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川尻達也、3度目の網膜剥離……「復帰できるかはわかりませんが、悪あがきはしますよ」
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川尻達也、3度目の網膜剥離……「復帰できるかはわかりませんが、悪あがきはしますよ」

2014-07-13 00:41

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    「やりきったという思いもあるけど、もっとやりきりたいという思いもあります」

    川尻達也が網膜剥離の手術のために9月のUFC日本大会出場が見送られた。そればかりか現役続行の危機にあるという。我らが川尻達也が置かれた状況とは……


    ――
    川尻選手が左目の網膜剥離の手術を受けるためにUFC日本大会を出場しないという報道がされました。ファンがなにより驚いたのは川尻選手の網膜剥離の手術が3回目ということです。

    川尻 べつに隠してたわけじゃないんですよ。身近な選手や関係者は知ってましたし、公に言ってなかっただけなんですけど。海外でニュースになったからもう言ってもいいかなって。それまでは公表するといろいろと心配されて大変だなと思ってたんです。

    ――明かさずに済むならそうしたかったわけですね。

    川尻 それにMMAファイターの網膜剥離の症例ってそんなに出ていないじゃないですか。トレーナーの山田(武士)さんが言ってましたけど、MMAはグローブは小さいし、目に指が入るケースが多いのでボクサーよりMMAファイターのほうが網膜剥離になりやすい。表に出ていないだけで症例は多いと思うんですよ。そういう中でじつは困ってるファイターもいると思うんですよね。こうやってボクがしゃべることで参考になればいいかなっていう気持ちもあるし。ボクに相談したところで解決できないですけど、話を聞くことやボクの経験を話すことはできるので。そういうファイターがいるのであればファイスブックとかに連絡をもらってもいいし。とはいっても、ボク自身がまた試合ができるかどうかはわからないんですけどね。

    ――3回目の網膜剥離が発覚したのはいつですか。

    川尻 6月20日頃ですね。練習中に違和感があっていつも診てもらっている眼科に行ったら「網膜剥離が再発している」と。それで前回と前々回に手術をした大学病院を紹介してもらったんです。そのまま放っておいたら目が見なくなってしまうので手術はするしかないんですけど。でも、ファイターを続けると考えたら手術をしても同じことの繰り返しになっちゃうんですよ。

    ――繰り返しと言いますと?

    川尻 ボクがこれまで受けていた手術はバックリング手術といって、簡単に言うと眼球にバックルをつけて網膜とくっつけるようなものなんですけど。また手術をしても練習や試合で何かあったらまた再発するだろうなって。そのたびに手術をしてたら普段の生活にも支障をきたすと思うし、この年齢で1年間試合できないのってかなり大きいことだと思うんです。それに2回目手術したときに「今度再発したら引退しよう」と決めてたんですよね。

    ――今回の再発で引退という選択はあったんですね。

    川尻 一度は引退を決めたんです。嫁には一番最初に「再発したからやめる」と伝えましたし。でも、山田さんから「ちょっと待て。まだ可能性があるかもしれないから」って止められて。でも「もういいですよ、山田さん」っていう気持ちだったんですよ。もちろん続けたい気持ちはありましたけど、ホントにキツいんです。だって、これで3回目だからいろいろとわかるわけじゃないですか。また再発するかもしれない。そういう毎日を送るのは本当にキツイんですよ。 

    ――試合をしているほうが楽というか。

    川尻 ぜんぜん楽ですよ。網膜剥離は毎日が不安との闘いなんで。毎朝、起きるたびに「目は大丈夫かな……」って意識していたし、練習前に「この練習で最後かもしれないな……」と思ってやっていたし。だからいままでにないくらい限界まで追い込めていたところはあるんですけど。

    ――24時間、闘っていなきゃいけないという。

    川尻 娘といるときも気が抜けないんですよ。子どもがなんの気なしに挙げた手が目にあたって網膜剥離になった例を聞かされてるので。娘と一緒に寝るときも怖いし、メガネをつけたまま寝かしつけたりしてましたよね。

    ――楽になりたいわけじゃないですけど、解放されたい。だから「もういいですよ、山田さん」と。山田さんがシンガポール大会のときにオクタゴンに入る川尻さんの姿を見て「もうやめさせてあげたい」と祈るように言ってましたけど、そういう背景があったんですね……。

    川尻 シンガポールのとき試合前に言ってたんですよ。試合中に再発したことがわかったら勝ち負け関係なく足を止めて打ち合うって。そのときは「目に何かあったんだなって思ってください」と。それで試合でいきなり右ストレート食らったじゃないですか。それでボクが目を気にしたから山田さんはいてもたってもいられなくなったみたいですね。実際はコンタクトがズレただけだったんですけど(笑)。

    ――あの試合、川尻さんがムキになって打ち合うシーンがあったから山田さんもビックリしたんじゃないですかね。

    川尻 そうかもしれないですね。それでボクはもうあきらめていたんですけど、山田さんからある方を紹介してもらったんですよ。その方がいろいろと調べてくれて、バックリング手術とは違う新しい方法があることがわかったんです。最初の網膜剥離のときにそこで診てもらえれば完治できたかもしれない、と。

    ――では、完治の道が見えてきたわけですか。

    川尻 いや、ボクの場合は2回手術をしてるので、まずはバックリングを外す手術をしなければならなくて。それが外せるかどうかはまだわからないんです。外せれば元に戻る可能性はある、と。もちろんダメな場合もあるからリスクはあるんですけど。一度は「やめる」ことを決めて気持ちは切れてるので、何か可能性があるのであればそこに懸けてみようかな、と。

    ――それはどれくらいの可能性と聞いてるんですか。

    川尻 わからないですね。そのバックルが取れるかどうかも開いてみないとわからないと言われてるので。取れない位置にあったらダメだろうし。

     
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