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◎GLEATはなぜ「日本プロレスリング連盟」でグレイトさせてもらえないのか■鈴木裕之
◎エル・リンダマンのグレイトなプロフェッショナルインタビュー
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■事情通Zの「プロレス点と線」
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・7月13日ノア武道館&マリーゴールド両国
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・「乱入・反則への反発」「観客動員」「ダイナマイト・キッドの甥」「丸森レア」
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GLEATはなぜ「日本プロレスリング連盟」でグレイトさせてもらえないのか? 鈴木裕之代表インタビュー!(聞き手/ジャン斉藤)
――3周年大会のビッグマッチ前(7月1日)に申し訳ないんですけど、GLEATさんが各プロレス団体が連なる「日本プロレスリング連盟」に誘われていないことが話題になってます。
鈴木 あ、そこから?(笑)。旗揚げ3周年がどうだったとかじゃなくて?
――すいません、急すぎますか(笑)。
鈴木 まあ「グレイトします!」と宣言してから4年なんですけどね。
――ここまでの手応えはいかがですか?
鈴木 正直コロナが明けても、どこのプロレス団体も集客に苦戦してるように見えるじゃないですか。
――コロナが明けでも客足が戻ってこないと言われてますね。
鈴木 そうなんですよね。お客さんが戻ってこない。もしかしたらコロナ後半の時期のほうが集客がよかったんじゃないか……っていう見方もあると思うんですよ。要は徐々に規制が緩くなってきたから久しぶりに会場に行ってみよう、配信で見て面白かったから行ってみようとなった。コロナ禍でもなんだかんだやってきたジャンルでもあったんで。
――コロナ禍でも楽しめる数少ないエンタメだったからこそ集客もあったと。
鈴木 そうそう。でも、飲み屋さんを含めて復活しちゃったから、選択肢として選びづらくなっちゃってるかもですね。コロナのときは5の中の1だったけど、いまは1000の中の1になっているというか。
――配信に慣れたせいで「無理に会場に行かなくてもいいのかな」というハードルの上がり方はないですか?
鈴木 それも昭和の新日本さんで考えると、ゴールデンタイム中継で試合を見せておきながら、それでも会場にお客さんを引っ張ってきたんで。いまだってRIZINさんはすべての大会ではないけど、会場を埋めてますよね。だから配信はむしろ言い訳でしかなくて。
――言い訳(笑)。
鈴木 はい(笑)。配信で見ることができたうえに会場まで行きたいまでにはならないだけなのかな。そこはコンプライアンスがたぶん一番ネックだなと思います。
――コンプライアンスですか?
鈴木 たとえば昔のプロレスって“なんでもあり”で、いろいろとできたじゃないですか。たとえば実際の人間関係の悪さ、先輩後輩の確執なんかをリング上に転換していたから感情が出やすかったんだと思うんですよね。でも、いまはかつてのようなスクワット1000回とかの過酷な練習をさせたら、パワハラ、いじめ扱いになるわけですよ。誤解しないでほしいのは新弟子をイジメたほうがいいという話じゃないですよ(笑)。
――わかります!(笑)。昔のプロレスと比べてやっちゃいけないことがめちゃくちゃ増えている話は聞いてますね。
鈴木 それはコンプライアンスが厳しくなったからですね。そういう意味でいえば、ブレイキングダウン的なものをプロレスでやったら大ブレイクしたかもしれない。
――あー、なるほど。ブレイキングダウンはコンプラ全盛の中で無法地帯ですね。
鈴木 ブレイキングダウンがうまいのは「社会のドロップアウト組が人生再生のために集まってきます!」みたいなスタンスだってことを最初から謳っちゃってるじゃないですか。あれはノーコンプラってことですよ。
――じつは格闘技の乱闘やトラッシュトークにプロレスがわりを食ってるんじゃないかって思ってたんですよ。警察沙汰にもなった猪木さんの伊勢丹襲撃事件も、騒動自体はブレイキングダウンっぽくはありますよね。
鈴木 いまのプロレスはああいうことはできないですよね。やっぱり人生って正しい道だけじゃない。ノーコンプラの中から生まれる憎悪をリングで消化するから面白い。いちばんお金を持っている団塊ジュニアと呼ばれている世代はまあノーコンプラなエンタメの中で育ったわけで。そういう層に向けた内容にしたいんだけど、いまはなかなかできないですね。
――ノーコンプラ世代が見たくなるものがつくりづらいと。
鈴木 コンプラがあって選手はムチャできないのに、一部のファンはネットで凶暴化しがちなんですよね。憧れのはずだった選手にクソだなんだとマウントを取るし、もしくはモンスターペアレントとして見るようになっちゃってる。ネットだと選手よりファンのほうが強く見えるかもしれないですよ(笑)。でも、それは仕方ないところもありますよね。リングの神棚にいた選手たちが会場の物販ブースでファンを出迎えているわけですから。
――そこで選手と距離を勘違いしてしまうファンが出てくると。
鈴木 いまGLEATがやっていることは、選手たちを神棚に戻すことです。簡単に会えないにしていく。お客様の特典としてサイン会をやるときもあるんですが、どこでもなんでも会えるようにはしないほうがいいし、プロレスラーの神々しさをどう作っていくか。幻想を作り直そうと。
――その作業を行なううえでもコンプラが厄介なわけですね。
鈴木 そうですねぇ。コンプラによってニュージャンルになることを求められているのがこの5年ぐらいなんだと思います。プロレスという側の看板は変わらないんだけど、もう中身が違う。あり方を変えるにはいわゆるブレンキングダウンみたいに最初からノーコンプラを謳うか、もしくは2.5次元のお芝居みたいなアイドルチックなものに仕上げていくか。
――手っ取り早いのは2.5次元。
鈴木 2.5次元は最初から2.5次元としてやってるから敵うわけないんですよ。その世界観が仕上がっているし、いわゆるシナリオがあるわけじゃないですか。だけどプロレスってプロレスラー同士の察知と想像力で作っていかなきゃいけないので。WWEはいわゆる世界トップレベルのシナリオライターが入ってると思うんですよ。日本はそうじゃなくて、そこは日本のプロレスの良さではあるんですけど、選手に任しているところがすごく多いので、選手が仕掛けないと動かないときもある。しかもそこは2人3脚じゃないですか。戦う者同士は憎悪を持ち合わなきゃいけないのに、相手と運命共同体になっちゃうんですけど。片方は頑張っても片方が乗らなかったら損するわけですから。
――ヘタすると仕掛け損、乗っかり損になってしまうこともあると。
鈴木 そうそう。あといまはお客さんをなかなか驚かせることがむずかしいですよね。「こういう人が出るんだろうな」ってだいたい読めるっていうか。昔は「まだ見ぬ強豪」がプロレスの醍醐味としてあったわけだけど、いまは順当になってきちゃってるので。
――サプライズが起きてもプロレス内の出来事だったりしますね。
鈴木 いまのプロレス界は朝倉未来なんか絶対に上げないですよね。
――ああ、たしかに。いまのプロレスはそういうモードは一切ない。
鈴木 でも、これがWWEだとレッスルマニアに朝倉未来を上げちゃうんですよ。
――メイウェザーやローガン・ポールを上げちゃうWWEならやるでしょうねぇ。
鈴木 朝倉未来のことを上げると思います。そこがいまの日本プロレス界にちょっと欠けちゃってることだと思う。今度未来選手と戦う平本蓮のことも上げないんですよね。
――これが20年前30年前なら、猪木さんが「なんか面白い奴がいるんだろ?ちょっと呼んでこいよ」って言いそうですね。かつてそういう仕掛けをやりすぎてプロレス界がグラついたこともあって、朝倉未来や平本蓮なんかをプロレスに上げるようとする企みが消え失せたんですけど。
鈴木 平本選手はXでいつも炎上してるじゃないですか。いまのプロレス界だと、すぐにやめさせると思うんですね。でも、RIZINは泳がせるじゃないですか。
――まあ泳がせるというか、制御不能というか(笑)。
鈴木 あれは平本選手の本当の感情が吐露した部分。そこはいちばんビジネスになるところなんですけど、そうなる前にいまの日本プロレス界は選手のことを制御しちゃってるんで。日常のトラブルを活かしているRIZINとブレイキングダウンはプロレス界の未来を考えるうえでけっこうポイントですね。ただ、プロレスとの違いでいえば、格闘技の場合は選手が何か起こしたらジムの責任になるじゃないですか。団体にも批判は起こるけど、選手個人やジムの責任になる。プロレスは団体の責任になりますからね。
――だからコンプラを重視しないといけないところはあると。
鈴木 そこは枠組みの違いもありますし、やっぱりコンプラの壁がありますよ。
――GLEATの選手はそのへんはどういう雰囲気なんですか?
鈴木 GLEATっていわゆる血の違う人間たちが集まった団体じゃないですか。プロレスの歴史的に外様の集まりって全部潰れているんですけど。全員が一蓮托生でGLEATの人間になるってことで3年間やってきて、これからは競争ですけど、そこはファンのニーズ次第。プロレスって勝ち負けだけじゃないですよね。負けても人気が出るのがプロレスだったりするわけで。
――この3年間、予想どおりにできてるところ、できなかったところはあるわけですよね。
鈴木 おおむね予想というか、理想以上ではやれてますよね。当初は「GLEATなんか速攻終わるよ」みたいな声も多くて、ボクそこに異論なかったんですよ。「たしかにそうかもしれないな……」って(笑)。
――ハハハハハハハ。
鈴木 コロナ禍から始まって、よく3年もったなみたいな。それも売上げ、動員数もどんどん上がって、最初は数千万だったのがもう億を超えていたり。成長率でいえば、プロレス業界で一番高い団体になるかなって思ってるんですね。
プロレス記事9本7万字の詰め合わせセットはまだまだ続く