自分が新宿に「和術慧舟會HEARTS」というジムを出してから11月でちょうど2年になる。
2年前も日本のMMA界は決して明るいものではなかったが、それでも、その当時は埼玉スーパーアリーナのような大きな会場でメジャー団体のDREAMが年に何回か開催されていた。今年のようにMMAのビッグイベントが8ヵ月前のUFC日本大会しか行われていないというような状況ではなかった。
現在、日本のMMAは、2000年に入ってから一般社会に対して一番露出が少ない状態ではないだろうか。しかし、そんな中、先日やっと1年の間を置いて大晦日にDREAMが開催されることが発表された。日本のメジャー団体の興行が開催されるということは、日本のMMA界にとってとても大事なことだと自分は考える。
自分がMMAのジムを出して感じるのは、PRIDEやK-1、HERO’Sが民放のテレビで頻繁に放映されていた格闘技全盛の時代より現在は格闘技ジムも増えたし、確実にジムに通う人も増えているということだ。
現にHEARTSでは100名近くの在籍者がいるし、自分の周りの格闘技ジム経営者の話を聞いても、真面目に経営しているジムのほとんどがうまく運営されているようである。
MMAの現状としては以前より確実に競技人口や、MMAに触れている人の数は多くなっている。これは以前より、誰でも通えるフィットネス志向のジムが増えたことや、アウトサイダーなどの地下格闘技が話題を呼んだ事も影響しているだろう。
そして、格闘技全盛の頃に比べて決定的に違うのが、「ジムに通っている人達が健康を目的としたライト層の人達で圧倒的に占められていること」だろう。これは、とても素晴らしいことで、ライト層が増えずに競技志向の人ばかりではMMAというスポーツが社会に認知されていくのは難しいからだ。しかし、MMAのジムに通う人は増えても、プロになろうとする競技志向の人の絶対数は以前に比べて減っている。
これは、競技として純粋なMMAの試合や情報が以前のようにテレビや一般雑誌などで簡単に目にする機会がなくなったことで、プロ選手になりたいという人達が圧倒的に減っていることが原因だと思う。
しかもDREAMのような日本のMMAのメジャー団体の興行が少くない状態では、プロ選手として生活できる人間は少なくなってしまう。真剣にやっても生活ができないものに憧れる人はほとんどいないだろう。
ましてや、それが海外でしか実現が難しいものになると、やってみようと勇気を出すのは難しい。そして今年のように日本でのMMAのメジャー団体が消滅かと思われたような状態のときは、選手のあいだからも引退しようかという声も多く聞いた。選手が減っていけば競技レベルはどんどん落ちていくし、日本人が世界で勝てない競技というのでは、人気を持続させるのは難しい。そして、ジムに通う人達は減っていき、さらに選手を目指す人は減り日本のMMAは衰退していくのではないかと自分は危惧している。
このような状態では、UFC等の海外中心のイベントだけでは、日本のMMAがまた盛り上がっていくというのは難しいと思う。例えると、野球が日本のプロ野球がなくなりアメリカのメジャーリーグしかなくなったら、いまの日本の野球人気を持続させるのは難しいのではないだろうか。
だからDREAMがまた大晦日に復活してくれるのは、日本のMMA界にとってすごく大事だと自分は考える。日本のMMA界が盛り上がれば、MMAのジムも盛り上がり自分のジムも盛り上がるので自分にとってもとても大事だ。
新宿駅から徒歩6分、和術慧舟會HEARTS全くの初心者の方から女性まで絶賛募集中!!
ではまた来週!(大沢ケンジ)
読んだあとは耳で楽しもう!! 大沢ケンジ選手がゲスト出演→音声配信コーナー