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Disruptiveなイノベーションが起きる国へ
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Disruptiveなイノベーションが起きる国へ

2019-03-28 16:41

    日本ではdisruptiveなイノベーションが起きない、と言われる。世界では、シリコンバレー(米国)、深圳(中国)は言うに及ばず、ニューヨーク(米国)、リスボン(ポルトガル)、テルアビブ(イスラエル)、北京(中国)、ロンドン(英国)など世界各地で、多数のスタートアップ、ユニコーン企業が育ち、社会・産業構造を大きく変える破壊的イノベーションが起こっている。日本のオープンイノベーションは進んできているものの、その動きははやいとは言えない。世界の状況と比較すると「強い危機感」を持たざるを得ない。日本でdisruptiveなイノベーションを起こすため、私が目下取り組んでいること、目指すところを数回に分けて紹介してみたい。

    従来の延長線上、積み上げで政策や取組みを進めるには限界がある。創造する未来社会、実現したい未来像からバックキャスト的に、そのような社会を実現するには何が必要か、技術開発とルール作りを考え、新たなイノベーションを起こしていく必要がある。「バックキャスト」で進めていくこと自体は、皆、賛同する。私も、大臣就任以前から、「present push(現状の延長線上)」ではなく「future pull(未来からの牽引)」の考え方で新しいモノ、コトを考えないといけない、と繰り返し言ってきた。では、実際にどう進めるのか。

    私は、自民党・IT戦略特命委員会の委員長として、政策提言「デジタルニッポン」を2010年から2018年までほぼ毎年まとめ、政府に提言してきた。その際に重視したのは、徹底して現場の取組み、意見をヒアリングすること。役所を通すとスクリーニングがかかってしまい、情報にバイアスがかかる可能性もある。役所を通さずに、予断を持つことなく直接現場の意見をフラットに多方面から聞いて、自らの考えを纏めていく。当然、そうだなと思うこともあれば、考えが異なる意見を聞くこともある。マチュアでない情報に多数接し、未来に対する想像力を最大限に働かせ、判断していくことが重要だと感じた。

    大臣就任後、自らの担務に関する「政策立案エンジン」となるプラットフォームとして『平井ピッチ(HIRAI Pitch)』という懇談会を立ち上げるよう、すぐに準備に取り掛からせた。創造する未来社会からバックキャスト的に新たなイノベーションを起こしていくため、情報通信技術(IT)、科学技術、知的財産戦略、クールジャパン戦略、宇宙開発等はどのように進めていくべきか。IT戦略特命委員長の経験も活かし、創造的なアイデアを持っている方、新たなビジネスに挑戦している方を中心に、その取組みを直接ヒアリングし、政策を立案していくべき、と考えたからだ。また、私の担務は、「デジタル化」をキーワードに全て繋がっている。しかし、日本は「縦割り」の言葉に代表されるように、横の繋がりが十分ではない。言うまでもなく役所も例外ではない。平井ピッチにより、関係する各部局が自分のもとに一堂に会し、セクションを越えた情報共有を進め、統合的な政策立案、提言が出来るよう心掛けている。加えて、結果論になるが、平井ピッチは、私(大臣)がピッチを直接受ける、ということで、頑張っている方を広く応援することにも一役買っているようだ。ピッチをして欲しい、という方から多数問い合わせがあり、今や順番待ちになっている。

    日本をDisruptiveなイノベーションが起きる国へ。課題先進国である日本の舵取りを今、間違ってはいけない。昨年10月に起動した平井ピッチは、まず、AI・IoT、バイオ、量子、宇宙などの分野で果敢に挑戦を続けているスタートアップ、VC(ベンチャー・キャピタル)、研究者等の方々を中心にピッチを受けた。通常は内閣府の大臣室でピッチを受けるのだが、出来るだけ現場に赴き直接意見交換すべき、と考え、地方版ピッチもこれまで福岡、渋谷、麻布、日本橋、つくば、大阪、名古屋で行った。これまでのピッチで、今後何をすべきか、自らの考えもほぼ纏まってきている。カギは「都市を中心としたスタートアップエコシステムの拠点形成を加速すること」。今、ベンチャーブームと呼ばれる向きがあり、確かにスタートアップがアツい。だが、まだまだ持続可能性のある強い動きになっていない。日本が持っている技術、人材のポテンシャルを解き放ち、限界を超える加速度をつけなければならない。『Beyond Limits. Unlock Our Potential.』ということだ。近々に政策提言として中間的な取り纏めをしたいと考えており、次回はこの政策提言を中心に紹介してみたい。

    ちなみに、平井ピッチ。正確には「Pitch to the Minister懇談会」という。名前のヒントはエストニアから。同国には、役所の方がピッチに参加することがよくある、と言う。ならば、直接、大臣にピッチ、ということで、Pitch to the Minister。大臣に直接、という取組みはこれまで聞いたことはない。恐らく、初めてではないだろうか。

    用語説明:
    Pitch(ピッチ):概ね、新しいアイデアやビジネスを端的にプレゼンテーションする意味で用いられる言葉。シリコンバレーで投資家へのプレゼンを「Pitch(ピッチ)」と呼び、さまざまなピッチイベントが行われている。

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