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今回は、ニコ生ゼミ12月23日(#262)から、ハイライトをお届けいたします。
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「とんでもなく面白い児童小説『ブラッカムの爆撃機』 その1」
子供向けの小説です。
児童書なんですけども、タイトルが『ブラッカムの爆撃機』ですから、舞台は第2次大戦中の爆撃機なんですよ。
かといって、戦争モノかというと、実はそうじゃないというやつなんですね。
表紙だけじゃなくて、なんか延々、こんな感じで、漫画版のナウシカよりも描き込んでいるフルカラーの漫画を、あのじいさん、24ページも描いてやがるんですね。
もうこれだけでもお買い得なんですけど。でも、この小説自体もメチャクチャカッコいいんです。
このゲイリーの他に4人いる爆撃機のクルーも、全員18歳なんですよ。
高校を出たばっかりなんです。
というのも、18歳になったら “王立英国空軍” (ロイヤル・エアフォース)に入れたんですよ。
で、列の先頭から、ジェットコースターに乗る時に「はい、あなたは1番。あなたは8番~」というふうに言われて、座るじゃないですか?
あんな形で、知り合いとか上手い下手も関係なく、とりあえず5人1組でどんどんチームを作らされて、爆撃機に乗せられることになりました。
これ、実際にもこうだったそうです。そこら辺の風景を、宮崎駿が描いたのがこれなんですけど。
メチャクチャ細かいから読みくいと思うんですけども。
アナウンスをして、ゾロゾロと若いヤツがやってきたら、パイロット志望者は「習うより慣れろだ!」と言って、とにかく乗せられる。
無線と航法士だけは、ちょっとだけ教育期間があるんですけど、それも1~2週間で終わってしまって、彼らも卒業すると同時にどんどん飛行機に乗せられました。
ドイツに着いたら着いたで、本当はもっと高いところから爆弾を落とせばいいんですけども、高いところから落としたら、途中で風が吹いたりすると爆弾の進路が歪んでしまう。
なので、高度200mとか300mという、高射砲がモロに当たるし、敵の戦闘機が上がってこれるような危険な高度から爆弾を落とさなきゃいけない。
まあ、ランカスターなどの新兵器は、もっと高いところから落としたそうなんですけども。
主人公が乗る爆撃機は旧式なので、すごく低いところから落とさなきゃいけなかったんですね。
なので、バンバン落とされるんですよ。
だいたい、20回だったか、それくらい出撃することを「1セット」と言うんですけども、その1セット終わった後で生き残っている確率が、なんと44% 。
2セット目に行くと、生き残り確率は20%というくらいに、とにかく損耗率が高かった、つまり、死ぬ人が多かったんです。
その結果、直接死んだ人間が5万5千人。
間接的に、その怪我が原因で後に亡くなった人を含めたら10万人くらい死んだそうなんですけど。
その結果、ドイツにどれくらい損害を与えたのかというと、民間人を含めて1万人に届かないんじゃないかと言われてます。
こういうことについて、この本の作者と宮崎駿が対談する……といっても、もう作者は死んでるんですけど。
「宮崎駿の夢の中で、いろんな話をする」という、けっこう良い漫画を描いてるんですよ。
なので、是非とも読んであげてください。
このように、機長だけはベテランの人が来るんですけども。
このタウンゼントという人が、何を考えているのかわからないんですよ。
もう、5人とも「あの機長は頭がおかしい!」と、みんな反発するんですけど。
「とにかく、町中を飛行する時は、家の煙突にこすれるまで低く飛べ!」と言うんですよ(笑)。
「下の民家の煙突にガリッとこすれるまで低空飛行しろ!」と。
海の上を飛ぶ時も、トビウオが機内に入ってくるか、もしくは水面に浮いている海藻が、終わったあとに腹についてないと納得してくれないんです。森の上を飛ぶ時は、「木の枝がですねボキボキ折れるまで低く飛べ!」というふうに言うんですね。
「とにかく、何かが見えたと思った瞬間に、それが何であっても、舵を思いっきり切って、思いっきり低く高度を取れ!」と。
学校では「まずは、高く飛んで安全なところからドイツに侵入し、ドイツに着いたら高度を下げて爆弾を落とせ」と教えられるんですけど、タウンゼント機長は、あくまでも「ギリギリまで低く飛べ!」と要求するんですね。
だから、みんなもう、文句タラタラなんですよ。
とは言っても、バケツに蓋がしてあるだけなんですけど。
バケツが床に固定してあって、その上にボルト留めの蓋がついてる。
飛行機の上でトイレ行きたくなったら、オシッコでもウンチでも、そのボルト留めの蓋を開けて、その中にして、またボルトで留めるんですけども。
そんな飛び方をするもんだから、機内がもう本当に振り回されるわけですね。
タウンゼント機長の指示する操縦があまりにも荒いから、だいたい、どこで飛行訓練をやっても、そのバケツごと床から外れてしまって、最終的に機内がウンコまみれになるっていうので、みんな、すごい嫌がるんです。
さらに、どうにか戦場で生き残って、疲れ切ってドーバー海峡を渡って帰ってくる時にも、かなり墜落するのが、もう本当に当たり前だったんです。
1回の出撃で半数近く……というか、生き残るのが2割以下というのが当たり前だったんです。
ということで、皆は徐々に徐々に彼を「親父」と呼んで、すごく尊敬するようになるんですね。
僕はですね、調子に乗って48分の1という、超巨大な模型を買ってしまったんですけど。
48分の1のウェリントン3型というやつです。
その上、工場から出荷したばかりの新品ではなくて、もう何度も爆撃に行っている古い機体を貰います。
これで、ドイツの爆撃に出かけるんですけども。
その後、アメリカが参戦しての連合国全体での爆撃になると、全く話が違ってくるんですけども。
こと、イギリスが5年間続けた独自の爆撃というのは、あまり効果がありませんでした。
爆撃する際に高度を落とすせいで、高射砲とか戦闘機の餌食になりやすく、無事に逃げたと思っても、さっきも言ったように、大半が中古の機体なので、エンジンがすぐに止まって、ドーバー海峡に落ちてしまったりして、死んでしまうパイロットが続出しました。
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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コメント
コメントを書くロバート・ウィンストールは名作しか書けないのは確か。
ブラッカムの爆撃機と”かかし”は結構なホラー系。
”かかし”は徹夜で読破したなー。
爆撃機乗りの話ではRAISEというコミックスも名作。
中学の国語の教科書に載ってた「わたしを作ったもの」が収録されてると知って買った小説…
中学の時は知らなかったけど、その時には知ってた金原瑞人さんが訳で感動した思い出
高度200m~300m?