Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマはアメリカ大統領選で時の人、ドナルド・トランプのWWEでの活躍を振り返る!
今をときめくアメリカ共和党大統領候補、不動産王ドナルド・トランプ。この人はプロレス・格闘技ファンにとっては何かと縁のある人で、たとえばUFCプレシデントのダナ・ホワイトはかつて、UFCが社会的にバッシングを受けて会場を借りるにも一苦労していた時代に、トランプだけは自社物件のアリーナを気前よく貸してくれたとしており、創世記を乗り切ることができた恩人の一人だと語っている。ホワイトは今回の大統領選でも早い時期から、おそらく政策や哲学とは関係なく、トランプ支持を打ち出していたものだ。
そしてWWEでは、なんといっても印象的だったのが、2007年のレッスルマニアで行われたビンス・マクマホンとドナルド・トランプの髪切りマッチ『バトル・オブ・ザ・ビリオネア』である。とはいっても、2人がリング上で直接対戦したのではなく、ビンスはウマガ(ジャマール)を、トランプはボビー・ラシュリーを代理に立てて戦わせたのである。特別レフリーは”ストーンコールド”スティーブ・オースティン。この試合が話題を呼んだこともあって、この大会のPPV売上件数は125万件を達成(当時のプロレスPPVのレコードだ)、デトロイトのフォード・フィールドが超満員札止めとなった。この試合に先立って、トランプが『マンデーナイトRAW』を買収したというアングルも打ち出されたが、これを投資家が真に受けてしまったことからWWEの株価が暴落、アングルが急きょ取りやめになるという混乱もあった。
実際はトランプとWWEとの関係はさらに歴史をさかのぼる。1988年のレッスルマニア4、1989年のレッスルマニア5は、いずれもトランプが興行権を買い取り、自らが所有するアトランティック・シティのトランプ・プラザ・ホテルで開催をしたのだった。また1991年にはビンスが手を出して大失敗に終わった副業、『ワールド・ボディビルディング・フェデレーション』のテレビ中継の司会をトランプが務めている。
トランプは2013年にWWE殿堂入りしているが、その授賞式でプレゼンターを務めたビンス・マクマホンは、「考えてみれば、私の次にドナルドは、優れた合衆国大統領になれる男だ」と語り、観衆のブーイングを受けている。トランプは受賞スピーチで、来年のレッスルマニアでは直接対決でビンスのケツを蹴ってやると見得を切っている。ドナルド・トランプは現在でも、WWEの公式サイトの選手紹介ページにプロフィールが掲載(リンク:http://www.wwe.co.jp/superstar/172.html)されている、れっきとしたWWEスーパースターなのである。
2007年のレッスルマニアでの試合がどのようなものだったのか、当時の報道を紹介しよう。
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