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・THE MATCH総合演出・佐藤大輔「天心も武尊もちゃんと送り出せる映像を作りたかった」
──大晦日のRIZINは面白かったです!
――ハハハハハハハ! インタビュー冒頭から終わらせないでください。
──ハードコアなカードにしては、いい数字だと。
佐藤 うん。関係者も「これはすごいね」という感想ですね。
──今回のカードでPPVが売れるってすごい時代ですね。ぶっちゃけベラトールって、日本でもよっぽどのコアファンにしか知られてないですよね。
佐藤 なんなら俺もそんなには知らないですよ(笑)。
──ハハハハハハハ! でも面白がりかたはわかってるというか、面白く魅せる方法を知ってるわけですよね。事前の噂だとPPVが伸びないんじゃないか……って話も流れてきて。
佐藤 やる前は「PPVはしんどいんじゃないの?」とは思っていたけど、蓋を開けたら……ってことですね。
──「前売りで○万件しか売れてないんです」って言われて、逆にそんなに売れてるんだって驚いたんですけど。PRIDEのときって1大会でもそんな売れてないのに。
佐藤 だから格闘技のステージが変わってきてるってことですよね。ファイトマネーだってPRIDEの頃とは比較にならないでしょ。ベラトールの副将(ピットブル)、大将(AJマッキー)のふたりだって、毎回RIZINに来たらRIZINが潰れるくらいの金額ですよ(笑)。
――ひえっ(笑)。
佐藤 そんなの強くてあたりまえなんだよ、言っちゃえば(笑)。いまのMMAって競技体系も含めてアメリカのものになってるわけで、アメリカで育ってアメリカで鍛えてる選手が強いのはあたりまえだよね。そんな連中相手にあそこまでやったRIZINの選手、超強いじゃん!と感心しました。
佐藤 本当にレベルをあげたいんだったら堀口恭司みたいに向こうに住むしかないんだよね。俺は格闘技の素人だから当たってるかはわからんけど。野球の大谷翔平だってそうでしょう。
──修斗の岡田遼選手も「日本でやっていくならアメリカに行かなくてもいいけど……」という言い方をしてましたけど、もう日本でやっていくにしてもアメリカは求められてきますねぇ。
佐藤 MMAはアメリカのものだから、MMAをやるならアメリカ人になるしかないんだよ。突然変異的にハビブ・ヌルマゴメドフ を生み出すダゲスタンみたいな土地もあるんだろうけど。
──土着性格闘技を活かしたファイターってことですね。
佐藤 そうそう。サトシやクレベルもその系統ではありますよね。
──ブラジリアン柔術の強みを最大限に発揮するという。今回は地上波のない大晦日でしたけど、だからって寂しい雰囲気は感じられなかったですね。
佐藤 そうですね。俺の作業でいえばフジテレビの中継がないことによって、VTRの編集に集中できて仕事としては自分のやりたいことが完璧にできたなって思います。けど普段の大晦日は自分の頭の中の半分以上はフジテレビの視聴率を獲るためにどうしたらいいか?ってことに割かれるわけで。それを考えなくていい大晦日はある意味で寂しいもんですよ。
──大きなやりがいが消えた。
佐藤 そういうことです。
──前に大晦日地上波中継の進行表を見せてもらいましたけど、分刻みで試合やCMがセットされてて、恐ろしいプロジェクトなんだなと。
佐藤 そこはもう何度も何度も会議して決めてるんですよ。RIZINの数字が思ったより爆発しなかったのは、その中心にいた俺の責任でもありますよ……責任は取らないけどね(笑)。
──ハハハハハハハ。
佐藤 また地上波をやるとなったら俺がやります。責任は取らないけど、俺しかできないと思ってますよ。
──大晦日格闘技ってPRIDEの頃から、大会は面白かったのに視聴率が判明する翌々日に、その余韻が吹き飛んでましたよね。
佐藤 そうなんですよ。数字が出る1月2日が憂鬱でさ。大晦日はいい大会だったな、来年にも繋がるなー、選手も素晴らしいなー……と思っていても、1月2日に鬱になるっていうパターンが多かったけど、今回はそれはなくて。
──だから今日は元気なんですかね。
佐藤 それもあると思う。だって今回は褒められるしかないじゃん!!(笑)。
──どんなに面白かったとしても、数字が優先されて「やっぱりこのやり方じゃよくないんじゃないか」みたいな声が聞こえてくるわけですもんね。
佐藤 対世間がどうこうとか言われるわけですよ。そこは難しいね。一切責任は取らないんだけど(笑)。
──今回はPPVの数字もよくてファンの反応もよかったわけですが、もし大晦日地上波があったらカード編成が変わってました?
佐藤 その可能性はあるけど、それは仮定の話だから。地上波があっても、このカードのままやっている可能性も充分にありますよ。
──地上波はなかったぶん、やりがいがひとつ消えた佐藤大輔さんからすると、ハードコア路線と対世間路線どちらが好みなんですか?
佐藤 いちRIZIEファンとしては今回のほうが圧倒的に好み。仕事人としては「やり足りねえな」っていうのは正直ありますよ。ただ今回みたいにターゲットを絞って、きゅっとやったほうがいいものが作れることは間違いない。
──世間をターゲットにするって雲を掴むようなもんですもんね。
佐藤 まさに。だって格闘技をよく知らない人に向けるわけだから。
──ターゲットを絞るという方向性から、RIZINvsベラトールの全面対抗戦はPRIDEの演出を取り入れたってことなんですか? PRIDEのテーマを流したり、カードの紹介の「come on baby♪」、インターバルや試合後の音楽もPRIDEのやつで。
――ウケ狙い!
──また最終回(笑)。全面対抗戦の記者会見があった六本木アリーナは、PRIDE☓UFCスーパーボウル構想が発表された場所でもありますね。それだったら対抗戦のオープニングにPRIDEのテーマはふさわしい。
佐藤 まあ簡単に言ってしまうとサービスですよね。思い入れがあって流したと思われたら困る。PRIDEのテーマなんて好きじゃないですよ。
――またまた(笑)。
佐藤 ホントに。PRIDEが終わってからろくに聞いてないし。たまに格闘技以外の番組なんかでパロディとして流したりしたけど、それも「これをやったら盛り上がるんでしょ?」って感じ。今回もサービスです。なんだろうなあ。いまはRIZINのほうが好きなんですよ。いま付き合ってる女性のほうが好きだから、昔の女のことも話せるというか。
佐藤 そうそう、未練がましくない。そこは青木真也さん、間違ってますよ。
佐藤 そうネタ、完全にネタ、ひとつのツール。このタイミングでやれば絶対にウケるから。もう使いません。絶対使わないと思う、たぶん(笑)。これぐらいのシチュエーションってなかなかなくないですか?
――それこそUFCと対抗戦をやるとか。ボクがいい話だなと思ったのは、笹原さんは当初このPRIDE演出にあまり乗り気ではなかったということですね。
佐藤 そうそう。笹原さんに相談したら、小声で「いまさらやります、それ?」って。要はPRIDEを引きずってる感じを出したくないってことですよね。この演出をやることに微妙な薄ら寒さを感じるのは、おそらく世界中で俺と笹原さんだけなんですよ。
佐藤 いまはRIZINをやれてるじゃないですか。それなのに「まだPRIDEなの?」って薄ら寒さがある。だから文句を言う青木真也の思いもすごくわかりますよ。
──DREAMに夢を見た青木真也は、あれを言える資格があるってことですね。
佐藤 でも俺が「PRIDEあったよねー。懐かしいよねー」って、わりとポップな感じでやれるんだから。それってPRIDEを復活させたいとかさ、引きずってるわけではない。RIZINしか知らないファンに「これが伝説のPRIDEだぞ!」ってドヤ顔できるタイミングだからやったってだけで。
──いまはもうRIZINの意識が強いし、「PRIDEの笹原さん」とか「PRIDEの佐藤大輔さん」とは言われたくないという。
佐藤 まあ言われてもいいやって感じですよ。利用するものは利用しようという感じ。実際に今回も盛り上がったし。でも、ちょっと不安だったから、ジャン斉藤さんにも軽く相談したじゃん。「PRIDEのテーマを流したらスベるかな?」って。あなた無責任な立場のくせに、「スベらない!」って自信満々に言ったでしょう。
──たしかに言いましたね。絶賛麻雀中で深く考えず肯定したかもしれないですけど(笑)。面白いなと思ったのは数十分後に「……本当に大丈夫かな?」って念押ししてきたことですよ。こんなに慎重な佐藤大輔さんは珍しい!!
佐藤 だってDREAMがなくなってもう10年以上経ってるんですよ。俺らみたいな思いをしていた人たちがいるのか、いないのか……。その思いを抱えているのは、ファンというより当事者寄りでしょう。
――つまり自己満足の演出なんじゃないかと。
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コメント
コメントを書くここでうかがえる人間模様から人生論のようなものまで学べる。このチャンネル購読者で良かったと思える瞬間です。
うーん。少なくとも酒を飲みながら読むべき文章ではないと。
不必要に「自分の人生とは?」と考え込んでしまう。
でも、最高。