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小飼弾の論弾 #253 「XRのAppleとAIのMicrosoftが激突、2026年には新マイナンバーカード?日本でも訪日客向け倍額コースが登場」
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小飼弾の論弾 #253 「XRのAppleとAIのMicrosoftが激突、2026年には新マイナンバーカード?日本でも訪日客向け倍額コースが登場」

2023-06-13 07:00

     「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
     無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

     今回は、2023年06月06日(火)配信のテキストをお届けします。

     次回は、2023年06月20日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    2023/06/06配信のハイライト

    • ビルボード国際チャート1位のYOASOBIと「ポケモンのすごさ」
    • AIと著作権と「ロジックってどこから出てきたのか」
    • Apple Vision Pro感想と「普及するには?」&新刊紹介
    • 視聴者質問「オープンソースとLLM」とストックオプションなどお金の話
    • 「マイナカードは義務?」と「聖書を撤去?」
    • 「農業の環境負荷」問題と「銃乱射事件を巡る4chan訴訟」

    ビルボード国際チャート1位のYOASOBIと「ポケモンのすごさ」

    山路:今日、タイトルにはAppleのWWDCとか、あとMicrosoftの話があるんですけど、とりあえずちょっと軽いところから。弾さんが好きなYOASOBI。

    小飼:べつにYOASOBIだけが好きなわけじゃないけど、いやでも。

    山路:かなり好きでしょ?

    小飼:かなり好きなのが多いよね。でも、軽い話題からって言ってる割には、全然軽い歌じゃないよね、これは。

    山路:ああ、そうね。歌(「アイドル」)の内容自体はね。このYOASOBIのアイドルが、ビルボードの国際チャートで1位を取ったというのは、すごくないですか?

    小飼:すごいよね。

    山路:YOASOBIって英語版も出してたりとかするからなのかな、これは。

    小飼:ちゃんとまともな英語で歌えるんで、YOASOBIね、何がショックかって、幾田りらは僕の上の娘よりも若いんだよね(笑)。要は、僕は彼らの親父であってもおかしくないっていうのが、そこがなんか一番ショックかもしれない(笑)。

    「なんでそんなに人気なの?」(コメント)

    山路:YOASOBI、やっぱり歌詞が刺さるっていうところはあるんじゃないですか?

    小飼:そうだね。久しぶりに歌詞が全うという言い方も変なんだけれども、今までの日本のヒット曲っていうのはどっちかというと、もうメロディ主体で歌詞はおまけというのか、語呂合わせになってればいいなみたいなところがあるじゃないですか。特に桑田佳祐とか。

    山路:(笑)それはそれでいいとは思うんですけどね。井上陽水とかもすごいんですけど。

    小飼:すごいよね(笑)。なんだけれども、(YOASOBIは)まず最初に歌詞があって、それに合わせて曲を書いてるっていうのは。

    山路:物語性があっていいですよね。

    小飼:久しぶりに、歌詞回帰というのか。

    山路:今の10代の子が気にしてそうな、これから世の中で自分はやってけんのかみたいなところをズバリ突いてきてるので刺さる要素、かなり多いんじゃないかなと。

    小飼:でもさっき言ったように、おじさんおばさんにもけっこう人気あるよ(笑)。

    山路:あとすごいなと思ったのが、英語版の歌、ところどころ日本語に聞こえるようなところあるじゃないですか。

    小飼:あれ、訳してる人ほんとすごいと思う。ただね、すごすぎてね、英語の歌としていいかっていうと、音節が多すぎるんだね。日本の歌詞と同じくらい音節があるので。それだと英語の歌としては音節が多すぎるものに、要するに忙しすぎる。僕だったらもう少し歌詞、間引くかなと思うんだけど。

    山路:ただあれって、両方一緒に聞くことを前提にというか、そういうトリッキーな作り方をしているところをあえて前面に出しているとこもありますからね。

    小飼:いや、だから珍しく芸能ネタでついてこれる数少ない話題(笑)、

    山路:本当だ(笑)。弾さん、『水星の魔女』もYOASOBIが主題歌だから見始めてますもんね。

    小飼:そうだよ。だから、2期はそうじゃないからね。残念ながら。
    (コメントを見ながら)そう、『ゲッターロボ』出てくるやつです。

    山路:え、何の話?

    小飼:いや、「アイドル」、

    山路:『ゲッターロボ』?

    小飼:あのね、『ゲッターロボ』のOVAの一つの主題歌とメロディーラインが被るところがあって、

    山路:ほんと(笑)? しかも『ゲッターロボ』のOVAの一つ、

    小飼:「アイドル ゲッター」で引けば出てくるから、被ってるやつは。

    山路:後で聞いてみよう(笑)。

    小飼:それで何がすごいかというと、だからゲッターのほうの、何だったっけ? ゲッターのほうの、もヒットチャートに出てきたというね。

    山路:あー、ググるとそれがついでに引っかかってきちゃうってことなのか。

    小飼:そうそうそう。

    山路:それはこの場合はYOASOBIがすごいってことなんですよね(笑)、影響力が。

    小飼:そうそうそう。まあ、ある意味。

    スタッフ:それに合わせてニコ生放送のほうでも、『真ゲッターロボ』の一挙配信をやりましたね。

    山路:マジか。ニコ生、柔軟だな。それは臨機応変だね。あと、これはYOASOBI絡みってわけじゃないんですけど、日本のコンテンツって意味で『ゼルダの伝説』がギネス記録になったりとか、最近、日本のコンテンツ人気なんですかねっていう文脈。ゲームとか音楽とか、まだそういうコンテンツのことに関しては比較的、

    小飼:ただ絶対数がまだ少ないというのか、Netflixとかザーッと見てると韓国のコンテンツはもっと強いなって感じがするね。

    山路:それはもう間違いないですよね。

    小飼:いや、決して弱くはないんだけども、数が少ない、意外と。けっこう健闘していると思いますよ、日本のコンテンツは。

    「この流れでデススト来るか」(コメント)

    山路:『DEATH STRANDING』ですか?

    小飼:ああ、そういえばMacにも移植されるという。

    山路:まぁあれも、人を選ぶような感じのゲームですけどね。Macに来るんだったらまたやってみるかな、『DEATH STRANDING』。

    「マリオ映画の興行収入13億ドル突破したよ」(コメント)

    山路:13億ドルすごいですね。

    小飼:すみません、まだ見てないです。見なきゃと思ってて。

    山路:弾さんは全然『マリオ』はやったことないんでしたっけ?

    小飼:あんまやったことないね。というのか僕自身、任天堂のハードウェアを自分で買ったことっていうのはないので、娘がやるので、娘に買い与えたっていうことはあるんだけれども。ああでもあれか、3DSは買ってコンピューターとしてテストしたことはあるね。ゲームはあんまりやってないから。

    山路:それはゲーム機としての用途ではないよな(笑)。

    小飼:あと『ドンキーコング』を移植した人が、どっかの雑誌にソースコードを載っけてて、それで遊んだということはある。

    山路:それもまた共感しづらいエピソードだなぁ(笑)。

    「マリオ映画、アナ雪の1位を超えたよ」(コメント)

    山路:へー、すごいなぁ。

    小飼:でも、確かIntellectual Propertyとして最強なのは『ポケモン』だそうです。だから今までにcumulativeに稼いだのが9兆円超えてるのかな、確か。
     それでゲームまで含めたコンテンツで見ると、日本勢確か、ベスト20のうちの10くらい入ってて、え、こんな強いの? っていう感じですね。だから、その中でも『ポケモン』は強い。

    山路:映画とかそういうのはそんなに強くないけど、ゲームとか映画は、

    小飼:『マリオ』確か3位とかね、そんな感じじゃなかったかな。2位が『スター・ウォーズ』だったっけな。

    山路:その辺、なんというか、日本人に馴染みの深いコンテンツ、世界で活躍しているとちょっと嬉しい感じはしますけどもね。

    小飼:いや、まあ、だけど、それはこういう、それは日本がすごいというよりは、ニンテンドーがすごいのであって。

    山路:全くその通りですよね。日本すげえって言いたいわけでもないんですけれども(笑)。

    小飼:いや、まあでも、ニンテンドーはとっても、ある意味、日本的というのか、京都的な企業でもあるので、そういう意味では日本も、ひそみに倣うぐらいのことはできるんじゃないかなという。

    AIと著作権と「ロジックってどこから出てきたのか」

    山路:で、じゃあちょっと、IT絡みの話いきますかと。相変わらずAIの話題がすごいですよね。

    小飼:すごいよな。

    山路:NVIDIAの時価総額が一時1兆ドル超えということで、めでたく1兆ドルクラブにNVIDIAも仲間入りという。

    小飼:trillionですか。まあでも、PERで見ると200倍なのでかなり割高には感じるよね。ちなみにAAPL(Apple)が、

    山路:3兆ドルの手前ぐらいですよね。

    小飼:の、PERが30倍なので。やっぱり(NVIDIAは)かなりハイプが先行している感じではあるんだけれども。

    山路:それにしてもハイスペックなスパコンも発表を最近したりとかで、とにかく大規模言語モデル作ろうとしている会社はとりあえずNVIDIAのスパコンとかGPUを買い集めるしかないという。

    小飼:いや、まあ別に買い集める、じつは他でもできるんだけどね。そんな個々のプロセッシングユニットがややこしいことをしてるわけではないので、だけどもやっぱCUDAがあるのが強いよね。

    山路:要はソフトウェアの開発環境まで含めて、

    小飼:そう、だからソフトウェアなんてくだらないと言ってた人たちが負けたわけだよね(笑)。

    山路:なんですか、そのソフトウェアなんてくだらないと言ってた人たちって? ああ、CUDAに関してシャレを言ってたってことね。やっぱり結局、そういう開発とかも含めたエコシステムきっちりやったところが勝つんかねという。まあこれからもずっと続くかどうかはわからないですけど。

    小飼:いやー、誰が生き残るのかっていうのはわからないよね。だってGPUの世界だってさ、本当にプレイヤーいっぱいいたわけじゃん。

    山路:AMDとかまだついてきてますけどね。

    小飼:もちろん、AMDはついてきて、こう言っちゃなんだけど、まぁ実質2社プラス1ぐらいだよね。いちおうIntelもやってることはやってるというのか。しかもIntelがついにNVIDIAの石をファブとして作り始めるという。

    山路:そうそう、Intelといえば、時価総額というか、すごい過去最大の赤字を出したそうですよね。このニュースによると。だから、ずいぶん今の半導体のところでフォーカスがもうCPUじゃなくて、GPUのほうに世間の注目が集まっているという。

    小飼:しかもCPUのほうはもうIntelアーキテクチャーよりもARMのほうが今や強いということで。

    山路:このAIなんですけど、いろいろまた、今日もというか今週もというか、ポコポコ話題があって。軽いところで言うと、AIイラストの専用投稿サービスが、案の定というか出てきたと。またそれ、怒られて謝罪する羽目になったという(笑)。なんかお約束のような感じがあるんですけれども(笑)。

    小飼:これさ、イラストまでにしてアップロードするんだよね。だから、その点では普通のイラストサイトと、

    山路:LoRA、学習モデルと言えばいいんですか、そこのところも、

    小飼:何、プロンプトだけアップロードするの、あれなのわけ? サービス側で生成してくれるの? 一番あれじゃん、費用がかかる部分っていうのは実際に生成させる部分だからな。マシンぶん回すところだからさ。

    山路:これはえっと投稿サイトなんで。

    小飼:生成まではしてくれないんだ。生成してくれるんだったらそれはあれだよな(笑)。

    山路:そのスタイルなんかを学習したLoRAと言えばいいですか、あのファイルなんかを収益化できるようにするということを打ち上げて、前面に出してたサービスなんですけども。

    小飼:自分でそのモデルを使って生成するわけではないんだ。

    山路:そうそうそう。ただそれがちゃんとトレーサビリティあるようなもんなんかいとか、そういういろいろツッコミが入ってっていう。ただ結局もう、このサービスに関しては例えばもう謝罪とかしてますけど、これからAI使った専用のサービスなんてガンガン出てくるから、

    小飼:今はまだAIの、というのがサービスのだから売りになっている点というのがまだ黎明期っていう感じだよね。いや、だって例えば、かな漢字変換に対してAIのとか、もはや言わないじゃん。でも昔は言ってたんだよね。昔はあれがAIだった。

    山路:ああ、なんかAIソフト、それこそ、WXとか、そのへんの、

    小飼:そうそうそう、

    山路:IMEって言ってた頃、FEPとかIMEって言ってた頃のやつですよね。

    小飼:そうそうそう。いや、でも、今でもIMって言うよね。インプットメソッドって言い方は残ってはいるよね。IMって言う方は残ってはいるよね。

    山路:そのAIで関して言うと、文化庁がある程度の指針を出したと。つまり日本の場合、AIの学習に何か食わせること自体は違法ではないんだけれど、生成されたAI画像が既存の著作権のある画像に似てたら、

    小飼:の場合は生成した人が著作権を侵害したものとして扱いますよっていうのは、まあそりゃ当たり前っちゃ当たり前だよね。

    山路:前回だったか前々回だったか、弾さんが言ってた、要はAIっていうのを一つの人間みたいなふうに扱えばいいんじゃねえのっていう、専門家というか。それにちょっと近いところありませんかと。

    小飼:それはちょっと違うな。この場合はAIはPhotoshopとかと同じで、要するに道具、あくまでもそのツールを使った人が著作権を侵害したのだと、著作権侵害があるのだとしたら。

    「AIの絵はなんだか似たようなタッチのものばっかり出てくるのがな」(コメント)

    山路:これはそのうち変わってくるでしょう。

    小飼:やっぱり、それは学習の元ネタに似てしまうという。だから、どうしてもやっぱり売れ筋の絵に近くなってくるよね。例えば「何々風」って言った場合にも、学習データが多いものほどそれっぽいのが出てくるよね。例えばGoghみたいな、Van Goghは日本語でなんて言ったっけ? ゴッホだ、ゴッホ。ゴッホみたいな絵にして、ピカソみたいな絵にしてっていうふうにすると、けっこうそれっぽくなるけれども。そうでない、知る人ぞ知るみたいな絵だと、あんまりそれっぽく出てこないというね。

    スタッフ:すいません。いいですか。ここに書いてある文化庁の発表から察するに、作風とか画風に関してはもう著作権ではないというふうに明言されたってことでいいんですよね。何々風自体は。

    山路:明言はしてないけど、

    スタッフ:してないけども。

    山路:その明言されたと言っていいんですかって、明言はしてないんだから、それは言えないけれども、画風自体はその著作権の対象にならないっていうことはまあ以前から言われていることではあるわなぁ。

    小飼:だから今まで通りに判定すると、AIが生成したのか、あるいは人が真似たのかっていうのは、そこは見ないと。過程は見ないと。あくまでも結果だけを見るっていう、ある意味当然すぎる答えですよね。ミュシャとか多そうだよね。

    山路:バカスカ作られるようになってきた時にまたちょっと状況が動いていくかも。

    小飼:ミュシャのクラスになると、模写してる人がこれは元々ミュシャという人がいて、その人の画風を真似してるっていうのに気がつかないうちにやってたりするからね。ああ、そうだ、これが元ネタだとかって言ってて、ズルってことはあるからね。あのクラスになると。

    山路:世の中でもうそれに影響を受けたものが多すぎてっていう、

    小飼:多すぎて。もうアールデコと言うとあれになってくる。

    山路:またAI絡みで言うと、大規模言語モデルの数学能力向上なんていう、数学解けるようになってきたよっていう。

    小飼:いや、でもこれは、この場合は要はアルゴリズムも切り替えるんだよね、この数学能力向上っていうのは。
     LLM的に解くんではなくって、これはLLMではなくて、要は数学用のサブモデルを呼び出してって、まあ一番具体的な例で言うと、要はChatGPTのWolfram|Alphaプラグイン。

    山路:じゃあそのプラグインを呼び出すっていうことを、機能を呼び出すっていうようになっただけで、大規模言語モデル自体が数学的な根本的な能力を獲得したっていうのとはちょっと違う?

    小飼:そういうふうには見えないね。いや、でもLLMの中で数学できるのだろうか。要するに証明はできるのだろうか。

    山路:ただ、普通の人間が算数できるとか、九九やってるとか、簡単な方程式解くとか、そういう作業って実に大規模言語モデル的なことをやってませんか?

    小飼:大規模言語モデル的なんだけれども。でも、数字を扱わせると途端になんか馬脚が未だに出るんだよね。

    山路:それってそんなに人間でもできる人、できない人は多かったりもする。

    小飼:うん、でも人間はもう少し、すんなりと切り替えるじゃん。この場合は数学的に、ロジックを当てはめて解くのが。

    山路:みんなそれ、本当にできるのかな(笑)?

    小飼:いや、でも十分な数の人ができるわけじゃん。

    山路:うーん。

    小飼:人間もデフォルトはLLM的だっていうのは、これはもう確かだと思うんだよね。いつ、どうやって切り替えているのかっていうのがちょっと、まだ謎めいたところがある。

    山路:いやー、大規模言語モデル、謎奥深くて面白いですよね。なんか本当にやっぱり大規模言語モデルって人間を見てる感じはしますもんね、人間の一部分を。

    小飼:むしろ逆に奥深くなかったというのか、深かったのは奥ではなくて、要はニューラルネットの深さだろうと(笑)。

    山路:(笑)そっちのほうが深かった?

    小飼:そっちのほうが物理的に深かったという。それを深くするだけでうまく回り出したという。

    山路:ウルフラムさんのブログ記事、本になって刊行されるそうですよね。

    小飼:いや、でもあれは本当に見事だというのか、なんといえばいいのかな、本当にコンピューターに問題を解かせるということにたぶん、あれほど真摯に付き合ってきた人類というのはおよそいないはずなので。あれだけの天才があれだけの手間と暇をかけて育て上げたんだよね、Wolfram|Alpha。やっぱりそれだけに、LLMも、なんでああいうふうに行くんだっていうのを本当に一瞬にして理解して、理解しただけではなくて、本当にわかりやすく。

    山路:ChatGPT登場してから、Wolfram|Alphaと接続されるまで早かったですよね。

    小飼:いや、本当に同じ人類とは思えないぐらい、おつむのすごい人なので。本当にスティーブン・ウルフラムという人は天才というレベルも超える、本当に人外と呼びたくなるレベルですね。

    山路:へええ(笑)。

    「成人レベルのおつむのAIってあと何年くらいで出てきそう?」(コメント)
    「もう研究室段階まで来てる?」(コメント)

    小飼:素材というのか、それを実装するためのプロセッシングパワーが十分にあるっていうのは確かだと思う。

    山路:ただ、それをどうやってモデル化するっていうところでまだ、

    小飼:モデル化のところでちょこっと、ほんのちょこっと抜けてるんだよね。本当にいつロジックに切り替えるのかっていう部分だという。むしろ、ロジックっていうものがどこから出てきたのかっていうのが不思議だよね。

    山路:その辺のとこもちょっと扱った本、今作ってたりしますけどね。もうちょっとしたら出せると思うので。

    小飼:それはちょっと楽しみ。

    山路:でも成人レベルのオツムって一言で言うけど、成人レベルのオツムっていうやつをどれぐらいなのかっていうことをまず定義しないとな。

    小飼:そうなんだよね。お前、カラスより頭がいいのかって言われると、やっぱりちょっと考え込んじゃうよね。

    山路:このAIということで言うと、最近イケイケどんどんになっているのがMicrosoftじゃないですか。

    小飼:ね。いや、これもあってNVIDIAの株が上がってるんだよね。直に触れている必要はないからね。

    山路:先週でしたっけ、Microsoft Build? そこで色々、MicrosoftがAI関連の発表したんですけれども、それっていうのが本当にWindowsとか、Officeとか、あるいは企業向けのサービスとか、そういうところであらゆるところにAIをけっこうがっちりと組み込んできたという、

    小飼:エクセルのセルから頭のゼロを問答無用で取っ払うとかね(笑)、今のところけっこうあのMicrosoftのAIというのか、ウィザード的な機能っていうのは頭がいいというより、小賢しいところが多いじゃん。

    山路:ただ、デモとか見るとなかなかのもんじゃないですか。Appleが例えばショートカットっていうアプリなんかでやろうとしてた自動化みたいなやつっていうのを、もっと自然言語でコンピューターに馴染みのない人でもできるようになっている、そういう使い勝手あるかなと思ったんですけれども。それこそ、あとCopilot、ChatGPTとGithubとか、Githubじゃないのか、Windowsか、あのあたりのCopilotのプラグインの仕様を共通化するという。ChatGPTのプラグイン作ったら、Windowsとかで使えちゃう。

    小飼:まさにそこで著作権が問題になってくるんだよね、

    山路:著作権?

    小飼:いや、そのChatGPTの学習元のデータというのはもろ著作権があるわけじゃないですか、コピーライトがあるわけじゃないですか。それを元に学習して、それと同じコードを吐いたとしたら、まさに著作権侵害じゃん。まだその問題っていうのはこういうふうにいきますっていうのは、示されてないんだよね。

    山路:OpenAIのほうも、EUのほうで規制厳しくなったら、それはダメって言うんだったらサービス停止しますよみたいなことは言ってたりするけども、きちんとした方策みたいなことをカチッと示せているわけではないですよね、確かに。

    小飼:少なくともGPTはオープンソースではないので。要は学習データはどこから持ってきた、どこからどれだけ持ってきたっていうのは公開してないわけじゃないですか。おおよそこういうふうにしてますっていうのは言ってはいるけれども。

    山路:しかし、それを完全にクリアにした状態でデータセット、どんな人からも突っ込みの余地のないデータセットって作れるもんなんですかね、いや、作れるのは確かなんだけど、それで有用に使えるようになるデータセットと言いましょうか、人間のそういういい加減なところも、

    小飼:例えばWikipediaのコンテンツというのはそういう目的に自由に使っていいですよっていうのはもうライセンス的にも確かなんだけど、じゃあWikipediaだけをソースにしていいのかって言ったらそんなことないもんね。ちょっと無理があるもんね。

    山路:しかもべつにWikipedia自体はそういう規約になってても、その規約を守らずにWikipediaに転載とかするやつはいるわけじゃないですか。

    小飼:そうなんですよ。だから、もしWikipediaに著作権ありのコンテンツをペーストしちゃった場合というのは、それは消せっていうふうに、そこも明示はしてあるよ。

    山路:それってWikipediaの責任になるわけなんですね。

    小飼:ではない。そこは免責事項に入っている。

    山路:なるほど。

    小飼:それはあのWikipediaではなくて、それを書いた人の責任だと。それで誰が書いたのかっていうのはいちおう、ログがあって、少なくともIPアドレスはあるし、しかも英語版とかだとログインしないともう書けないんじゃなかったっけ。昔はログインしなくても書けたんだよね。それでIPアドレスだけがログに残ってたんだけども、今は少なくとも英語版はログインしないと書けないし、日本語版もあれだ、ほとんどのページはログインしないとダメになったんじゃなかったっけ? まあ、でも少なくともそういった形でトレーサブルなわけよ。著作権侵害が発生した場合というのは、いつ誰が書き込んだのかというのはわかるようにはなっている。

    山路:AdobeのFireflyなんかも、画像生成のほうですけど、あれなんかっていうのもいちおう、まずい画像とかも確かに入り込んでるけど、それはいちおうAdobeのほうでなんとかふるい分けとか対応はしてるっていうことで信頼確保してたりしますよね。

    「僕らの自然言語が構造的に矛盾する以上、操るのに限界がありそう」(コメント)

    山路:まあ、そうでしょうね。その矛盾みたいなことを学んだ、いるからこそ人間っぽく、

    小飼:でも平気で矛盾した答えを出すじゃん。それもLLMの特徴の一つだよね。LLMがロジカルでないことの証だよね。矛盾したハルシネーションを醸すっていうのは。「はい、違います」みたいな話し方するもんね。

    山路:それができるようになると数学もできるようになるんですかね?

    小飼:どうなんだろうね。

    山路:近いところにあるんだろうか、それはまた別の話なんだろうか。

    「著作権が存在しなければ、人類はもっと進歩したかな」(コメント)

    山路:そろそろ見直すべき時は来てると、

    小飼:著作権がなくて、金を稼ぐインセンティブが減ったとしても、資本主義の発展は揺るがなかったっていうのか、でも著作権よりも資本主義のほうが先なので。もう似たような時期に生まれたんですよね。資本主義が生まれたのは、資本が生まれたからじゃないですか。資本が生まれたきっかけというのは複式簿記ですよね。複式簿記が生まれたのと、活字が生まれたっていうのは、似たような時期なので。

    山路:あと、この著作権というのは、いわゆるコトのマネタイズと非常に関わっているから、ソフトウェア的なものっていうのが、今のIT企業が利益を得るっていうのとかなり近いところはあるんじゃないのというふうに思うんですけど、コトをマネタイズすることがそれによってできるようになったっていうのは。

    小飼:ただ、コトをマネタイズするっていうのはある意味、いまだに答えが出てないんだよね。オープンソースって言い始めた時に、じゃあどうやっておまんまを食えばいいのっていうふうに言った時に、サポートやればいいんじゃないみたいなことを言ってたけども、結局のところ、大部分はそうではなくて、商業的な上がりの部分っていうのを恵んでもらうモデルっていうのが、

    山路:パトロンモデル、

    小飼:パトロンモデルですね。いまだにやっぱり強いのは。

    「著作権なくして金を稼ぐインセンティブが減ったとしても、資本主義の発展は揺るがなかった」(コメント)

    山路:その時に稼げるネタがそれだったっていうのはあるんじゃないのかな。

    小飼:なんで著作権というのか、コピーライト、複製権が生まれたかって言ったら、複製そのものの手間暇というのが格段に下がったからですよね。だって、それまでは手で書き写してたわけですから。コピーっていうのはそういう、ものすごい手間のかかる、手で書き写す複製っていうのも含めているわけですよね。例えば英語でDo you copy? っていう質問がありますけども。

    山路:「わかったか?」みたいな。

    小飼:そうそう。そう、それは私が言った言葉の内容というのは、あなたは受け止めましたかという意味なんですね。

    山路:宇宙飛行士とかよく言うよね。“You copy?”、“I copy”って。

    スタッフ:そういうことなんですか。

    小飼:その手間暇というのが活字で下がったから、それをわざわざ権利が設定されたわけですよね。

    山路:そういうふうな時代のタイミングがあったからこそ、著作権というのができて、それで金を稼ごうというインセンティブも生まれた。もしかしたら、そういうふうに著作権で稼げたっていうのは、ずっと後になって、時代のあだ花だったようなみたいなことになるかもしれないという気がする。

    小飼:その可能性は十分あるよね。手で書き写してた頃の感覚というのが、活字で印刷される時には合わないのと同様に、AIの時代に今の著作権の考えっていうのはフィットするのかっていうところはあるよね。

    山路:もう本当に、完全に処理できる能力、人間のコンテンツ消費能力を超えてますもんね。

    スタッフ:ちょっとずれてしまうかもしれないんですけど、今、著作権の話だったじゃないですか。これ、もう一つ、特許とか商標とかあるじゃないですか、こういうのってこのAIがもうバカバカ生産とか、変な話、クリエイティブにより入ってきたりとかするときに、ごちゃごちゃするような可能性ってありますか?

    山路:大いにあるんじゃないですか。

    小飼:大いにあるんだけれども、じゃあここで問題です。著作権と特許は何が違うんでしょう。

     
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