閉じる
閉じる
×
「大相撲出のプロレスラー」という共通点だけではなく、じつは出身部屋も同じとなる天龍源一郎と鈴川真一の対談が実現。プロレスだけではなく理想の相撲論まで突っ張った!
─今日は元相撲取りでプロレスラーのお二人の対談を企画させていただきました!
鈴川 よろしくお願いします! 自分は力士時代に天龍さんとは何度かお会いできる機会がありながら、なかなかそれが実現しなかったので、今日は超うれしいんですよ。
天龍 フフフフ……。この前、おまえ『ガチ相撲』に出てたじゃない。ちょうど同じところの取材でね、「メンバー見た瞬間に鈴川が優勝するってわかった」って話をしたばっかりだったんだよ。
鈴川 ごっつぁんです(笑)。
─そもそも、お二人は力士時代は押尾川部屋系統のご出身なんですよね。
天龍 だから鈴川は孫弟子に当たるわけですよね。
鈴川 大先輩です!!
天龍 昔、押尾川部屋と二所ノ関部屋の分裂騒動でいろいろあったんだけど、もしもオレがプロレスに行かずにそのまま押尾川部屋に残ってたら……そこに入ってきたのが鈴川になるわけだよな。
鈴川 はい。自分はその分裂騒動が収まってから押尾川部屋に入門したんですけど、じつは天龍さんが現役力士だった頃に着ていたコート、あの「嶋田」(天龍の本名)と刺繍してあるコートなんですけど、自分、出世が早かったので現役時代にそのコートを先輩から譲り受けたんですよ。
天龍 あ、そうなの?(笑)。押尾川部屋の親方が大麒麟でしょ。鈴川はその「麒麟」の名前をもらって「若麒麟」という名前をつけてもらってたんだから、これはもう有望力士だったんですよ。師匠の名前なんて、なかなかもらえないもんだからね。
─そういう関係性なだけに鈴川さんがプロレス界に入ってきたときはやはり気にかけてました?
天龍 あのね、相撲からプロレスって飛び込みやすいようでなかなか飛び込みにくいんですよ。力士からするとプロレスというのは、言葉は悪いけど、「こんなもの、ふざけやがって!!」と思うもんなんです。そう思ってる世界に自分から飛び込むわけだから、勇気か度胸か開き直りか何かが必要なんだよね。もう一回、「自分の身体でメシを食っていくんだ!」という覚悟がないと飛び込めないのがプロレスの世界だよな?
鈴川 もちろん、そうですね。
天龍 一番安易なのはちゃんこ屋をやるとかね、田舎に帰って相撲を教えるとかが一番ラクなんですよ。まあ、プロレス……猪木さんからするとIGFはプロレスなのかどうかわからないけど、たぶん彼(鈴川)もね、後援会の人たちから「プロレス? やめとけ」って言われたと思いますよ。
鈴川 確かに、みんなからは「本当にプロレスに行くの?」って言われました。「総合格闘技のほうじゃなくて?」って。でも、猪木さんのリングを見てから「やっぱりIGFに行こう」って決めましたね。
天龍 でもなんでおまえ、“コレ”やったの? やっぱり興味から?
鈴川 まあ、そのへんはなんとも…………(神妙に)。
天龍 フフフフ。まあ、相撲取りってね、ヒマだから「もっと楽しいことはないのかな……」って、危ないものにすぐ興味がいっちゃうんだよね。仲間から「大丈夫だよ……」って言われるとすぐ信用して「みんな吸ってるんだったらオレもOKだろう」って思いがちなのよ。
鈴川 天龍さんの時代ってそういうものはなかったんですか?
天龍 いや、オレの時代はそんなのなかったよ。というか、そんなことやってるヤツ自体、少ない時代だったからね。ただアメリカに行ったら、当時はベトナム戦争が終わったばかりだから、アメリカの病みを忘れようとしてクスリに頼る若者がいっぱいいたね。
鈴川 クスリで現実逃避をしているということですか。
天龍 そうそう。停滞している世の中の憂さ晴らしをしている若者がいっぱいいましたよ。それに対して、いまの日本の場合は安定志向に入ってるからおもしろ半分だろうけどね。だけど、当時は「こんなの日本人がやりはじめたら絶対にヤバいな……」と思いましたよ。日本人ってなんでも一生懸命になるじゃない。
鈴川 じゃあ、天龍さんの時代はどんなことで憂さ晴らしをしていたんですか?
天龍 オレらのときはギャンブルや酒もやったけど、まあ相撲取りってどこに行っても“いろいろと許される時代”だったから。一番極端な例はね、列車移動で相撲取り350人ぐらいが大移動するのに誰もチケット持ってないんだよね。
鈴川 ガハハハハハ! さすがッス。
天龍 バーッと350人が適当に350席全部座っちゃうわけだよ。一応、相撲協会がチケット350席はとってるんだけど、チケット自体は誰も持ってない。そういう時代でしたよ。
─お相撲さんらしいお話ですね(笑)。
天龍 あと「○○○が亡くなったから葬式に顔を出してよ」って親方から言われて、その帰りに「今日はご祝儀はないんだ」って不思議に思ってるというね。お葬式なのにご祝儀をもらってあたりまえになっちゃってるんだよね、相撲取りって。
鈴川 自分らの時代だと、メシ屋だとだいたいオマケはしてもらえるという感じでしたけど、やっぱり昔のほうが凄いっすね(笑)。
天龍 でも相撲も外国勢、とくにモンゴルとか、あとは学生相撲のヤツらが入ってくるようになって変わったんじゃない?
鈴川 そうですね。やっぱり変わりました。
チャンネル会員ならもっと楽しめる!
- 会員限定の新着記事が読み放題!※1
- 動画や生放送などの追加コンテンツが見放題!※2
-
- ※1、入会月以降の記事が対象になります。
- ※2、チャンネルによって、見放題になるコンテンツは異なります。
Dropkick
更新頻度:
ほぼ毎日
最終更新日:
チャンネル月額:
¥550
(税込)