映画ライターで北米MMA事情通の高橋ターヤンがプロレス格闘技関連の映画を紹介するコーナー。今回はシラットをフィーチャーした『ザ・レイド』です!





アクション映画を観ていて、時たま「映画がずーっとアクションだけだったら……」と思うことがある。
しかしアクションだけで映画一本を紡ぐというのは、非常に難易度が高いことも事実。そもそもアクションばかりであれば会話がほとんどないのでストーリーは転がりづらく、アクションとして面白いものはできたとしても、映画として面白いものになる可能性は非常に小さいというリスクが付きまとう。

しかもかなりの数のバリエーション豊かなアクションを披露しなければならないので、相当目新しいアクションでないと観客はすぐに飽きてしまうだろう。
ぼくのそんな無茶なハードルを軽々と超え、アクションも映画としても超ハイレベルな映画が、まさか東南アジア、しかも映画不毛の地であるインドネシアから登場したというのは驚き意外何物でもなかった。インドネシア在住のイギリス人監督ギャレス・エヴァンスがメガホンを取り、無名の俳優イコ・ウワイス、ヤヤン・ルヒアンが主演という誰も期待しない映画が、この10年で最高のアクション映画となったのだ。