多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー!今回は13000字でお送りします!(聞き手/ジャン斉藤)





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シュウさん、今年もよろしくお願いします!ニューヨークのお正月はどんな雰囲気なんですか?

シュウ 基本的にアメリカはクリスマスがビッグホリデーで、そのあとは1月2日から早くもフル稼働なんですね。だから元旦の夜はボクらの世代でいうと、日曜に全日本プロレス中継が始まり「明日から学校だな……」と憂鬱になる感じですかね。

――例えが古すぎていまのファンには伝わらないです(笑)。

シュウ わかんないですか(笑)。『笑点』はどうですかね?

――『笑点』はまだ大丈夫です!(笑)。シュウさんは大晦日のRIZINはどんな感じでごらんになったんですか?

シュウ ライブ配信で見てました。早めに寝て、午前1時ぐらいに起きてというやつですね。けどRIZINって長いんですけど、イベント構成が練られているからUFCやPFLを見てるよりは面白いんですよ。

――RIZINはイベントとしてのリズムがいいんですかね。

シュウ リズムがいいのと、1試合ごとにエンタメ化してるというか、セクションごとにひとつのライブみたいな感じになってるじゃないですか。音楽でいえばフェスみたいなもんですかね。RIZINは同じような入場、同じようなファイターが同じようなファイトをする感じではないんで。北米のMMAだと、同じような試合が続いて、あんまり面白くないと「あれ? いま何ラウンド終わった?」ってラウンド数すらわからなくなっちゃうから

――そこは前座でもショーとして魅せる意識があるかどうかってことですね。

シュウ そういうことをいうと、UFCのファンは「選手の強さだけでアピールできないから、そのぶん他で補ってる」みたいなことをいうわけですよ。アメリカのボクシングカルチャーの名残りか、メインだけが話題だから、みたいな感覚もあるのかもしれないです。

――「だったらメインカード前から会場に来てください」って言いたいです(笑)。

シュウ そうなんですよね(笑)。その「選手の強さ」を楽しめるマニアックなファンじゃないとプレリムから見ないですよね。

――RIZINのメインイベント、シェイドゥラエフvs朝倉未来はどうでしたか?

シュウ うーん、まあちょっとレフェリーストップが遅かったかなと。あとやっぱりあそこまで実力差があるのか……と思っちゃいました。(井上)直樹くんもサトシ選手も負けちゃったし、こういってはなんですが、海外勢によっていったん焼け野原にされちゃった感じですよね。

――朝倉未来というカリスマが敗れ、日本側のチャンピオンが2人も負けてしまったと。

シュウ 直樹くんは試合中に肋骨をやっちゃったんですよね。

――サバテロに投げられたときに。

シュウ 1ラウンドにやっちゃったんですけど、3ラウンドまで動き続けていたんで、スタミナ切れで負けたわけじゃないんですよね。もちろんサバテロのあの投げは正当な攻撃ですし、最終ラウンドはサバテロがすごかったんですけど。

――あの3ラウンドは印象が悪くなっちゃいましたねぇ。

シュウ かなり悪かったですよね。トータルマストの判定だったら負けは仕方ないんじゃないかなと思いますね。

――これがラウンドマストの判定だったら、またちょっと違った結果なんでしょうけど……。

シュウ でもまあトータルマストでやってる以上、それを言ってもしょうがないですよね。とりあえず2026年からジャッジが変わりますけど。

――トータルマストとラウンドマストのいいとこ取りのシステムらしいんですけど……。

シュウ 前から言ってるように、ラウンドマストが必ずしもMMAに合ってるとボクは思ってないんです。新しい判定方法はないかなって昔から思ってました。だからRIZINの試みは嬉しいです。

――ラウンドマストだと10-9のあいだが測れないんですよね。10-9.9や10-9.1の内容でも同じ「10-9」になってしまう。

シュウ それに3ラウンドしかないから「10-10」は付けられない。ラウンド数が短すぎるから向いてないんですよね。ボクシングのように10ラウンド12ラウンドあるならわかるんですけど。

――ボクシングの流れからラウンドマストを取り入れたわけですよね。

シュウ ファイトマネーのシステムもそうですよね。とりあえずはボクシングに倣ったんですが、それが必ずしもMMAに当てはまるかといえば、話は別だってことです。

――RIZINで判定が割れると「トータルマストが原因なんじゃないか」って言われがちですけど、ラウンドマストでも揉めるときは揉めますからね。

シュウ どんなシステムでも揉めると思います。人間の判断することですから。そうなるとDEEPみたいにジャッジを5人にするとか。3ラウンドの試合はとくに難しいですよ。けどね、これは、ボクも含め多くの選手が言ってますけど、いまの時代でもジャッジが、ケージサイドで判定しているのがまずおかしいと思うんですよね。ジャッジは、会場の音が聞こえない隔離された部屋にいて、いろんな角度から撮った映像を見ながら判断したほうがいいと思うんです。それこそモニター20台ぐらいの前に座って。そうなると、会場のリアクションとかにも判断は左右されないですし。ケージサイドに座っていたら、明らかに見えない死角がたくさんあるわけですし。

それを考えると全然理にかなっていないと、ボクは思うんです。「見えないのに、どうやって判断するの!?」と。それで、なんなら、試合中でもジャッジはクルーに「いまのシーンもう1回見せて」と行ったら、リプレイがすぐに見えて判断できるとか。他のスポーツでもビデオ判定が取り入れられてるんですから、これをRIZINさんには試してほしいぐらいです。

――3ラウンドのキックでもどっちが勝ったか割れるのに、MMAは打撃だけじゃなくて組みや寝技もありますから評価の仕方が難しいという。

シュウ それにボクシングは3分だけど、MMAは5分ですからね。直樹くんに話を戻すと、しっかりカムバックしなきゃいけないんですけども……ここで勝っていたら面白い動きができたんです。それはRIZINさんと協力して話を進めてたんですけど……狙っていたのはPFLのセルジオ・ペティスとの試合だったんです。

――おお、セルジオ・ペティスをRIZINに呼ぶんですか?

シュウ いや、アメリカで。

――敵地に乗り込む!

シュウ 負けちゃったんで「たら・れば」の話になっちゃったんですけどね。じゃあ今後はどうするか?っていったら、やっぱりRIZINのベルトを取り返すしかないんじゃないですかね。

――サバテロとリマッチしたいと。

シュウ でも、そのためには最低でも1勝、ヘタしたら2つは勝たないといけないですよね。本人は次やれば絶対に勝てると言ってますけど、ディレクトリマッチの流れを作るのは、いまの感じだとちょっと難しいかな?と思いまいますし。

――いまのRIZINだと誰とやれますかね?井上選手のポジションだとなかなか……。

シュウ そこなんですよ。いまのRIZINバンタム級は福田(龍彌)選手が安藤達也選手に勝ったから、福田選手がサバテロのタイトルに挑戦する流れなんですかね。

――そういう流れですね(後日、福田龍彌vsダウトベック戦決定)。

シュウ 直樹くんは福田選手とは1回やって勝ってるし、負けた安藤選手とやるのか。まだやってないのは太田忍選手ですけど。

――太田忍戦はあまりピンとこないですね。

シュウ 最近のRIZINさんの傾向だと、強い外人選手は連れてくれるので。直樹くんだったらリスクを気にせず「日本人とやるくらいだったら」って受けちゃうと思うんですよね(苦笑)。

――無名で実力派外国人をホイホイ引き受けそうですよね(笑)。バンタム転向が根強く囁かれるダウトベックはどうですか?

シュウ 直樹くんが間に合うかですよね。肋骨のケガがどれくらいで治るのか。3月4月に間に合わないかもしれないですね。

――もしくは負けたけど、PFLに出るとか。

シュウ それも基本的にはありだと思いますよ。ただ、詳しいことは言えないんですけど、そこはRIZINさんとの契約の話も絡んでくるので……。

――そのへんの調整が必要なんですね。U-NEXTのPFL中継は大会ごとに判断することになっちゃいましたけど、井上直樹が出るなら配信しますよ。


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