今週の日曜京都メーンは牡馬3冠最終戦の菊花賞(G1、芝3000メートル、25日)が行われる。
関東馬の大逆襲はあるか。ブライトエンブレム(牡3、小島茂)は、14年ぶりの菊制覇を狙う関東勢の大将格だ。関東馬は01年マンハッタンカフェを最後に勝利から遠ざかっており、馬券に絡んだのも昨年3着のゴールドアクターが7年ぶり。厩舎得意の栗東滞在で10年連続1、2着独占の西の牙城を崩す。
厩舎内を運動するブライトエンブレム(撮影・奥田泰也)
前走のセントライト記念は2番人気で10着に敗れたが、皐月賞4着、弥生賞2着の実績は光る。虎視たんたんとラスト1冠を見すえ、1日から栗東で調整。管理する小島茂之師(47)は08年秋華賞をブラックエンブレム、09年エ女王杯をクィーンスプマンテで西のG1を2勝している。いずれも栗東滞在だった。
ブライトの母ブラックエンブレムはローズS15着からガラリ一変。2頭を比較して師は「お母さんは神経質なタイプだったが、ブライトは内に秘めるタイプ。だからこそ人間の方が気づいてあげないといけない」と細心の注意を払う。20日はトレーナー自ら手綱をとり、角馬場を周回したあと坂路で4ハロン62秒6を1本。帯同馬の後ろで我慢させ、脚のたまり具合を背中越しにチェックした。
師は「先週はこれではもたないと思うぐらい気負っていたが、だいぶ良くなっている。でも、まだ本来の“ため”の利き方ではないのでレースまでに修正していきたい。やれることをやっておけば本番ではできる子だと思う」と距離克服を期待。「3000メートルがベストの馬ではないが、こなせると思う。折り合いが一番の鍵になる」と話す。
セントライト記念もスローの“団子”の外々を回って10着だが、着差はたった0秒4。「あんなレースでは本番は勝てない。作戦はジョッキーと一致しているよ。早めに動いていくつもりはないので、あとは運を信じるだけ」と師はラスト1冠奪取に向けて策をめぐらす。今日21日の最終追い切りは田辺騎手が栗東で騎乗。淀で母が演じた逆転劇を再現だ。【中西典章】