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◎シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
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【安田忠夫バックナンバー】
・NO.4【プロレスはやっぱり奥が深い!】「哀しきジャブボーイとイジメ」
・NO.3 嵐の総合格闘技編「IWGP王者になりたくないから、はじめは断ったんだよ」
安田 今日も朝から競艇で負けたよ。
――ここ最近ギャンブルはずっと不調ですよね。
安田 不調というか……両方買えばよかったんだよな。わかってるんだよ、両方買えばいいってことは。でも、両方買うのはイヤなんだよねぇ。
――それはどういう心理なんですかね?
安田 まあ、昔と比べたら張ってるお金も少ないからね。
――なるほど。賭け金が微々たるものだから、抑えに回すお金がもったいない……ということですね。
安田 そういうことだよ(笑)。お金に余裕があるんだったら、抑えにも使えるんだけどね。
――博打って軍資金が乏しいと、おもいきりのよさも出てこないですよね。
安田 金がないんなら博打は本当にやめないとなあ……いや、休憩しないと。
――あくまで「休憩」(笑)。
――前回の続きなんですが、「エア焼肉」と呼ばれる自殺未遂事件は何が原因だったんですか?
――だったら死のうと……。
安田 タニマチもいないしさ、電話をしても誰も出てくれなくなったしね。あの頃は電話をする金もなかったんじゃないかな。
――プロレスの仕事があったら自殺はしてなかったですか?
安田 それはそうだよね。一番手っ取り早く稼げるのがプロレスだから。誰かに頭を下げれば仕事をもらえたんだろうけど、そういう性分じゃないし。プロレスって営業も重要なんだけど、俺は全然できなかったからさ。だからいまだって普通の仕事をやってるんだよ。
――それにしても安田さんが自殺を図ろうなんて想像できないですけどね。
安田 俺はこう見えて繊細なんだよ。ガハハハハハハ!
――練炭自殺ですよね。他に方法は考えたんですか?
安田 考えない。まず飛び降りは無理だよ。俺、高いところが嫌いだからさ。その場で動けなくなっちゃうから。
――あとは首吊り、電車への飛び込み……。
安田 無理無理! 毎日電車を見てるけど、あんなものに飛び込めるわけないよ(笑)。
――だったら簡単な練炭自殺……ということですね。簡単なのかどうかはわからないですが。
安田 その前に田山(正雄、レフェリー)氏に電話をしていなかったら、俺はこの世にはいなかったよね。
――練炭自殺直前の電話を不審に思った田山さんが安田さんのアパートに足を運んだところ……自殺未遂の現場を発見したんですよね。安田さんはどうして田山さんに電話してたんですか?
安田 いや、わからないよ。おぼえていない。あの頃は睡眠薬を飲んで朦朧としながらいろんなところに電話をしてたみたいだし。
――未遂に終わって助かったことはどう思いました?
安田 うーん、わかんないね。死んでいたらここまで苦労しなかったのか……ガハハハ! 娘にはメチャクチャ怒られたけどね。「死ぬくらいだったら、なんでもできるでしょ!」と。だからいまはなんでもできてるところはあるよね。 まあ元気があっても、お金がないと何もできないんだけどね(笑)。
――元気とお金があれば、なんでもできると(笑)。その後、自殺未遂の件が「エア焼肉」というネタとして報道されましたよね。
安田 あれは東スポが勝手に書いたんだよね。救急車を呼んじゃったから朝日新聞かなんかが嗅ぎつけて。そうしたら東スポも書かなきゃならないから、そこで「エア焼肉」というネタにしたんでしょ。
――ああいう風に報道されてしまったことで「どこまで本当なんだろう?」って思っちゃった人は多かったんですよ。
――当時の安田さんはそれくらい追い込まれていたんですね。
安田 はい。入院していたら猪木さんからお見舞い金をもらってね。30万か50万ぐらい。それから猪木さんの知り合いの新潟のパチンコ屋で働くことになったんだけどね。
――新潟のパチンコ屋は長いこと働いてましたよね?
安田 そうだね。プロレスの仕事が入らなかったら、もうちょっと働いていたかもしれない。プロレスの仕事が入って練習していたらさ、博打をやりたくなっちゃうんだよ。
――マジメに練習したら遊びたくなっちゃう。
安田 そうそう。プロレスの練習をするということで、休みをもらえたんだけど。ライバル店でパチンコをやっていたらバレちゃってさ(笑)。
――ハハハハハハハハハ! 酷い(笑)。
安田 他店のデータを取りに来たときにわかっちゃってさ。いやでも、一日中練習することはないわけじゃない?
――まあ、そうなんですけど(笑)。
安田 そこはワンマン会社だから、社長がいろいろと自由にさせてくれるわけよ。俺の試合も社長が作ってきてくれたもんだからさ、練習のために休みをくれるんだよね。だから練習はしてるんだよ、ちゃんと。その合間に博打をやらないと精神的に無理だよね。もたないよ。「なんのために練習するの?」って話になっちゃうんだけど……周りの目はそれじゃあ許してくれないよね。
――さすがにライバル店で遊んでいるのはマズイですね。
安田 社員の人間もキツいローテーションの中、働いているわけだから不満は出るんだよね。「なんであの人だけ遊んでるんだ?」みたいな。それに俺は仕事があまりできなかったし。
――パチンコのホール係だったんですか?
安田 そうそう。ホール係ってやることがいっぱいあるんだけど、俺は年寄りだから何をやっても遅い。若い奴は俺の倍以上のスピードで仕事をやっちゃうし。
――パチンコって基本的にお店が勝つ仕組みになってるじゃないですか。そういう実態を把握しながらも、パチンコはやめられなかったんですか?
安田 店が有利だけど、逆にインチキがないんだよね。当たって連荘しないのは俺の引きが悪いってことだから。パチンコは最近はあまりやってないんだけどね。いまは競艇ばっかりだよ。
――競艇が一番面白いですか?
安田 競艇はレースに出場するボートが6艇だからね。裏を欠かれても惜しい感じがするじゃん。
――当たりにカスッた気にさせるんですね(笑)。パチンコ屋のあとは石澤常光さん(ケンドーカシン)の養豚場で働くようになったんですよね。
安田 そうそう。パチンコ屋をクビになってプラプラしていたら「メシは最低限食えるよ」ってことで岩手の山の中に送り込まれたんだよね。岩手山の麓。
――そこは石澤さんが親身になってくれたんですね。
安田 でも、酷いところで働いていたんだよ。人間が住むところじゃないよ、よく続けたと思うもん。古いコテージみたいなところに1人で住んで、朝6時には起きて7時から仕事ですよ。平日は17時で終わり、土日は16時まで。
――休みはないんですか?
安田 休んだら給料から引かれちゃうんだよ。だからあんまり休まなかった。
――ブタに休みなんてないですもんね。
安田 そういうこと。
――養豚場の周りには何か娯楽施設はあったんですか?
安田 近くに遊ぶ場所なんてないよ。街へ買い物に行くのにタクシー代だけで往復5000円はしたかな。農場出るのに5キロぐらいかかったからね。
――ホント山奥だったんですね。
安田 車を持っていれば快適な場所であるんだけどね。俺は免許がなかったからキツイよね。よくあんなところに1年7ヵ月もいたよ。まあ、他にやることはなかったし、それなりに楽しかったんだけどね。ブタはかわいいし。給料がもうちょっと高かったら残ってたんじゃないかな。
――人里離れた生活を送ることで人生観が変わったりしました?
安田 何も変わらないよ(笑)。
――ハハハハハハ。でも、ギャンブルはやってなかったんですよね?
安田 いや、たまに街に出てパチンコやったりしてたよ。パチンコで負けて3時間ぐらいかけて歩いて帰ったこともあったしね。タクシー代ぐらい残せばいいのに。
――どこへ行っても安田忠夫なんですねぇ。
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