ヴァンダレイ・シウバにKO負けを喫したその夜、東京のホテルでブライアン・スタンは引退の決心を固めた。発表が今のタイミングになったのは、引退宣言だけしておいてあとで撤回するような、プロとしてみっともないことをしたくなかったからである。だからたっぷり時間を取って、自分の決心に揺るぎがないことを確認していたにすぎなかった。
スタンは明かしている。「当時はすごくイライラしていた。自分はほかのいろいろなことに犠牲を強いて、心身ともに格闘技に注ぎ込んでいるのに、本当にそこまでの値打ちがあるのかなと疑問を感じ始めていたんだ」
「シウバ戦に向けても、すごくハードな練習をこなしてきた。自分が負けるだなんて、想像もしなかった。でも負けた。ヴァンダレイに負けたという事実、自分にとって連敗となってしまったというタイミングを考えると、競争の階段から一気に蹴り落とされたような気持ちになった。もはや自分はトップ10