「ジチョー」「シッシー」の愛称で親しまれてきた元『週刊プロレス』編集次長、宍倉清則氏。90年代『週プロ』黄金期を支えた活字プロレス者のひとりであり、名物コラム「感動させてよ」は独特の世界観が大きな話題を呼んだ。現在はベースボールマガジン社を退社。自身のブログで表現活動を続けているが、インタビューでプロレス観を語り下ろした機会は多くはない。ブログとボインがつながるB論2万字ロングインタビューを堪能してほしい!


宍倉 (椅子に着くなり)オレ、まだ迷ってるんです。このインタビューを受けるのを。

――あ、そうなんですか。踏ん切りがつくようにさっそくレコーダーを回させていただきます(笑)。

宍倉 いまは自分のブログをやってるので、そこで書くことでけっこう満足してるというか、べつにどこかに「出たい」という欲もないし。

――プロレスファンのあいだで話題のブログ『生きてることが奇跡!! 宍倉清則のキモチ』ですね。今年の6月にベースボールマガジン社を辞めたのもブログを書きたいからなんですよね。

宍倉 それはホントですね。バッカみたいな話なんですけど。

――いや、そんなおもいきりのいい決断できる宍倉さんは凄いですよ!

宍倉 会社を辞めた大きな理由であることは間違いないし。オレ、あと4年で60歳で定年を迎えられたんですよ。その4年間のあいだ、会社の言うことを聞いておとなしくしていれば……そう考えたら4年間がもの凄い無駄というか。若いときよりも、むしろいまの年齢のほうが一日一日を大事にしたいんですよ。だからこのあとの4年間、ブログを書けないことにゾッとしたというか、それがもの凄く人生の損失だと思ったので。

――ブログ問題でそんなに悩んでいたんですね。

宍倉 「ブログのために会社を辞める」なんて他人から見たら凄くバカバカしいと思われるんですけど、実際問題それはブログを始める前から考えてたというか。ただのきっかけに過ぎないといえばそうなんですけど。簡単に言うと「自由になりたい!」っていう気持ちがあったし。辞めることは周りの人間にもほとんど言ってなかったんですよ。「宍倉さんは絶対に辞めるわけはない」ってみんな思ってるわけだから……。

――あと4年で定年ですもんね。

宍倉 もう自分から言っちゃうけど、みんな「宍倉さんが『週プロ』を辞めたら何もできるわけない」って思ってるというかね(苦笑)。そういう空気も感じてたので「それをぶっ壊してやろう!」「みんなをあっと言わせてやろう!!」っていうかさ。

――つまり存在証明のための退職というか。

宍倉 いまは汗水垂らしてアルバイトをしてるんですけど、それは生きるためでもあり、「宍倉さんがそんな仕事を?」って驚かせたいんですよね。この取材も小さいかもしれないけど、あっと驚くかなって思ったんですよ。意外に思われるだろうって。

――でも、退職されてからほかの媒体からも出演オファーはあったそうですよね。

宍倉 ありましたね。でも、そのときは何か抵抗があったんですよ。企画の趣旨は今回は似たようなもんなんですけど。この件で斉藤さん(『Dropkick』編集者)にお会いして話をしたときに何も嫌な感じを持たなかったのが率直な理由かもしれない。

――それはあの編集者に感情がないだけかもしれませんけど(笑)。

宍倉 そこで何か悪意があったらオレは絶対に感じると思う。だからちょっと乗っかってもいいかなっていうか。猪木さんじゃないけど「迷わず行けよ!」っていう感じで。いままでほかのところからいろいろ話はありましたよ、『週プロ』にいるあいだもね。オレは途中から契約社員になっていたから受けてもいいのかもしれないですけど、全部断ってたんです。それは立場として「やれる、やれない」じゃなくて『週プロ』一筋、『週プロ』命でやってきたオレのプロレス記者人生だから……。だからほかの媒体に出る必要もないし、出たくもないし。『週プロ』に強い思い入れがあったので。でも、いまは世の中をあっと驚かせてやりたい気持ちは強いですね。そのためにはブログの存在は大きい。

――それくらい宍倉さんにとってブログは大事な存在なんですね。

宍倉 もしも会社を辞めてもブログ禁止のルールがあるんだったらこんな決断しないですよ! そんなルールはあるわけないんだけどさ。

――会社にいるかぎりはブログをやっちゃいけないって命令されてたんですか?

宍倉 言われました。閉鎖を命じられた。

――何か原因はあったんですか?

宍倉 当然あります。それを言えるんだったら……。まあ、たいしたことじゃないんですけど、ほかにもいくつかの理由が積み重なって会社を辞めたんですけど……。

「山本さん時代の週プロは俺が編集長のようなもんだった」
「紅夜叉選手の表紙は狙ってました……いわゆる巨乳ですよ」など名言が連発される続きは誌面で!

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