人口減少、高齢化が進む日本で、地方が抱える問題はどんどん深刻化するといわれる。

僕は講演で日本全国をまわっている。そこそこ大きいと思われる地方都市にも行くが、その駅前でも、いわゆる「シャッター通り」が多い。また農業従事者も、平均年齢は65歳を超えている。「限界集落」という用語も、耳にすることが増えた。

けれど、知恵と行動力があれば、どんな不便な土地でもチャンスはあるし、可能性が広がっているはずだと僕は思っている。

岡山県の真庭市は、鳥取県との県境に位置する。いわゆる過疎地域のひとつだ。その真庭市に、木材業を営む銘建工業株式会社はある。木材業といっても、一般的な木材ではない。「集成材」を中心に販売しているのだ。

集成材とは、原木を加工し、貼り合わせた木材のことである。寄せ集めのようで、印象が悪いかもしれないが、そんなことはない。従来の木造建築では難しかった、大きな構造物を作ることもできる。

銘建工業の社長、中島浩一郎さんは、「これからの木材は集成材が中心になる」と話す。斜陽産業といわれる林業において、新たな付加価値を生み出し、生き抜いているのだ。

銘建工業のすばらしい事業が、もうひとつある。集成材を生産するにあたって、どうしても木くずが出る。その廃材を使って、発電事業を始めたのだ。いわゆる「バイオマス発電」である。