小飼弾です。ブロマガをお届けいたします。
200 Any Questions OK
それでは、今回の質問。マスメディアからも複数この質問を頂いておりますが、今回はこの場をもってお返事とさせていただきます。
Q. 2013年の技術ベスト
Q. 2014年の技術トレンド
いかにも年末恒例といった質問ですね。しかし今年は、技術というものの意味が、少なくともあるハードウェアにおいてはっきりと変わったことが誰の目にも明らかになった年だったと私は感じています。
A. 一目でわからないことが一目でわかる
それは、モバイルデバイスのディスプレイ解像度。
300ppi以上に上げても意味がない。
実際に見ていただきましょう。
これは、Twitterの私のタイムラインをiPhone 5sとNexus 5で表示しているところ。どちらも綺麗ですね。どちらの方が綺麗かは少なくともスクリーンショットからはわかりませんが、実物で比べてもどっちも十二分に綺麗だとしか言いようがありません。同じ視野角、つまり目に見える大きさが同じなら、目に見える情報量も同じ。
ところが、表示しているデバイスの側の立場に立つと、違いはこれくらいになります。
Nexus 5 のディスプレイは 1920x1080。ピクセル数にして iPhone 5/5s/5c(1136x640) のおよそ3倍。表示する側にとって三倍大変なのは技術的に確かなのですが、しかし表示を見る側にそれがわかるでしょうか?
300ppiが必要十分であることを示すには、必要条件と十分条件を示す必要がありました。
それが必要条件であることは、3年前にiPhone 4が示しました。
そして Galaxy S4 や Nexus 5 といったハイエンドAndroidケータイが1080pディスプレイを採用し、それが過剰スペックであったことが一目瞭然となった今、十分条件であることも示されてQ.E.Dとなったわけです。
スペックがカンストする時代に
このように、技術の世界ではこれ以上技術を向上しても利便性が向上しないという現象がよく起ります。ゲームの世界ではカウントストップ=カンストというのだそうですが、その意味において、今年はディスプレイ解像度という玄人にも素人にももっともわかりやすい指標が、モバイルデバイスにおいてもカンストしてしまった節目だったと言えるでしょう。
その他のスペックを見ても…
- カメラ = 8メガピクセルで充分。iPhone 4sで達成
- WAN速度 = LTEで充分。最高速度(150MBps)も実質速度(数十Mbps台)も固定インターネットと同等。iPhone 5で達成
- LAN速度 = 5GHzの802.11nで充分。802.11acに至ってはギガビット・イーサネットを超えてしまっている。iPhone 5で達成。
といった具合で、スペックシートに書ける数字はもう食いつぶされてしまったといっても過言ではないでしょう。
これは、技術者にとっては不都合な真実以外の何物でもありません。数値目標が役に立たないということなのですから。カンストしてしまったスペック向上に拘泥するのは、尾籠な例えではありますが「チンコを大きくすればモテる」と同様の痛い勘違いでしかありません。
この先生きのこるにはどうしたらよいのでしょう?
デバイスとかけてクルマととく
ヒントは、クルマにあるかも知れません。