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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【評価経済を現実化した中国の芝麻信用 2 】 “知られざる人徳者” は負け犬として扱う」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【評価経済を現実化した中国の芝麻信用 2 】 “知られざる人徳者” は負け犬として扱う」

2018-09-19 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/09/19
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    今回は、ニコ生ゼミ9月9日(#247)から、ハイライトをお届けいたします。

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     【評価経済を現実化した中国の芝麻信用 2 】 “知られざる人徳者” は負け犬として扱う


     ということで、記事の引用を続けます。

    ――――――

     ――中国で爆発的に広まったきっかけはなんだったのでしょうか?


     アリババが天才的だったのは、この信用スコアの広め方でしょう。

     アリババはネット通販の会社です。

     普通なら、彼らはユーザーに対して、買い物を出来るポイントを還元したり、キャッシュバックするなど囲い込みをするでしょう。

     楽天がやっている、楽天ポイントのようなものです。


     ところがアリババはユーザーを囲い込むために、この新しい信用スコアを利用したのです。

     具体的にはユーザーがアリババで買い物をして、きちんと支払いをすると、この信用スコアが上がります。


     またソーシャルメディアも、巧みに使いました。

     例えばユーザーが中国版ツイッターで「今日は掃除をしました」「お年寄りにバスの席を譲りました」とつぶやくと、ほんの少しですが、信用スコアが上がるのです。


     NewsPicks【検証】アリババが発明した、人間の「格付けスコア」の驚異 2018/8/31

    ――――――

     ここが面白いんですよね。


     これを聞いて「そんな自己申告なんて信用できない!」って思うじゃないですか。

     そんなもん、「自分でこんないいことをした」って嘘をつき続けるだけでスコアがあがるんだったら、信用できないと思うところなんですけど。

     だけど、実は、案外、役に立つんです。

     なぜかというと、まず「そもそも本当に悪いヤツというのは、偽善者であるフリすらしないから」です(笑)。

    ・・・

     では、いい人 とは何か?

     余計なお世話かもしれませんけど、僕自身で “好感度ランキング” というのを6段階に分けて作ってみました(笑)。

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     これが、従来の日本人的な感性での好感度のランキングです。

    ――――――

     1.知られざる人徳者(社会評価を気にしない)
     2.自己アピールの少ない正直者(社会評価を気にしない)
     3.自己アピールの強い善人(社会評価を気にする)
     4.偽善者(社会評価を気にする)
     5.自己アピールの少ない犯罪者(社会評価を気にしない)
     6.自己アピールの強いチンピラ(社会評価を気にする)

    ――――――

     まず、一番好感度が高いのは「知られざる人徳者」という人です。

     たぶん、こういう人が、日本では最もいい人だと思われるのでしょう。


     次は「自己アピールの少ない正直者」。

     その次に、まあまあいいとされるのは「自己アピールの強い善人」。

     つまり、本当にいい人なんだけど、その分、「俺っていい人だぜ!」ってアピールが強いヤツ。


     その次が、まあ、この辺から良くなくなってくるんですけど、社会評価を気にするあまりの「偽善者」です。

     別に、いいことをやろうというつもりはないんだけど、周りの目を気にしていい人の振りをする。

    「人目がある時だけ、おじいちゃんに席を譲る」とか、そういう人ですね。


     次に続くのが「自己アピールの少ない犯罪者」です。

     悪いことをやってるんだけど、自己アピールが少ないから、周りからは、いい人とも悪い人とも決めつけようがない人。


     最後が、「自己アピールの強いチンピラ」です。

     実際に悪いことをやってる上に「俺はルールなんて守らねえ! ルールは破るためにあるんだぜ!」とかって言ってるような痛いヤツ。


     これは社会評価を気にしているんですよね。

     だって「俺は悪いヤツだ」と知って欲しいあまりに、悪いことをしていると口走っているわけですから。

     日本では、こういった順番で、好感度のランキングというのが出来ています。


     だけど、僕らが普段使っているこういう好感度ランキングでは、「借りた金を実は返さない」とか、「行列に割り込むなど、社会的なマナーが悪い」ということを、あまり判断できないんですよね。

     たとえば、自己アピールの少ない1番や2番と、5番目の「自己アピールの少ない犯罪者」を見分けて排除する仕組みが作れないんです。


     そこで、芝麻信用が考えたのが「僕らの社会の中では一番いい人だと考えられている “知られざる人徳者” や “自己アピールの少ない正直者” というのを気にしないことにする」ということでした。

     具体的に言えば、「社会評価を気にしないようなヤツは、儲ける気がないのと同じ負け犬」と定義したんです。
      
    ・・・

     マネー経済社会になってからというもの、「稼ぐ気がないやつは負け犬」って普通に言われるようになったじゃないですか。

     それまでの社会では、そんなことなかったんですよ。

     だって、中世のヨーロッパなんて “貧者ピエール” っていうのがいたくらいで「貧しいこと=人徳者」だと考えられていたんです。


     ところが、アメリカという国が独立して、プラグマティズムとプロテスタンティズム、つまり、「働け勤勉に」と「祈り、働け」という、バター飴で有名な “北海道トラピスト修道院” みたいな考え方が中心になったおかげで、これが変わってしまいます。

     この「神に近いことをしている人間は天職を得ているはずだ = 天職を得ている人間はきっちり儲かっているはずだ = 儲かってるヤツは正しい」という、アメリカ的な考えが広まったおかげで、「儲ける気がないヤツは怠け者である」ということになってしまいました。


     そして、芝麻信用が発達しつつある中国では、この「儲ける気がないヤツは怠け者である」と同じように、「他人に評価される気がないヤツは怠け者である」という考えに至ってしまったわけですね。

     
     ……みんな、大丈夫?

     俺、さっきから、なんか嫌われそうな話をどんどんしてるんだけど(笑)。

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     マネー経済から評価経済への流れの中では、「稼ぐ気のないヤツは負け犬」という考えに加えて、「自分の評価を上げる気がないヤツは負け犬」という考え方に至ってしまうものなんです。

     だから、さっき話したような、本来の日本人の感性に照らし合わせると評価が高くなるはずの “知られざる人徳者” や “自己アピールの少ない正直者” も、「それは怠け者と同じだ。人徳者であるならば、ちゃんと自分が人徳者であることをアピールしろよ!」と言われるようになるんです。


     「稼ぐ能力があるんだったら、稼げよ!」とか、「あんたは綺麗なんだから、アイドルかタレントになりなさいよ!」みたいなもんですね。

     「その人が持っている才能や能力を発揮しろ!」というのは、プロテスタントの考え方なんですよ。


     さっきから流れるコメントを見てると、みんな「アメリカはクソだな」って言ってるんですけど。

     僕らも知らないうちにそういう考え方をしてるし、僕らは半分はアメリカ人で、1/4は中国人でもあるような民族なんだから、そこら辺、あんまり自分のことを忘れて悪口を言ってると、後で恥ずかしい思いをすることになるぞ!(笑)

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