米国西海岸のシリコンバレーにある世界屈指の名門校スタンフォード大学のビジネススクールで先月、ダナ・ホワイトが講演会を行った。IT業界やベンチャービジネスを中心に、ビジネス界に幅広くトップ人材を輩出している同学でのダナ・ホワイトの講演内容は、コアなファンにはすでにお馴染みの内容も多いものの、経営学の学生向けに、経営哲学的な内容への踏み込みも見られた。今回はその講演内容から一部をサマリーして紹介してみたい。
Q あなたは2001年に、赤字会社だったズッファを200万ドルで買収しました。当時、どんな勝算があったのですか。
当時私は、チャック・リデルやティト・オーティスといった選手のマネージャーとして、ズッファの旧オーナーとやりとりがあり、ズッファが倒産寸前だという情報を耳にした。そこで私とフェルティータ兄弟とで、ズッファを買収することにしたんだ。その頃私たちは柔術の練習をしていて、その関係で多くの総合格闘家と交流があったんだが、彼らはみな、頭が良くてすばらしい人たちだった。みなさんもチャック・リデルのことは知っているだろう?あんなに怖い顔をして、モヒカン刈り、漢字のタトゥーを入れている。みるからに荒くれたアルティメット・ファイターだ。でも彼は、カリフォルニア州立理工大学を会計学専攻で卒業している。こういうきちんとした人たちをちゃんと売り出せば、きっとうまくいくと思ったんだ。
もう1つの勝算は、当時はさんざんクレイジーだと言われたが、この競技は世界中で受け入れられはずだと信じていたんだ。たとえばNFLはアメリカでは大人気だ。普段見ていない人でも、スーパーボールくらいは見るだろう。ところがインドに行くと、フットボールはまったく知られていなくて、クリケット人気が絶大だ。あるいは、サッカーは世界中で大人気だが、アメリカでは今ひとつだ。そういう例は枚挙に暇がない。人気スポーツは国によって違うんだ。ただ、格闘技だけはどの国にいっても愛される。国籍も言語も肌の色も関係ない。モハメド・アリ、マイク・タイソン、ブルース・リーの名前はだれでも知っている。70年代に亡くなった中国人のことを、この部屋の全員が知っているんだぞ。格闘技は人間のDNAに組み込まれている。だれでも見れば理解できる。だれもが強い男には魅了されるんだ。
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