UFCアジア・マネージングディレクターのマーク・フィッシャー氏が「日本vs韓国のリアリティショー番組計画」を示唆したことで、気の早いMMAファンからは「スポーツに政治を持ちこまれる」ことが懸念されている。いま現在、日本と韓国の関係は領土・歴史問題などにより最悪で、国内外ではその対立を煽る報道が急増。スポーツの世界でもその影響が見受けられる。以前には野球のWBCで日本代表に勝利した韓国代表がピッチャーマウンドに太極旗を立てるという挑発的なパフォーマンスをしたり、ロンドン五輪でのサッカー日韓戦でも韓国側の選手が「独島はわが領土」というフラッグを掲げたことが問題になった。いまの日韓関係の中で実際にそんなリアリティショー番組が制作されれば、似たような騒動が起きてもおかしくない。
 イギリスの文学者サミュエル・ジョンソンの「愛国心はならず者の最後の砦である」という言葉のとおり、ナショナリズムの取り扱いは非常に難しい。「スキャンダルをビジネスに!」がモットーのあの猪木さんが、冗談でも「尖閣争奪プロレス」や「竹島デスマッチ」なんて口を滑らせないことから、いかにデリケートな領域であるかは理解できるだろう。

 しかし、その壁を破壊しようとした男がいる。破壊なくして創造なし! 
 破壊王・橋本真也だ!!

いまから10年前――当時ZERO-ONE代表だった橋本真也は、力道山以来の開催となる靖国神社「奉納プロレス大会」開催を表明。するとZERO-ONE後楽園ホール大会に謎の中国人集団が現れて、その計画に猛抗議。ZERO-ONE関係者と揉み合いになったというのだ。この時点でヤバすぎ! 
 あまりにも政治色が強い突然の騒動に、全マスコミはプロレスの出来事として捉えなかったため一切報道せず。いまならJ-CASTニュースあたりが速報し、まとめサイトがさんざん煽っていたに違いない。 
 こうしてマスコミがガン無視のまま、謎の中国人はZERO-ONE事務所に乱入するというベタな展開を経てプロレス参戦が決定。靖国神社内に設置されたリングにも足を踏み入れることになった(とはいえ参戦の経緯は当たり前のように詳しくは伝えられなかった)。 
 ちなみにその中国人は「王拳聖」というリングネームを名乗っていたが、じつは稲川素子事務所所属の「王拳軍」という外国人タレント。北京武術学校出身の中国拳法の達人で、同期にはあのリー・リンチェイ(ジェット・リー)がいたという。プロレス未経験ではあるものの、コミカルな酔拳の動きやヌンチャクを使ったりする武術プロレスはなかなか見応えがあった記憶がある。靖国問題から生まれた政治物件は中国拳法の達人としてプロレスという異形の世界に着地したのだ。
 
 いまであれば、確実に国内外で報道されて炎上していたであろう「中国人が抗議する奉納プロレス」。時代の一歩先を行っていた(ような気もする)破壊王は、なんと「幸福の科学vs統一教会」をプロレスの世界に持ちこむことを夢想していたらしく「これをやれば東京ドームも満員やろ!」と気炎を上げていたそうです。大川隆法先生のイタコ術で橋本真也に真意を確かめたい!(さいちん)


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