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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/08/04
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おはようございます。

今日は『解決!ズバッと』はお休み。
情報サイト『探偵ファイル』に掲載したコラムをお届けします。


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「セックスする女はゾンビになる法則は健在!『ゾンビーバー』」(後編)

(元記事はコチラから)


 (前号からの続き)

 ストーリーは、ホラー映画のお約束を守って、いかにもなカンジで進行する。
 彼氏の浮気で怒ったヒロインが、友達を誘って、山の中の別荘で女子会をする。
 まず、お決まりの女優たちが脱ぐシーン。
 別荘のすぐそばにある湖で、優雅に泳ぐヒロイン。
 水の中からは、ゾンビーバーが泳ぐヒロインをじーっと観ている。
 いつ襲われるかと、観客はハラハラというか、ワクワクしながら観る。

 そこへ、彼氏がよりを戻そうとして、友達を連れてきて合流。
 男女6人のセックス大パーティになったところで、いよいよ、ゾンビが陸に上がって襲ってくる!
 という展開だ。

 ただ、襲ってくるゾンビーバーの攻撃方法は、基本「かじる」だけ。
 どうしても地味で単調な戦いになる。しかも、ゾンビーバーは、ほとんどのシーンが、マペットなのだ。
 パペットマペットの「うしくん、かえるくん」を思い出してほしい。
 手にかぶせて、指でちょっと動かすだけ。当然、下半身は登場しない。
 そんなヤツと戦うわけだから、迫力が出るはずがない。むしろ、かわいい。

 もう一つのゾンビーバーの攻撃技が、ダム作り。
 ビーバーだからね。
 登場人物たちが車に乗って逃げようとするが、道にダムが作られていて、進めない。
 この「かじる」「ダムを作る」だけで、ホラー映画としてのおもしろさをも保たなければならないので、かなり苦しい。

 映画の後半になって、「ゾンビーバーにかまれた人間はゾンビになる」という展開になり、ようやく少し、ホラー映画らしい怖さが醸し出される
 といっても、かまれた人間はただのゾンビになるのではない。
 前歯がどんどん伸び、ものすごく大きいしゃもじみたいなしっぽがはえ、「ビーバー」になってしまうのだ。

 牙は、かむ攻撃に使うが、しっぽは、床を鳴らして仲間への合図として使う。
 実際、ゾンビーバーにされた女の子が、そのでっかいしっぽで床をバッタンバッタンたたいていたが、実にマヌケだった。

 読んだだけでも、「それはくだらない!」と思うだろうが、実際にこれを1時間半かけて観せられたら、そのくだらなさはハンパないのだ。
 では、ゾンビーバーはくだらなくて面白くない作品なのか?

 つまらない映画観たときというのは、トイレでもみんな黙りこくってるし、帰りのエレベーターでもムスっとしてるものだ。
 が、この映画に関しては、観てる最中から、みんな顔をテラテラさせたり、ぼそぼそとしゃべってたりしていた。
 つまり、こういう映画を仲間と観られたという喜びで、映画館があふれていたのだ。

 映画の最後、クレジットでいきなり主題歌の「ゾンビーバー」が流れたときには、場内が爆笑だった。
 アンディ・ウィリアムスの『ムーンリバー』を彷彿とさせるような、モノクロ時代のようなテーマソングだ。
 イージーリスニング的なのんびりした「ゾンビ~バァ、ゾンビ~バァ」という音楽とともに、メイキング映像が流れる。
 ゾンビーバーに追いかけられ、小型犬が湖を泳いで逃げるシーン。
 メイキングでは、小型犬がリモコンのゾンビーバーで遊びだしてしまい、「だめだよ~、遊んじゃぁ」という監督の嘆きの声が入っていたりする。

 観客たちは、クスクスを通り越して、声をあげて笑い出し、次第に場内は笑いの渦となっていった。
 映画と言うのは単なるコンテンツだけではなくて、誰と観るのかも実は大事だ。
 見に行けないような映画、日本で数館しかやってないような映画には、逆にそういう仲間を作るチャンスでもある。

 とりあえず「ゾンビーバー」この夏のオススメです。


以上、情報サイト『探偵ファイル』よりお届けしました。
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