が0よりも大きいものであれば、無限のほうに行くだろうと。
     要はローレンツ変換をかけることによって、光速度というのは一種の無限になる。だから無限よりも速いもの、大きな速度というのはないでしょうと。
     それがまだ特殊相対論なんです。特殊相対論というのはどういう相対論かというと、宇宙が真っ直ぐ曲がってない、歪んでない状態で成り立つのが特殊相対論だった。
     でも特殊相対論の時に光の速度というのは、特別なものであると。だからどんな時にも光速度は絶対的に光速度になるように宇宙というのは出来ているのだと。その後にさらに一般相対論というのが出来ます。
     一般相対論というのは、まぁ結論からいくと、宇宙はぐにゃってると、曲がってると。
     特殊相対論では光の速度は絶対だよって、要はだからじつは光速絶対論なんですけれども、一般相対論のほうは等価原理絶対論なんですよね。ここでいう等価原理は何かっていうと。

    山路:等価っていうのは、「等しい値」の等価。

    小飼:そう等しい、何が等しいかというと、たとえばクルマが加速した時に、背中に押し付けられますよね、だからこの時に生じる力と、重力によって生じる力っていうのは、もし自分がどういう状況に置かれているのかというのがわからないのであれば、区別出来てはいけないと。
     だから加速による力、加速によって生じる力も重力によって生じる力も同じであると。それを同じにするにはどうしたらいいかといったら、時空は歪んでいる。時空がそれに合わせて歪むようにすれば、確かに等価原理というのは成り立つよね、というのがこれが一般相対論なの。
     アインシュタインが出した時には、そこまでだったんですけども、それで1つのテンソルの式が出ました。それを律儀に計算した人がいるんですね。シュバルツシルトという人なんですけれども。だからこれも何たる偶然でしょうね。「黒い盾」でシュバルツシルトですからね。

    山路:ああ黒い盾が黒い穴を。

    小飼:うん、その人が「確かに光も出てこれないような曲率というのは、一般相対論的にありえますよね、アインシュタイン先生」って言ったんですよね。この時にブラックホールというのは、現代的な意味を持つように成ったんですよね。ブラックシールドさんです、シュバルツシルトさんというのは。

    山路:そういう今の時空の地平線みたいな、イベント・ホライズンみたいな。

    小飼:そういうものというのはどうしたら出来るかっていったら、要は曲率を大きくするためには重力を大きくしなければいけない。
     それだけ多くの質量を集めなければいけないと。その質量が集まったようなものっていうのは出来るかというと、理論的には可能だけれども実存はしないだろうね、というのがまぁ当初の予測だったんですね。
     ところが時代がもう少し経つと、チャンドラセカールという、これも後にノーベル賞をとったインド出身の物理学者が、中性子星よりも高密度な天体というのが絶対的に存在してしまう、というのを計算で示したんですよ。

    山路:おお。

    小飼:それはどういうことかっていうと、白色矮星というのは太陽とかの成れの果てが白色矮星になるんですけども、近場だとおおいぬ座のおおいぬ座α、シリウスの伴星が白色矮星なんだけど、だからものすごい密度が高いというのは知ってたんですよね。
     なんだけど、その密度がなんで確保されてるかというと、電子の縮退圧というやつなんですけども、これも耐えられなくなるというのを見つけたと。そうするとどうなるかというと、天体全体が、もう一個の原子核みたいになる。
     電子の殆どは陽子に吸収されて中性子になってしまうだろうと、これが中性子星なんです。その後に今度はオッペンハイマーが更に計算を続けてると、いや中性子星ですら成り立たない限界というのがあるぞと。

    山路:ほうほう。

    小飼:そうなるともう後がないと、潰れるしかないと。だからこれはもう、要はこの先がないと。だからいったん入ったら絶対出てこれないから、誰が呼び始めたんだろう? フレッド・ホイルだっけかな? ブラックホールと言い始めたのは。ブラックホールであると。単に理論的にそういうものが有り得るというだけではなくて、具体的にどういうプロセスがあったらそういう天体が出来てしまうのか、というのを示したんですね。だから一定以上の大きさの恒星が超新星爆発を起こすと、もう中性子星も通り越してしまうと。だいたい今の計算結果だと、太陽質量の8倍くらい。

    山路:意外にありそうな。

    小飼:そう、意外とけっこうあるんですよ。

    山路:え? それがはくちょう座X-1とかそんなような。

    小飼:はくちょう座X-1はもう起きた後なので。

    山路:そうかそうか。

    小飼:実際に大きな星ほど、燃え尽きて白色矮星になるなり中性子星になるなり、さらにブラックホールになるなりっていうのは速いので、大きな恒星ほど寿命は短いので、絶対今の宇宙の中にあるだろうと。実際に、そうしたら今度ははくちょう座X-1みたいな天体が見つかったと。
     今ではもうブラックホールというのは、存在疑うという人というのはもう物理学者の中にもいないんですけれども。

    山路:何か銀河の中心にもブラックホールみたいなのが。

    小飼:そう、ただ面白いことに今知られているブラックホールというのは、どれも超明るい。超明るいというのはブラックホールに落ちている物質が、落ちる過程でブチブチぶつかって、超高熱になるわけですね。

    山路:ジェットとかを出すみたいな感じで。

    小飼:その通りです、そう。だから、ブラックホールのまわりをぐるぐる回っている物質というのも、全部が落ちるわけではないですからね。却って弾き飛ばされちゃうやつとかっていうのもいるわけです。

    山路:ずーっと吸収され続けるわけではなくて、しばらく回ってるって。

    小飼:そう、実際にブラックホールは見えないけれども、そのまわりにいるものというのは、無茶苦茶明るいので見えてしまう。

    山路:わりと簡単に当りをつけて見つけられるようになった。

    小飼:はい、ところで20世紀の物理学には相対論ともう1つ大きなものがございまして、量子力学というのがございます。我々の日常生活でより身近なのは、じつは量子力学のほうなんですけども、何はさておき、この量子力学と相対論というのはじつはとっても仲がよろしくない。

    山路:理論的なつながりがないっていうこと?

    小飼:いや一般相対論から量子力学から両方学んだ人というのは、これをどうにかくっつけようというのがもう物理学者の悲願になってるんです。

    山路:大統一原理とか、そういう大統一理論とか何か、そんなような言われてるやつでしたっけ。それを目指してるみたいな。

    小飼:まぁそうですね。

    山路:人によって名前はいろいろ、何か大統一理論。

    小飼:まぁそうですね、というよりも、兎にも角にも量子論といのは凄い小さな世界に関してはとても良くその世界のことを説明するというのはわかりました。相対論というのは、とても大きな出来事に関してとてもよく成り立つというのがわかります。その中間あたりというのが、おっと失礼。

    (Siri:すみません、よくわかりません)

    山路:アハハ

    小飼:よくわからないよね、ニュートン力学の支配する世界なんですけども、幸いにして相対論というのはニュートン力学も兼ねると。あんまり時空が歪んでない、質量が集中してない世界では相対論でやっても、ニュートン力学でやっても同じ結果が出ると。

    山路:上位互換みたいな感じになる。

    小飼:そうそう、上位互換なんですよね。なんですけれども、どっちか片方の世界にだけ成り立つ法則というのは、法則未満ですよね。
     じつは量子力学が生まれたきっかけというのは、その前に片方の世界でしか成り立たない理論というのが2つあったんですよ。それは光の波長で、短い波長の近似する式と、長い波長を近似する式というのがぜんぜん違ってる。

    山路:へえ。同じ光なのに。

    小飼:これを同じ式で、そう証明できるものというのを、マックス・プランクという人が見つけたの。でも、それを説明するためには量子というのを仮定しなければいけない。そう、整数に支配されているものというのが。

    山路:とびとびの値ということ?

    小飼:そうなんですよ。そうなんですよ。

    山路:連続的な値でなくて。

    小飼:そう、だから宇宙に連続的でないものがあると。というのを仮定しないと成り立たない。ただしそれを仮定すると、光の、もう少し具体的に言うと黒体放射の。要は物を熱すると、まぁだんだんぼんやりと赤黒いのが赤くなって、更に白くなって青くなってという。そう、光のスペクトラムをとても上手に説明できた。
     だから量子力学というのは、やっぱり片方でしか、片方の世界でしか成り立ってなかったものというのを、両方の世界で成り立つようにしたから認められたわけですよね。
     だとしたら、量子力学の言ってることも相対論が言ってることも、両方成り立たなきゃいけない筈なんですよね、天体の現象とかも。

    「ブラックホールの境目から内側へは行けない」という発表

    小飼:で、やっとここで、このあいだのブラックホールの話ですよ。

    山路:はい、長えな前フリ。

    小飼:じつは前フリがもう1個ありまして、今は亡きホーキング博士の功績って何かって言うと、ブラックホールは黒くなかったと。さっきも言ったように、今実際に見つかっているブラックホールというのはみんな明るいと。
     ただ明るいというふうに言っても、ブラックホールのまわりにいるやつが明るく輝いてるだけで、要は光ってるのは取り巻きであって、ブラックホール自身ではないと。なんですけれども、ホーキング博士は「いや、ブラックホール自体も光る筈だ」と。

    山路:うん。

    小飼:どうやって光る筈だというと、ブラックホールには粒子が落ちるけども、ペアになる粒子の場合、片方がブラックホールに吸い込まれた場合というのは片方がもう出るだろうと。これ、ちゃんと計算するとその粒子のもとは何かと言うと、ブラックホール自身の質量だと。要はブラックホール自身が量子力学を考慮すると光らなければいけないと。
     そこの面白いのは、ブラックホールが大きければ大きいほど、暗くなると。
     だからブラックホール自身が蒸発する時の光というのを、ホーキング輻射と言うんですけれども。これが太陽質量の数倍とかその辺のオーダーのものだと、ホーキング輻射の温度を計算すると、宇宙の背景輻射の温度よりも低くなるんですよね。
     なんだけども、ものすごい小さなブラックホールというのは、ものすごい明るく輝くというのがわかってて、なので、そういう小さなブラックホールというのもあっという間にホーキング輻射で。

    山路:蒸発?

    小飼:蒸発してしまうと。だからそれがじつはビッグバン理論によると、小さいブラックホールというのも天体の超新星爆発だけではなくて、ビッグバンの余波でいっぱい出来た筈なのだと。なぜ見つからないかといったら、それもう蒸発しちゃいました、と。

    山路:へえ。

    小飼:ただこれ計算の結果だけであって、実際に蒸発するブラックホールが1つでも見つかってたら、ホーキング博士はノーベル賞貰えてた筈なんですよ。

    山路:うん、結局とってないんですよね。

    小飼:結局とってない。
     で、やっとだ、これが。凄い、前フリにどれぐらい使ったんだ、俺。はい。

    山路:アハハ。

    小飼:じつは更に今回凄かったというのは、今まで思われていたブラックホールというのは、要はここから内側がブラックホールという境目があります。これをイベント・ホライズンという言い方をしてたんですけども。

    山路:事象の地平線。

    小飼:事象の地平線。要はだからこの先に行くともうひたすら落ちるしかなくなるよと。

    山路:うん、外からはもうぜんぜん何が起こっているのか、わかんなくなっちゃうみたいな。

    小飼:そうなんですけども、今までも計算されてたように、じつはブラックホールに落ちてるものから、仮に皆さんブラックホールに落ちたと、落ちていくと考えて下さい。
     なんですけど、ブラックホールに近づくに連れて、時間も引き伸ばされるんですよ。だから落ちていく人の座標計では、そうそう、永遠に落ち続けているだけで落ちきらない。
     でも、それは事象の地平線を超えてからだと思われてたんですよね。

     
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    最終更新日:2020-10-21 12:47
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