Vol.170
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          『そこそこ週刊・畠山理仁』

        ハイパーメディア無職リターンズ(4)

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●エキストラというお仕事
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 読者の皆様、前回の「ハイパーメディア無職リターンズ(3)」からずいぶん時間が開いてしまい、誠に申し訳ありません。
 実は経済事情のためアルバイトに注力せざるを得なくなり、執筆時間が取れない状態が続いておりました。皆様から購読料をいただいておきながら本当に申し訳ありません。今後も苦しい状況が続きますが、なんとか発行を続けようと思っています。本当に本当に、お詫びの言葉しかありません。
 間が開いてしまったので、前回の最終段落から始めます。私が食えないのを見かねた旧知の知人に紹介してもらったエキストラの話の続きです。

     ***

「それでは、これからロケバスで千葉県に移動します。お弁当ありますんで、みなさんどうぞ」
 時刻はまだ10時前だが、出されたものはありがたくいただこう。
 驚いたことに、弁当の号令を受けて真っ先に弁当配りを手伝ったのはハンチング帽さんと紫さんのベテラン勢だった。
「はい、弁当どうぞ」
「はい、お茶どうぞ」
 手慣れた手つきで弁当を回す。コワモテの紫さんもニコニコしながら弁当を配ってくれた。
「それじゃあこれから千葉に出発しまーす!」
 助監督さんの一声でロケバスが出発した。私はすぐに弁当を開けて食べた。青のりが振られ、明太子が散らされた白米。唐揚げが一切れ。野菜のおひたし、そして煮物が少し。3分ほどで食べ終わってしまってから気がついたが、ベテランさんたちはまったく手を付けていなかった。なぜだ? スピード感ある現場じゃなかったのか?
「これから移動が2時間半あるから、オレはお昼時に食べようと思ってね」
 紫さんが私の弁当かすをゴミ箱に捨ててくれながら言った。
 え!? 2時間半の移動? 千葉ってそんなに遠いの? そもそもオレは、これからどこに連れて行かれるの?

※ここから今回のお話が続きます。