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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/09/18
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今回は、ニコ生ゼミ9月9日(#247)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【評価経済を現実化した中国の芝麻信用 1 】 信用できない輩を排除して、もっとマナーの良い国へ!


 芝麻信用というのは「信用スコアによって、もっとマナーの良い社会を作ろう」というコンセプトによって作られているんです。

 ここが面白いんですよね。


 最初に言ったように、中国というのは、「借りたお金を返さないのが当たり前」と考える人が一定の割合いたような国だったから、信用スコアというのを個人個人に当てはめることで、もっとマナーの良い社会を作ろうとしたんです。

 この話、何度、言っても面白いんですけども(笑)。


 でも、これは確かに、中国社会にとっては国際問題にもなりかけているような喫緊の課題だったんですよね。

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 本来であれば、お金にまつわる信用データは、クレジットカードの支払い情報などが基本です。

 ちゃんとお金を返した人か、そうでないか、というデータベースですよね。

 しかし、アント・フィナンシャルは、もっと面白いサービスを思いつきました。

 アリババにおける購入履歴に加えて、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の評価であったり、本人の資産や金融サービスの契約能力といった情報を集めれば、さらに幅広い信用スコアを築けると気付いたのです。


 NewsPicks【検証】アリババが発明した、人間の「格付けスコア」の驚異 2018/8/31 より

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 僕はこれを、「みんなやろうと思っていたんだけど、実現できなかった禁断の手法」だと思ったんですよね。

 こんなことは、クレジットカードを発行していて、さらには通信販売もやっていて、おまけにSNSサービスも全部手がけている会社じゃないと、やろうと思っても出来ることじゃないんですよ。


 たぶん、日本でいえば、ソフトバンクかLINEが、今のところこれが出来る最も手近な企業だと思いますけども、それはまた後で話をします。

 要するに、さっき言ったように、元々は「マナーの良い社会を作ろう」というのが入り口だったんですよ。

・・・

 そもそも、マネー経済における “貨幣” というもの自体、物々交換が当たり前だった太古の時代に、信用を表すために生まれたものでした。


 たとえば、山で獲れたものと海で獲れたものを交換する時。

 交換する日を「月に1回」とか「週に1回」とか、それぞれ決めて、同じ場所にやってくることになるじゃないですか。

 そういう時に、「山の人は獲れたんだけど、海の人はたまたま獲れなかった」みたいなことも起こりますよね。

 「貨幣が、いつ、どういうふうに生まれたのか?」については諸説あるんですけど、その中で、僕がわりと信用している説が「貨幣というのは、こういった物々交換の時に頻発したトラブルを解決するために生まれた」という説なんです。


 「今回は海が荒れて獲れなかったんだ」とか、「罠に獣が引っかからなかったんだ」みたいな時に、「とりあえず、こっちの “貸し” を示すためにこれを渡すから、今回は俺たちを信用してその品を譲ってくれ」と、物々交換で渡す物の代わりが原型だったのではないか、と。

 つまり、元々は “信頼の証” だったものが貨幣という形になったんですけども、徐々に徐々に、単なる約束手形のはずだったものが、それ自体で価値を持ち出して、みんな「金が欲しい! 金が欲しい!」というようになってしまったと。

 太古の昔は「物を借りた/貸した」という時の約束証書だったものが、それのみが流通するようになったわけですね。

 そういうふうに考えれば、今の株式経済というのも、実は、大昔の物々交換から、さほど進化していないというのがわかります。

・・・

 これは、芝麻信用の実際の融資におけるケースというやつです。
 
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 650点以上の人は、提携するレンタカーやシェア自転車、ホテル、賃貸物件、図書館の利用時に、「デポジット」を支払う必要がなくなる。

 ビニール傘やスマホ充電機も無料でレンタルすることもできる。

 芝麻信用スコアの活用例として、もっとも一般的な分野。


 NewsPicks【検証】アリババが発明した、人間の「格付けスコア」の驚異 2018/8/31 より

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 芝麻信用というのは、こういう「借りたものを返すか?」というところから徐々に始まりました。


 つまり「レンタル自転車を借りたら、ちゃんと返すか?」とか。

 よく図書館とかに “置き傘” というのがありますよね。

 ああいうのを借りた時に、ちゃんと返す人と、そうでない人がいる。

 「そういったマナーを守る人と守らない人を、明らかに区別しちゃおう。区別するだけでなくてスコアつけちゃおう。点数をつけたら、それを誰でも見える化しちゃおう」というのが芝麻信用の始まりなんです。

 つまり、「社会マナーがいい」とか、「あの人は大丈夫。信頼できる」という曖昧な印象評価を数値化して、全く面識のない第3者にも利用可能にした
 
 ここが芝麻信用のすごいところですね。


 「あいつ、いいやつだよ」、「あいつは信用しても大丈夫だよ」なんて評価は、実は、その人の周りの数十人くらいの身内グループでしか通用しないんです。

 でも、数十人から「あいつ、いいやつだよ。あいつは信用できる」って思われたら、少なくとも5人や6人からお金を借りることくらい出来るじゃないですか。

 こういった仕組を見える化して、誰にでも参照できる検索性を与え、おまけに “貯蓄性” まで与えたのが芝麻信用なんです。


 つまり、「何年も友達を裏切らなかったら、その人の信用度が数ポイント上がる」という、評価の仕組み、報酬の仕組みというのものまで作ってしまった。

 僕、実はこの芝麻信用というのは、貨幣に続く人類の大発明だと思うんですよ。

・・・


一度でも約束を破ったら終わりじゃないか」(コメント)


 そうじゃないんですよ。

 たとえば、お金でも、儲けて儲けてしている中で、仮に1日だけ損をしたとしても、プライドが傷つくだけで、それまで稼いだお金はゼロにならないじゃないですか。

 それと同じように、他人からの信用というのも、借りたものを返して返して、ある時、1回だけ返さなかったとしても、また、ちゃんと返すことを繰り返していれば、別に、そんなに減らないんですよね。


 こういう時、完璧主義の人は「1回でも返さなかったら!」って思うかもしれませんけど、僕らはAmazonとかで取引する時に、“良い評価” が100%の人よりも、97%くらいの人を信用できるじゃないですか。

 だって、「利用した100%が良いと評価するなんて、サクラがレビューしてるんじゃない?」って思うから(笑)。


 なので、97%とか95%の人が良いと評価しているショップに対しては、みんな「ああ、すごくひねくれたクレーマーに文句つけられたんだな」くらいに考えるから、あんまり100%というのを追いかけなくてもいいんですよね。

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