<函館記念:追い切り>

 先週福島の七夕賞を勝って全10場重賞制覇にリーチをかけた川田将雅騎手(29)が、残る函館で一発ツモをもくろむ。函館記念(G3、芝2000メートル、19日)で騎乗するデウスウルト(せん7、平田)は15日、函館競馬場のウッドコースで追い切られ、万全をアピール。人気を裏切った新潟大賞典から巻き返す態勢を整え、絶好調コンビがラス前の函館を盛り上げる。

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デウスウルトは函館ウッドコースを単走で追い切り力強い動きを見せた

 史上4人目の大記録は、リーチ一発で応えてみせる。川田は先週、グランデッツァで七夕賞を制し、全10場重賞制覇にリーチをかけた。そして偉業達成のチャンスはすぐに巡ってきた。騎乗するデウスウルトは、グランデッツァと同じ平田厩舎。2年ぶりの函館参戦となる鞍上は栗東で取材に応え「デウスウルトが重賞を勝てるようにしたいです。僕が勝ってもオマケみたいなものですから」と自分のことは二の次で抱負を口にした。5走前からコンビを組み、重賞で2着2回、3着1回と初タイトルまであと1歩に迫っている愛馬のために勝利を目指していく。

 追い切りは、まだ肌寒い函館に熱気が帯びた。ウッドコースで単走。軽やかなリズムを刻んで直線に向くと、鋭く飛んだ荻野騎手の左ステッキがゴーサイン。グッとファイティングポーズを取りグイグイと推進力を上げていく。ラスト50メートルでもう1度ムチが入り鋭伸。5ハロン68秒6、ラスト1ハロン12秒7でフィニッシュした。平田師は「しっかり追われたけど動きは良かった。滞在が合うのか体もちょうどいい感じ」と満足げに調子の良さを伝えた。

 厩舎にも果たしたい思いがある。昨年1番人気に推されたグランデッツァが10着に敗れた。馬は違えど雪辱への気持ちは強い。「何とか結果を出したい」とトレーナー。川田と厩舎の勝利への執念が、北の大地で新たな歴史をつくっていく。【松末守司】

 ◆最速は武豊 全場重賞制覇は安田富男が最初で28年4カ月6日かかった。武豊は10年4カ月27日、藤田伸二は12年11カ月7日で達成。それぞれ最後に残った競馬場は順に札幌、函館、小倉だった。最近は福永祐一が5日のラジオNIKKEI賞で挑んだが、レアリスタが16着に敗れ持ち越しとなった。川田が達成すれば11年4カ月13日で、武豊に次ぐ2番目のスピード記録。このほか横山典弘が新潟、蛯名正義が小倉で勝てば全場重賞制覇となる。