閉じる
閉じる
×
和術慧舟會HEARTS大沢ケンジの格闘技談義。今回のテーマは、網膜剥離からのUFC復帰戦を見事勝利で飾った川尻達也! かつてトレーニングを共に励んだ大沢師匠だからこそわかる川尻達也の底知れぬ努力ぶりとは――?
大沢 Dropkickでも取り上げられていますけど、世Ⅳ虎選手の引退騒動、凄く気になりますね。
大沢 Dropkickでも取り上げられていますけど、世Ⅳ虎選手の引退騒動、凄く気になりますね。
――大沢さんも興味がありますか?
大沢 ありますよ。ボクはプロレスも好きだし、なんかいろんなことを考えちゃいますよね。要はこの試合って世Ⅳ虎選手にそういうつもりがないのに“やりすぎた”面があったわけですよね。格闘技で練習でマススパーをやるとき、そんなに強く当てないんですけど、たまに強く当てられてカチンとくるときがあるんですよ(笑)。
――マススパーの加減ってやっぱり難しいんですか?
大沢 難しいですよ。ボクはオープンフィンガーグローブでやる総合練習は好きじゃないんですよ。「じゃあ軽くね」って曖昧な感じで始まるんですけど、そうすると強めに当ててくる奴のほうが強いんですよ。それが凄く嫌で嫌で(笑)。
――カチンと来るわけですね(笑)。
大沢 信頼関係がある者同士だと、緩いスパーもやれたりするんですけど。ガチでやるか、なしのほうがスッキリするんですよね。ガチの場合は16オンスのボクシンググローブをつけて、寝技のパウンドも1発くらいはガチでやろう、と。
――ガチスパーをやるとダメージは溜まらないんですか……?
大沢 ボクは16オンスのガチスパーを週5でやってたんですよ(笑)。
――ひえー(笑)。
大沢 そりゃ週5回でやってりゃダメージは溜まりますけど、みんな気にし過ぎかな。
――やったほうが強くなります?
大沢 間違いなくなります。結局、実戦じゃないとおぼえないですから。
――いまはどちらが主流なんですか?
大沢 昔はみんなガチスパーでしたけど、いまはどこもそんなにやらないですよね。ウチのジムはトップ選手が多く来るんですけど、それはみんなガチスパーでやりたいんですよ。そこは実戦のリアリティを求めるんじゃないですかね。やっぱり試合と練習のギャップってあるじゃないですか。練習でそのギャップを埋めたくなるし、上に行けば行くほど、「この技術が使えるか、使えないか?」の判断がシビアになっていくから。
――あー、なるほど。
大沢 試合で使えないんだったら練習もしたくないんですよ。そうなると打ち込みよりガチスパーのほうが早いですよね。若い選手はいろんなことを試したいんですけど、ボクは練習を見てると「それは試合では使わないだろ!」と言いたくなるんですよね。でも、ボクは自分の考えを押し付けるタイプじゃないので、そこは言いづらいんです。そこから広がっていくこともありえるので。
――個性を殺しちゃうこともあるわけですね。
大沢 若いときって自分の考えを押し付けがちで、昔はボクもそうだったんですけど。徹肌ィ郎(羽田徹ィ郎)にも「おまえそんなんじゃダメだよ。ひとつの技に拘るな」って言ってたんです。でも、彼は自分のやり方を貫いてグラップリングでは世界トップクラスになっちゃいましたからね(笑)。
――そういう経験が大沢さんのいまの考えを形成してるんですね(笑)。
大沢 登山って山に登るまでにいろんなルートがあるじゃないですか。どの登り方を否定はできないなあって。でも、登山未経験者には「こっちから登るぞ!」というリーダーシップも大事だと思うんですよね。
――いまはMMAという山の“登山方法”も確立されてますから、誰もが学びやすい環境にはありますね。
大沢 川尻くんもそうだけど、ボクらの世代は登山方法が確立されてなかった。教わっていないですよね。強い人に「あれ、どうやってやるの?」って聞いて教わって。他人に「やれ!」と言われるよりは、自分から進まないとなかなか憶えないんですよ。格闘技って自分で考えて、なんでも自主的にやる奴が一番強い。総合格闘技はセンスだけじゃ上に行けないですから。世の中で一番努力は反映されるのが、総合格闘技なんだと思いますよ、ホントに(笑)。
この続きと、高岩竜一、小橋建太、ウォーリー山口、世4虎引退騒動、「週刊プロレス」回顧録の記事が読めるお得な「詰め合わせ」セットはコチラ
この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。
入会して購読
この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。