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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「『アリータ: バトル・エンジェル』をダメ映画と感じた理由」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「『アリータ: バトル・エンジェル』をダメ映画と感じた理由」

2019-03-06 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/03/06
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    今回は、ニコ生ゼミ02月24日(#270)から、ハイライトをお届けいたします。

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     『アリータ: バトル・エンジェル』をダメ映画と感じた理由


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     今日は軽く『アリータ: バトル・エンジェル』について話してみようと思います。

     フェイスブックやツイッターで「正直、俺はダメだった」「ダメ映画やった」って言っちゃったんですけど、そしたら かなりリツイートされたり、質問されたりもしました。


     『アリータ』の件に関しては、僕も責任を感じておりまして。

     点数を付けるなら5点満点で3.9というところだと思いますね。

     悪くは無いけども、まぁ絶賛は出来ないというレベルです。

    ・・・

     原作の 木城ゆきと のマンガの『銃夢』ではなくて、OVAの、いわゆる日本のアニメの『銃夢』が原作になってるんですけども。

     ツイッターとかで感想を見ると、「この目がパッチリと大きいのがイヤだ」っていう人が結構いるんですよ。


     でもね、僕はこの目の大きさは、映画を見ている限りでは 全然 平気。

     というか、気持ち悪くなかったんですね。

     それで、以降、これは日本のアニメとかマンガを実写化するときにスタンダードになる可能性があるなと。

     それぐらい、アニメのキャラっていう中で特別感を出したいときには良いんじゃないかと。


     スピルバーグの『レディ・プレイヤー1』みたいに、全部CGのキャラにしちゃうよりは、こういうCGのキャラクターと、人間の実写のキャラクターが混ざるものとしては、わりと理想的なブレンドじゃないかなぁというふうに思いました。

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     それで、このキャラクターなんですけどもですね、劇中のキャラクターの “アリータ” と、アリータを演じた “ローラ・サラザール” という女の人ですね。

     女優さんです。

     パフォーマンス・キャプチャーという技法で作られています。


     昔、モーション・キャプチャーというのがあってですね。

     まぁモーション・キャプチャーでの人物・キャラクターっていうのは、もう最近は僕らは当たり前に見るようになったんですけどですね。

     モーション・キャプチャーとパフォーマンス・キャプチャーとの違いは、体の動きだけではなくて表情などのかなり細かい動きも取り込めるって事です。


     たとえば劇中でアリータがチョコレートを食べるシーンがあるんですね。

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     それに対してサラザールさんがキャプチャーしてるのが右側の画像なんですけども。

     多数のカメラを用いて、体に取り付けたマーカーの動きを記録すると。

     それでマーカーの動きを一度3DCGのデータに変換して、その3Dデータを用いてCGモデルの骨組み自体を動かすと。


     それで、それの何が良いかっていうと、重量感や物理特性が反映されるので、より現実に近い動きが出来る。

     これだったらチョコレートを持ったときの、チョコレートのほんのちょっとした重みとか、嚙んだときの感触とかの表情がちゃんと現れているわけですね。


     それで、これはロング用のおおざっぱなキャプチャーなんですけども。

     実際に表情変化に使われているのは、このレベルのパフォーマンス・キャプチャーなんですね。

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     かなりデカいカメラとか、バッテリーとか、ヘッドセットを頭に付けなきゃいけません。

     それでパフォーマンス・キャプチャーを撮る時は、マイク・バッテリー・カメラ・レコーダーを頭に乗せて、手袋とスーツを着て演技と。

     レコーダーまで乗ってるんですね。

     なので、かなり動きにくかったそうです。


     じゃぁ、これを使ったアリータ自体の演技は目が大きくて面白いんですけども、この演じた俳優さん自体の目が大きいって事もあって、そんなにバランスが悪くなかったんですね。

     それで、監督のロバート・ロドリゲスは「こんなに目を大きくしちゃって、大丈夫かな?」と思って、ジェームス・キャメロンが来た時にちょっと相談したんですよね。

     そしたらキャメロンが「あぁ、これは違うよ。 黒目を大きくするんだよ」と言って、目の大きさを そのまんまで、黒目だけちょっと大きくしたそうです。

     そうしたらもうバッチリになってですね。

     いかにジェームス・キャメロンが、目の大きい日本人のアニメキャラ・マンガキャラというのをスクリーンに出すって事を昔から研究して考えていたのかっていうのが良く分かるエピソードですよね。

     まぁ、今回はプロデューサーに徹してるんですけど。

     そこまでしてるから、こういうところは凄くいいんですよ。


     ただ、なんで「ダメ」と言ったのかっていうと、軽いネタバレになるんですけども、ラストで終わってないんですよね。

     またもや。

     ハリウッド大作のクセで(笑)。


     空中都市ザレムっていうのが出てくるんですよ。

     これは一番最初から空中にあって、「あそこには何があるんだ?」とか「あそこに、いつか行きたい」って、みんな言ってるわりに出てこないっていうね。


     いや、原作はそれを延々と伸ばしてるんですよ。

     それは いいんですよ。

     連載マンガだから。

     「連載マンガだから、最後までには出てくるだろう」でいいんですけども、それは連載マンガだからいいんであって、「単発の映画でそれをやったらアカンやろ」って感じなんですね。


     後もう一つ。

     こっちが僕の主な理由なんですけども、世界観が薄いって事なんですよ。


     “薄い” っていうのはどういう事かっていうと、これは主人公達がウロウロしているアイアンシティ(クズ鉄町)ですね。

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     空中都市ザレムから落ちてきたゴミで出来た町みたいなものなんですよ。


     これは主人公達がバイクに乗って走っているシーンで。

     これはアイアンシティの世界全体を屋根の上から見たシーンなんですけども。


     見て分かるとおり、“広告” というのが ほとんど無いんですよね。

     『指輪物語』みたいな中世ファンタジーだったら広告が無いのは構わないんですけども。


     現在とつながりを持つSFだったら、つまり現在のこの社会が科学が発展して空中都市が出来てっていう、今の社会と一応の繋がりを持つような未来SFだったら、町の あらゆる所に広告があるはずなんですよ。


     たとえば『ニュー・シネマ・パラダイス』っていう映画は、イタリアのシチリア島にあるパラッツォ・アドリアーノっていう村が舞台なんですけども。

     その村で、トトっていう7歳か8歳ぐらいの男の子がだんだん大きくなって、青年になると。

     それで青年になったトトは、その村を出る時が来る。

     それで振り返って見た村が、めちゃくちゃキレイなんですね。

     本当にシチリア島の中の田舎でロケをしたんですよ。


     それが、トトが中年になって自分の田舎に帰ってきたときに、あの美しかった町並みが本当に広告だらけになってるんですよ。

     俺、覚えてるんですけども、駅の まん前 に、でっかいファンタの広告がドーンとあって、「台無し!」って思ったんですけども。


     つまり、古き良きイタリアの田舎から現代生活に移る哀しみ みたいな事が描かれているんですけども。

     それは『ニュー・シネマ・パラダイス』の中で描かれているのは、昔トトが住んでいた まだ中世を残したシチリア島の風景から、現代へ移る象徴になっているのが多数の広告だったんですね。

     “広告” っていうのは何かっていうと、「消費社会になっちゃった」という事なんですよ。


     それで “アイアンシティ” っていう町が現代の常識とか繋がりが全く無い超未来の社会だったら、僕は別に文句も無いんですけども。

     ところがアイアンシティっていうのは、自分の体を含む あらゆるものが金で手に入るって世界なんですね。

     完全に消費社会なんですよ。

     ・・・

     だから消費社会だから、広告がないとおかしいんですね。

     矛盾していると。


     しかし監督のロバート・ロドリゲスはパンフレットの中のインタビューで「カッコ良くないんだよね。 もっとサイバーパンク風にゴチャゴチャさせたいって言われたんだけど」と。

     カッコ良くないからという事で、全部、取っちゃったんですよ。


     結果、見て分かるとおりデザインセンスはあるんだろうけども、広告を削除してしまったから、町の描写が何かペラペラでリアリティが無いという。
     
     こういう事を言うと「SFは架空の世界だから、ペラペラになっても しょうがないんじゃないか?」という人もいるんですけども、そうでもないんですよ。

    ・・・

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     これは『女王陛下のお気に入り』って映画なんですけども、これは衣装や美術セットが凄いんですよ。

     もちろん18世紀の始めっていう実際の時代だから当たり前なんですけども。

     この作品はスペイン継承戦争をやっている最中のイギリスとフランスが戦っている時のイングランドが舞台なんですね。

     それで、「王族の生活を下っ端使用人が覗き見する」っていう内容なので、いわゆる映画のカメラの撮り位置も やや低い位置なんですよ。

     ローアングルで、覗いているような感じで撮っているんですよね。


     つまり美術やセットに凄い説得力があり、なおかつ撮影する側の映画カメラにも、「誰の目線で見ているのか?」と、「中世の生活を映画の観客も一緒に覗き見てみよう」っていうメッセージがあるから、カメラはローアングルで凄いリアリティがあるんですよね。

     それに対して『アリータ』の未来都市の撮り方っていうのは、もう本当にメカモノとしての面白さっていうのはあるんですけども、町には広告が 全然 無いので生活感が無い。

     つまり説得力が無い。


     オマケにカメラの目線も、全部 説明目線なんですよ。

     だから登場人物より、やや高いめで撮っているカメラ位置が多い。

     
     多分、登場人物の目線よりも上の位置にカメラを置いちゃってる。

     それは何でかっていうと、わりと風景が見せやすくて空を隠す事が出来るっていう便利な構図だからなんですけども。

     でも、それをやっちゃうと、誰の視点で撮ってるのか まったく分からない。


     いわゆる後期ゴジラ映画のマズイ頃っていうのかな。

     VSモノになる前のゴジラ映画のマズイ所っていうのは、いわゆる新しい平成ガメラやシン・ゴジラが敢えてローアングルで怪獣を取ったのに対して、20世紀の終わりぐらいのゴジラって、カメラ位置をやや上から撮っちゃったんですよ。

     そうすると もう「誰の視点だ?」という事になって、出来のいい着グルミが出来のいいミニチュアを壊しているように見えちゃうんですよね。

     そんなふうにカメラの目線が “説明目線” だから、誰かの視点じゃないから あんまりドキドキしないんですね。

    ・・・

     そんな事を言うと「『女王陛下のお気に入り』は歴史モノだから、リアリティがあって当たり前だ!」と言う人もいると思うんです。

     「『アリータ』は架空世界だから不利だ」と。

     でも、そんな事は無いんですよ。

     架空世界でも、ちゃんとリアリティって出せるんですよね。

     それのいい例が『翔んで埼玉』という映画。

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     これは魔夜峰央のマンガを原作にしたヘンテコな映画なんですよ。


     この映画は架空の世界で、かなりデッチ上げの世界なんですけども、美術とか衣装セットがすごくいいんですね。

     『女王陛下』みたいに実在する世界じゃないし、予算も1/100ぐらいなんですよ。

     でも、凄く良く出来ているんですね。

     (中略)

     だから「架空だから密度が出せない」とか「架空だからリアリティが出せない」というのは違うんですよね。


     『アリータ: バトル・エンジェル』は、軽いアクション映画としては85点ぐらいなんですけども、やっぱり僕はSF映画としては70点ぐらいかなと。

     パフォーマンス・キャプチャーに関しては、多分キャメロンの次回作の『アバター』の2から5の開発のための映画というポジションじゃないかなと思いました。


     やっぱり結果的にディスってしまったんですけども。

     僕が『アリータ』をダメかなぁと思ったのは、この作品はアクション映画としては85点なんですけども、僕はアクション映画はあまり好きじゃないんですね。

     SF映画として見に行ってしまったから、70点ぐらいだった。

     
     まぁ、5点満点で4点を超えたら誰にでも勧めるんですけども、3.9か3.8ぐらいだから「好きな人は見にいってください」というような感じになりました。

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