低金利と将来の年金不安を背景に、最近は不動産投資の人気が非常に高まっています。また、さまざまな金融商品がある中で、不動産投資は投資対象となる物件を担保にできるため、金融機関からの融資が受けやすいとされています。

  投資を始める際には、金融機関から資金を借り入れて行う人が多いですが、ここで利用される不動産投資ローンのメリット・デメリットについて解説します。

ローンを組むことのメリット

不動産投資は、購入を希望する物件の規模にもよりますが、一棟アパート・マンションの場合、数千万円から数億円の資金が必要になります。自己資金を十分に保有している人であれば、現金で物件を購入し、不動産投資を行うことが可能です。しかし、多くの人は不動産投資ローンを利用することになります。ローンを利用することで、自己資金を少額に抑えて、それ以上の金額の不動産物件に投資することができるのです。

こうした、テコの原理のように小さい資金を用いて大きな金額を動かすことをレバレッジ効果といいます。新たに物件を購入するごとに、レバレッジを掛け続けることが出来れば、比較的早い時期に希望の資産額を形成できる可能性があるといえるでしょう。

融資金額が大きくなると返済額も大きくなりますが、購入した物件から得られる家賃収入で返済してきます。収益性の高い物件を購入し運営をすることで、安定的な家賃収入が得られます。併せて空室率を抑える創意工夫を行っていけば、家賃収入から管理料などの必要経費とローン返済を差し引いても、手元に利益が残っていくのです。

ローンの種類は1つではない

物件を購入する際には、購入金額に対して1割から3割程度の己資金が必要なことが多く、残額を金融機関からの融資で調達するというのが一般的です。しかし、金融機関の融資審査の結果次第では、フルローン融資やオーバーローン融資を受けることもできます。

フルローン融資とは、土地代金および建物代金の、不動産購入に必要な資金を金融機関から融資してもらうことです。たとえば、1億円の物件を購入する場合、金融機関から1億円の融資を受けるものが該当します。

オーバーローン融資とは、土地代金、建物代金購入以外に掛かる諸経費(登記費用、銀行手数料、不動産所得税など)も含めた資金を金融機関から融資してもらうことです。たとえば、1億円の物件を購入する場合、金融機関から1億円以上の融資を受けられるということです。物件購入に必要な諸経費まで融資でまかなえるで、自己資金を全く使わないで物件を取得することができます。

このように、自己資金が少なくても購入物件を担保にして、金融機関から融資を受けることができるので、少額の資金で大きな資産形成が可能になるのです。

ローンを組む事のデメリット

不動産投資ローンを取り扱っている金融機関には、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、ネット銀行などがあり、不動産投資のためのローンが商品化されています。「アパートローン」または「不動産担保ローン」と呼ばれるもので、投資用の不動産購入を対象とし、区分所有マンション、一棟アパート・マンションなどの購入で利用できます。

この、不動産投資を目的としたローンは、住宅ローンに比べて金利が高く、融資の審査が厳しいとされています。住宅ローンは個人に対しての融資で、本人の年収などによる返済能力を注視しているのに対して、不動産投資ローンは不動産賃貸業という、事業に対する融資であるからです。そのため、収益物件の構造、採算性や担保価値、将来性を注視しています。また、物件の入居率次第では、家賃収入からのローン返済が出来なくなる可能性があるため、金融機関は融資時にリスクを取らなくてはいけないのです。

不動産投資ローンの融資を受けるには、借入金額・年数と金利から毎月の返済額を計算したうえで、返済シミュレーションを事前に立てておく必要があります。また、サラリーマンであれば勤務先・勤務年数、年収を踏まえ、現時点で借り入れができる金額を基に物件を購入していく方がよいでしょう。

不動産投資ローンは、資産形成を行ううえで非常に心強いものでありますが、物件の入居率が低いと家賃収入が計画入って来ないため、ローン返済が困難になってしまうリスクもあります。不動産投資に取り組む際には、入居状況に注意して普段から不動産会社と連携しておくことが重要なのです。