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大沢 最近『シークレットレース ツール・ド・フランスの知られざる内幕』を読んでるんですけど、メチャクチャ面白いですよ、これ。
――自転車ロードレースにおけるドーピングの実態を暴いたノンフィクション本ですね。「ツール・ド・フランス」7連覇のランス・アームストロングがドーピングを認めるきっかけとなったことでも有名で。
大沢 これを読んでいくとMMAもドーピングが蔓延してるんだろうな……と思えるようなことが書いてるんですよ。この本を読む前からそういう話は聞いていたんですけど。アンデウソン・シウバやジョン・フィッチの検査結果を知って、認識の甘さに気付かれましたよね。
――アンデウソンがアウトだったことはショックですよねぇ。
大沢 ただ、ボクもこの業界でこれからもずっと生きて行く中で、ドーピングには向き合って考えないといけないこともあるかなって。
――完全な根絶は難しいですし、大沢さんが育てた選手がドーパー(ドーピング適用ファイター)と戦う可能性が出てくるわけですよね。
大沢 そうなんですよね。コッチもやるかどうかはアレですけど(笑)。
――大沢さんがドーピングの話を聞き始めたのはだいぶ前ですよね?
大沢 話は聞いていたんですよ。「アメリカのほとんどの選手はほとんど使ってる」とかね。ボクがアメリカで試合をしていたのは2008年頃ですけど、向こうで会った通訳の人が「みんな使ってるよ」って。でも、当時は信じてなかったところはあったんですよね。
――なぜ信じなかったんですか?
大沢 そこはねぇ……なんなんでしょうねぇ。
――「アイドルは恋愛しない」と同じでどこか信用していたというか(笑)。
大沢 いまほどは実感してなかったんですかねぇ
――最前線で戦ってる選手でも距離があるって面白いですね。その時点で「ズルい」とか「ふざけるな!」と憤ってもおかしくないですけど、多くの日本人選手は大沢さんのようなスタンスで。
大沢 やっぱそこは日本の文化があると思いますよ。フェア精神でどこか信じちゃうんでしょうねぇ。でも、アメリカ人にこの話をすると「Kill or Kill」って言うんですよ。「やるか、やられるか!?」だと。