「最近の若い子」
そう言うと自分が歳をとったと認めているみたいで嫌な感じだが、便利なのでつい使ってしまう言葉だ。なぜこんなことを言い出したかというと、最近の若い子は「背伸び」をしなくなった気がする。「格好つける」がカッコ悪いのか、スマホやSNSで手軽に入手できる都合のいい情報を鵜呑みにして、何かすることに億劫なのかもしれない。とにかく無駄が嫌で合理的。

藤沢がタバコを吸い始めたのも、なんか格好いいからという好奇心で始めた。いい車に乗って、いいモノを食べて、いい女を連れて歩く、凄く単純な格好良さそうな大人がいた。それは現実の人でもいいし、映画、ドラマ、アニメの中でもなんでもよく、「格好いい大人像」が自分の中であるのだと思う。今の若い子はその憧れるような格好いい大人がいないだけなのか、格好いい大人像が「無駄を省いたとにかく質素な大人」に変化したのか非常に興味深い。

そのちょっと格好良さそうな大人に近づきたくて

バーに行ったり、
タバコを始めたり、
いい車に乗ったり、
お酒を沢山飲んだり、
徹夜で麻雀をしたり、

色々、無理をして背伸びしてた。

多分、その背伸びは今の人にはない。それは全然いいけれど、遠回りをして結果無駄だった事が知識になり情報になり、実は無駄じゃなかったんだなぁと今になって思う。スリム化しすぎると脆くなる、そんなイメージ。

そう思いながら、敷居の高そうなバーでガバガバ飲んでいたお酒をチビチビと格好良くスマホを弄らず飲めるようになりたい、格好いい大人になるために。

おわり