『そこそこ週刊・畠山理仁』
Vol.236
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『そこそこ週刊・畠山理仁』
ネット社会の病が現実社会を覆い始めた日本
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●安田純平さんへの「自己責任」バッシング
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2003年、私はフセイン政権下のイラクを訪ねた。その時の話はこれまでも折に触れて書いてきた。まだ戦争は始まっていなかった。それでも開戦直前のイラクを訪れて自分の目で見てきたことは、今も強烈に記憶に残っている。
当時のイラクはフセイン大統領の独裁政権が続く監視社会だった。日本からイラク国内に入るためにはビザが必要だった。国内には秘密警察が本当にいた。写真を撮影することも、時と場合によっては「スパイ行為」とみなされる可能性があった。
私は戦争が始まる前に、後ろ髪を引かれる思いでイラクを後にした。
戦争が実際に始まると、バグダッドで一緒だった日本人ジャーナリスト・遠藤盛章さんがイラク国内で秘密警察に拘束された。遠藤さんはローカルな路線バスに乗っていた時に空爆に遭い、その様子を撮影したことで9日間拘束された。イラクはそんな空気の場所だった。
私がまだイラクにいた時、現地で私のガイドを務めてくれたタクシーの運転手は、周りにイラク人が誰もいないことを確認してから私にこう言った。
「良いところも悪いところも全部撮ってくれ。これがイラクだと伝えてくれ」
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