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「【白い悪魔と赤い彗星 2 】 ウェルズとヴェルヌの後継者達」
“反作用利用装置” というのはロケットのことですね。
つまり「ロケットによる宇宙探検」です。
彼がこれを書いたのが1903年。ライト兄弟がキティホークで飛行機を飛ばしたのと同じ年です。
つまり、「現代の僕らは、このツォルコフスキーが考えたことを、ようやっと現実化している」ということなんです。
彼は、初の液体燃料ロケットの打ち上げに成功しました。
ところが、この農場で撮影された写真がきっかけとなり、大西洋を単独飛行で横断した英雄であるチャールズ・リンドバーグが、彼に援助を申し込んできたんです。
それで、ゴダードは大喜びしたんですけど。
ただ、運が悪いことに、このチャールズ・リンドバーグというのは、ゴダードに輪をかけて人間嫌いだったんですよ。
そんな人間嫌いの2人同士だったもんだから、話もあんまり進まなかったんですけども(笑)。
その新しい研究所の場所というのが、ニューメキシコ州の “ロズウェル” なんですよ。
これ「本当かよ?」ってくらい、上手くできた話なんですけど。
しかし、そんな時代の先を行き過ぎたゴダードは、真面目な話、結局は誰にも理解されることはありませんでした。
ツォルコフスキーもゴダードも、死んだ後で「あいつら、すごかったんだな」と言われたんですよね。
そして、その弟子筋のツォルコフスキーは、耳が悪くて他人と会話が出来ず、ゴダードは人間不信だったからなんです。
そんな彼にリンドバーグは「頑張れ!」って言ってくれてるんだけど、リンドバーグ自身も人間不信です(笑)。
彼は、「納屋を改造して、たった1人で錬金術みたいな怪しげな実験を繰り返し、発明品を作る」という、いわゆる18世紀、19世紀型の研究者なんですね。
当時の天才とか発明家というのは、そういう人ばっかりだったんですけど。
実は、ここまでのロケット開発者というのは全員そうだったんですよ。
そんな時代、第1次大戦中に軍医として従軍していたヘルマン・オーベルトは、子供の頃に夢中になったジュール・ヴェルヌの小説と、アメリカから取り寄せたゴダードの論文の2つを元に『惑星間宇宙へのロケット』という論文を書きました。
つまり、ここでやっと2つの流れが1つになるわけですね。
彼が論文を書いたのは、ゴダードの実験よりも3年早い1923年。
ちょうど世界大恐慌がやっと一息終った頃です。
中央にいるのがオーベルトです。
ちなみに、この隣にいるのがフォン・ブラウンですね。
オーベルトとフォン・ブラウンは喧嘩別れすることになるんですけど、後に仲直りして、フォン・ブラウンに呼ばれる形で、彼もアメリカに行くことになるんですけど。
写真を見れば分かる通り、もう “ドイツの頑固爺さん” という雰囲気丸出しで、もう “リアル・ランバ・ラル” のような人だと思ってください。
メチャクチャ怖いんだけど、カッコいいんですよね(笑)。
じゃあ、そんな中で人々はどうなるのかというと「食べるために必死になる」わけではないんですよ。
どちらかというと「どうにかして夢を見たい! 何か未来の明るい話が聞きたい!」ということで、ドイツ国中が湧いてたらしいんですね。
ちょうどその頃、フリッツ・ラングという映画監督が『メトロポリス』という映画を公開したり、ドイツ表現主義の中から “SF映画” というものが生まれ始めた時代でもあるんですよ。
そんな時代、1923年のどん底だったドイツ国民に夢を与えたのが、今言ったフリッツ・ラングというSF映画を撮った監督と、“ナチス党” だったんです。
この2つが、後に不思議な出会いをすることになります。
そこに参加してきた18歳の大学生がフォン・ブラウン君です。
まあ、フォン・ブラウン君のことは後で詳しく語ります。
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「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/10/10
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「【白い悪魔と赤い彗星 2 】 ウェルズとヴェルヌの後継者達」
さて、ウェルズとヴェルヌがこんな不毛な喧嘩をしているちょうど同時期、ロシアの奥地にツォルコフスキーという中学校の先生がいました。
耳が悪い、というか、もうほぼ耳が聞こえない中学校の先生だったツォルコフスキーは、ジュール・ヴェルヌから影響を受けて『反作用利用装置による宇宙探検』という論文を書きました。
“反作用利用装置” というのはロケットのことですね。
つまり「ロケットによる宇宙探検」です。
彼がこれを書いたのが1903年。ライト兄弟がキティホークで飛行機を飛ばしたのと同じ年です。
この論文に書いているのは “多段式ロケット” なんですよ。
レールの上を走っている図がありますが、一段目、二段目、三段目と加速していく形で人工衛星を空に飛ばすという内容なんです。
ツォルコフスキーというのは、ものすごい貧乏で、死ぬまで恵まれなかった人なんですけど、人工衛星や多段式ロケット、軌道エレベーターなんかも、1903年の段階で、全て彼が考えていたんです。
つまり、「現代の僕らは、このツォルコフスキーが考えたことを、ようやっと現実化している」ということなんです。
そんな原理を考案してくれたのがツォルコフスキーです。
・・・
ソ連でツォルコフスキーが論文を書いていた頃、一方、アメリカではH・G・ウェルズの小説を読んでメチャクチャ感激したゴダードという男がいました。
この相関図には、ゴダードの名前の横に「人間不信」と書いているんですけど、そうなんですよ。やっぱり彼も大学の先生をしていたんですけども。
そんな人間不信のゴダードが、1926年、初の “液体燃料ロケット” を作りました。
これが、有名なその写真なんですけど。
実際に空を飛ぶロケットは、この大きな装置の一番上の部分だと思ってください。
装置の下部には燃料タンクがあって、上にはロケットモーターがある。
つまり、下から上へ燃料を送ってるんですよ。
この細い針金の真ん中辺の部分だけがロケットなんです。
装置の下部には燃料タンクがあって、上にはロケットモーターがある。
つまり、下から上へ燃料を送ってるんですよ。
この細い針金の真ん中辺の部分だけがロケットなんです。
彼は、初の液体燃料ロケットの打ち上げに成功しました。
この写真自体は、ゴダードの家の近所に住んでいたエフィおばさんの農場で撮影されたものです。
ゴダード自身は人間嫌いで、ほとんど誰とも喋らずに1人で研究してたものだから、なかなか援助してくれる人が現れなかったんですよ。
ところが、この農場で撮影された写真がきっかけとなり、大西洋を単独飛行で横断した英雄であるチャールズ・リンドバーグが、彼に援助を申し込んできたんです。
それで、ゴダードは大喜びしたんですけど。
ただ、運が悪いことに、このチャールズ・リンドバーグというのは、ゴダードに輪をかけて人間嫌いだったんですよ。
そんな人間嫌いの2人同士だったもんだから、話もあんまり進まなかったんですけども(笑)。
しかし、とりあえず援助だけはもらったゴダードは、新しい研究所を建てることに成功しました。
その新しい研究所の場所というのが、ニューメキシコ州の “ロズウェル” なんですよ。
これ「本当かよ?」ってくらい、上手くできた話なんですけど。
ニューメキシコ州のロズウェルの研究所で、ゴダードが何を始めたのかというと “リニアモーターカー” の研究を始めたらしいんですよね。
ツォルコフスキーにしても、ゴダードにしても、とにかく早すぎるんですよ。
時代を先取りし過ぎている(笑)。
時代を先取りし過ぎている(笑)。
しかし、そんな時代の先を行き過ぎたゴダードは、真面目な話、結局は誰にも理解されることはありませんでした。
この世界で初めての液体ロケットにしても、当時のアメリカ陸軍なんかは全く価値を見いだせずに「飛行機を飛ばす時の補助エンジンとして使えるかな?」と言って研究費をちょっと渡したくらいで、そのまま死んでしまいます。
ツォルコフスキーもゴダードも、死んだ後で「あいつら、すごかったんだな」と言われたんですよね。
・・・
さて、このゴダードの研究と全く同時期のドイツでは、ヘルマン・オーベルトという男が現れました。
はい、今度は名前の横に「頑固」と書いてあります(笑)。
もうね、この初期のロケット開発を担った人たちが、なぜ上手く行かなかったのかというと、まず、シンプルに長老であるウェルズとヴェルヌが喧嘩しているということ。
そして、その弟子筋のツォルコフスキーは、耳が悪くて他人と会話が出来ず、ゴダードは人間不信だったからなんです。
そんな彼にリンドバーグは「頑張れ!」って言ってくれてるんだけど、リンドバーグ自身も人間不信です(笑)。
さて、その次に出てくるドイツのヘルマン・オーベルトは、超がつくほどの頑固者で、他の人間と話が出来ないような人なんです。
なので、なかなか大規模な研究が出来ませんでした。
なので、なかなか大規模な研究が出来ませんでした。
彼は、「納屋を改造して、たった1人で錬金術みたいな怪しげな実験を繰り返し、発明品を作る」という、いわゆる18世紀、19世紀型の研究者なんですね。
当時の天才とか発明家というのは、そういう人ばっかりだったんですけど。
実は、ここまでのロケット開発者というのは全員そうだったんですよ。
彼が活躍した1926年頃のドイツというのは、第1次大戦で敗れたおかげで、とんでもないインフレに陥っていました。
毎日毎日、物の値段が上がって仕方がない。
国中に餓死する人や、凍え死ぬ人が溢れ、死体だらけでした。
国中に餓死する人や、凍え死ぬ人が溢れ、死体だらけでした。
そんな時代、第1次大戦中に軍医として従軍していたヘルマン・オーベルトは、子供の頃に夢中になったジュール・ヴェルヌの小説と、アメリカから取り寄せたゴダードの論文の2つを元に『惑星間宇宙へのロケット』という論文を書きました。
つまり、ここでやっと2つの流れが1つになるわけですね。
彼が論文を書いたのは、ゴダードの実験よりも3年早い1923年。
ちょうど世界大恐慌がやっと一息終った頃です。
このヘルマン・オーベルトというのは、今回の話に出てくる人物の中で、一番カッコいい爺さんなんですよ。
中央にいるのがオーベルトです。
ちなみに、この隣にいるのがフォン・ブラウンですね。
オーベルトとフォン・ブラウンは喧嘩別れすることになるんですけど、後に仲直りして、フォン・ブラウンに呼ばれる形で、彼もアメリカに行くことになるんですけど。
写真を見れば分かる通り、もう “ドイツの頑固爺さん” という雰囲気丸出しで、もう “リアル・ランバ・ラル” のような人だと思ってください。
メチャクチャ怖いんだけど、カッコいいんですよね(笑)。
・・・
ヘルマン・オーベルトは『惑星間宇宙へのロケット』という論文と、その後に本も書いてるんですけど。
とにかく、当時のドイツというのは、戦争に負けて、貧乏で、餓死する人がたくさんいたんです。
じゃあ、そんな中で人々はどうなるのかというと「食べるために必死になる」わけではないんですよ。
どちらかというと「どうにかして夢を見たい! 何か未来の明るい話が聞きたい!」ということで、ドイツ国中が湧いてたらしいんですね。
ちょうどその頃、フリッツ・ラングという映画監督が『メトロポリス』という映画を公開したり、ドイツ表現主義の中から “SF映画” というものが生まれ始めた時代でもあるんですよ。
人間というのは不思議なもので、どん底まで落ちると、逆に夢を求めて夢に金を払うようになるんですよね。
そんな時代、1923年のどん底だったドイツ国民に夢を与えたのが、今言ったフリッツ・ラングというSF映画を撮った監督と、“ナチス党” だったんです。
この2つが、後に不思議な出会いをすることになります。
とにかく、このオーベルト爺さんは、論文と本によって有名になって “ドイツ宇宙旅行協会” というアマチュア団体を作ります。
そこに参加してきた18歳の大学生がフォン・ブラウン君です。
まあ、フォン・ブラウン君のことは後で詳しく語ります。
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