Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマは、ついにニューヨークでMMA解禁!……もMMA反対派のトンデモ発言が凄すぎる!
ニューヨーク州議会で3月22日、同州でMMAを19年ぶりに合法化する法案が、113対25で可決された。この後、アンドリュー・クオモ州知事が署名をすれば法案が正式に成立する(知事は遅滞なく署名するものとみられている)。法案成立後には、ニューヨーク州アスレティック・コミッションが最大120日をかけて、MMAルールを採択し、業務体制を整えることになっている。UFCではニューヨーク州でのデビューイベントとして、11月にマジソン・スクエア・ガーデン大会を計画していると報じられており、ロレンゾ・フェルティータは「タイミング的にはロンダ・ラウジー復帰戦の舞台にふさわしい」などと述べている。
法案には次のような内容が定められている。
・今後州内で行われるアマチュアMMA大会も、アスレティック・コミッションの管轄下に入る。ニューヨーク州ではこれまで、無管轄のアマチュア大会が頻繁に開催されており、危険性が指摘されていた。
・プロMMAおよびプロボクシングの試合に向けてのスパーリングを行う州内のジムに対して、アスレティック・コミッションのライセンス制度を導入する
・プロ格闘技のプロモーターには最低保障5万ドル、重篤な脳障害の場合には10万ドルの損害保険への加入が義務づけられる(これは他州にはない規定で、プロモーターのコスト負担が大きいため、ニューヨークでは大手団体しか興行を打てないのではないかとみられている)
・州税はゲート収入の8%、テレビ放映権料およびPPV売り上げの3%(最大5万ドル)とする
結果的には法案は大差で可決されたわけであるが、投票に先立って議会では約4時間にわたり、MMA賛成派と反対派の議員がそれぞれの立場や理由を演説で熱っぽく訴えた。そこで聞かれた反対派議員の訴えは、10年前、20年前の「Human Cockfighting(人間版闘鶏)」時代から何も変わらぬ、まさに「ベスト・オブ・アンチMMAへ理屈集」の様相を呈した。今回は、この地方議員達のツッコミどころ満点のトンデモ発言の数々を記録したので、お楽しみ頂きたい。
●MMAでは死人が出ているからMMA禁止 - Ellen Jaffee議員
MMAの選手は命をリスクにさらしており、しばしば重傷を負い、死人も出ています。ケージに象徴される、歪んだ男性性を美化する雰囲気の中で、女性も犠牲になっています。MMAの暴力的な性質は、我々が子どもや地域社会に届けようとしている、反暴力のメッセージとは正反対の位置にあります。
●MMAはプランテーション時代の奴隷と同じだからMMA禁止 - Charles Barron議員
ボクシングは保護されていますし、フットボールもしかりなのですが、ことこの競技については、2人の人間をケージの中に放り込んでいる。アフリカ系アメリカ人の1人として申せば、我々はプランテーションでの奴隷労働時代に、こうしたケージファイティングをやらされてきたものです。互いの耳を噛みきるようなことを含め、あらゆることをやらされた。我々の地域社会では、フェアな戦いが求められています。私が子どもの頃には、1人がノックダウンされたら、もう1人は一歩引いて相手が立ち上がるのを待ち、それからまた戦ったものです。しかし、今のケージファイトでは、倒れた相手にさらに襲いかかり、相手の脳みそを床にたたきつけたり、首を絞めたりできるのです。ニューヨークで首を絞めるということが、どういう感情を引き起こすか、みなさんよくおわかりでしょう。その後でレフリーが、もう十分に首を絞めたかどうかを判定するのだそうです。こんなものを合法化してはいけません。禁止されるべきです。
(注 2014年にニューヨーク州のスタテン・アイランドで、警察官が容疑者エリック・ガーナーをチョークホールドで窒息死させた事件のことを指している。この事件を機に、人々の警察に対する抗議が高まった)
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