ジブリが出している社内報『熱風』という雑誌について語ります。
僕がなんで“社内報”って言うのかというと、まず本屋で売ってないから。
そして、特定の人だけがもらえるものだから。
さらに、メインターゲットの読者が“宮崎駿”だから。
なにせ、ジブリの鈴木敏夫さんが「宮崎駿が読む本を作ってくれ!」って発注して作り始めた本だそうですからね。
こんなのジブリの社内誌だよ(笑)。
あるいは、“プラウダ”って呼んでもいいんですけどね。
(プラウダ:かつてのソビエト連邦共産党の機関紙)
でも、NHKの番組でも時々ものすごくいいのがあるのと同じで、だからこそ普通の雑誌では読めない、すごく面白い話が書いてあることがあります。
2月号の『熱風』に載っていたアニメ特撮研究家の氷川竜介さんのインタビュー記事がすごく面白かったので、これを僕の注釈つきで読み込んでみようと思います。
このインタビュー記事の中で、氷川さんが言ってることは3つ。
1つは“雑食文化の衰退”。
もう1つが“評価軸の移動”。
最後の3つ目が、“デジタルネイティヴ”です。
まずは、最初の2つを簡単に説明します。
雑食文化の衰退っていうのは、「もともと日本にあったのは、アニメ文化ではなくて、子供文化であった」というお話。
子供文化というのは何でもアリの文化だった。
たとえば、円谷プロが作った、アニメと実写を合成した『恐竜戦隊ボーンフリー』とか『アイゼンボーグ』とか、特撮番組と人形劇と合体させた『Xボンバー』みたいなものがあったんですけど。
かつては、こういう番組も全てアニメと同等に、同じカテゴリーとして語られていた。
なので、当時の雑誌には、それらの記事が全て混ざって載ってたんですね。
ところが、ジブリの鈴木さんがまだ徳間書店にいた頃に創刊した『アニメージュ』という雑誌によって、状況が変わった。
氷川竜介さんは、その雑誌の中で特撮コーナーを担当していて、そこで様々な特撮番組を紹介していた。
そしたら、読者から「なんでアニメ雑誌なのに、アニメ以外のものが載っているんだ!」って、大量の抗議が来たそうなんです。
これ、今の僕らの感覚からしたら、「そりゃそうだろうな」って思うんですけども、当時の雑誌を作っていた人からしたら、すごく意外な反応だったんですね。
というのは、当時は“オタク文化”なんていう言葉もなかった時代だったから。
だから、とりあえず特撮モノであったり、NHKの教育番組であったり、“子供番組をあえて面白く見ている高校生くらいから上の大人たち”が対象だと思って作っていたんだけど、そういうのに対する拒否反応があった。
そして、そこら辺からだんだんと「アニメファンがアニメしか見なくなった」っていうことが起こり始めたんだ。
(後編に続きます)
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