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* 堀潤のテレビでは言えない話 vol.14 *
~「3本目の矢は既に折れている?」の巻~
発行:8bitNews 2013.7.3 (毎週1回発行)
http://www.facebook.com/8bitNews.HORIJUN
http://twitter.com/8bit_HORIJUN
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皆さん! こんにちは。蒸し暑い日が続いていますが、皆さんのお住まいの地域はいかがでしょうか? 今週末は、福岡・博多で開かれる「ユナイテッドピープル映画祭」に映画を出品するため連日の徹夜作業が続いています。
そして4日からはいよいよ、参院選が公示となります。21日の投開票に向けて各候補者が一斉に運動をスタート。インターネット選挙運動も始まり、各陣営がどのような闘いを挑むのか、注目せざるを得ませんね。
ブロマガ読者の皆さんにお知らせですが、僕も今回の選挙戦にからんでネット番組数本の司会をし、投開票日は、とある放送局で選挙キャスターを務めます。積極的に取材にうって出て、その都度発信してゆきます。今後ともご支援のほど、よろしくお願いいたします。
ではでは、今号のコンテンツはこちらです!↓
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├○ 堀潤のテレビでは言えない話 vol.14:2013.7.3
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├○ 01.【堀潤のソーシャル日記から】
├○ 第5回 不条理な世界にヒマワリを咲かそう 前編
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├○ 02.【ルポルタージュ】
├○ 次世代メディアへの創造力+α
├○ 第14回 「3本目の矢は既に折れている?シリコンバレーで見た本当の成長戦略」
├○ ~エバーノート×ホンダが仕掛ける自前主義からの脱却~
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├○ 03.【ルポルタージュ】
├○ マスメディアが報じない本当の○○
├○ 第14回 「外国人献金問題の落とし前 民主党消滅シナリオは回避できるか?」
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├○ 04.【オンライン講座】
├○ そうだ!メディアを創ろう
├○ 第12回 「構成を作るために“ペタ”をしてみよう」
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├○ 05.【告知】今週のスケジュール& お知らせ
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▼前回「Vol.13」へのリンクはこちらです。
[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar271543
未読の方は併せてお楽しみ下さい。
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┗■ 01.【活動日記】堀潤のソーシャル日記
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このコーナーでは1週間の堀のつぶやきから3本を選んで深堀り。
毎日新聞「MAINICHI RT」 の連載と連動しています。
NPO法人代表として、そしてジャーナリストとしての堀の1週間からのルポルタージュ。
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不条理な世界にヒマワリを植えて 前編
8bit_HORIJUN 2013-06-24
AM9:50 JR福島駅前に到着。駅前の放射線測定器を見ると値は毎時0.226マイクロシーベルト。上限値の目安である年間1ミリシーベルト以内におさまる値だ。
@ 福島駅西口 http://t.co/8tleMnn323
今月5日から7日までの3日間、福岡市内中心部で、環境や経済、社会問題を扱った世界のドキュメンタリー映画を集めた「ユナイテッドピープル映画祭」が開かれる。最終日の7日には、筆者が制作した短編映画「変身 Metamorphosis」が上映される。去年から今春まで留学していた米カリフォルニア大学ロサンゼルス校在籍中に同タイトルの研究発表用映画を制作、学内で上映したものだが、再渡米するなどして、一般公開用に新たに撮影・編集し直した。
映画は、日本と米国の原子力災害のその後を追ったドキュメンタリー。2011年の東電福島第一原発、1979年の米スリーマイル島原発、そして米ロサンゼルス近郊のサンタスザーナ野外実験所のメルトダウン事故を取材したものだ。サンタスザーナについては発生から50年間、事故による環境汚染の実態が公にされてこなかった。
映画の取材・撮影を兼ねて先週、福島県の浜通りを訪ねた。地元放送局「ラジオ福島」で30年以上アナウンサーを務める大和田新さんが、春まで警戒区域に指定されていた浪江町などを取材してまわるというので、車に同乗させてもらってその様子を撮影した。
「悔しいなぁ」。福島市内中心部から東へ車で約45分。飯舘村に入ると、大和田さんは流れる車窓の風景を見つめて何度もそうつぶやいた。
8bit_HORIJUN 2013-06-24
AM10:40 ラジオ福島の大和田アナの案内で飯舘村に。道の両脇に広がっている水田は一面、雑草の緑で覆われていた。 @ 飯舘村役場 http://t.co/YrD4aZObTL
8bit_HORIJUN 2013-06-24
飯舘村役場前の放射線測定器の値は毎時0.63マイクロシーベルト。放射線との長い闘いが続いている。 @ 飯舘村役場 http://t.co/zgE2UaaXY0
原発事故から間もなく2年4カ月を迎える。有機農法などが盛んで、丁寧な農業が続けられてきた飯舘村。毎年この季節になると、道路の両脇に広がる緑の絨毯が風に揺られていた。光を放つ景色は、今は目を閉じて想像でもしなければ見ることができない。村の各地では除染が続く。役場の裏手にまわると、除染によってはぎ取られた、放射能に汚染された土が、フレコンバッグ(フレキシブルコンテナバッグ)と呼ばれる黒い土嚢に保管されて積み上がっていた。見上げると、黒い山と青い空のコントラストが目に焼き付いた。
「このあたりの家々の瓦を見て下さい。ピカピカでしょ。当時、新築の家が多かったんですよ」。保管場所の周囲は住宅密集地。放射性物質に汚染された土や砂をいつまでも街中で保管しておくわけにはいかない。かといって、他に廃棄できる場所もない。林野庁は一昨年、飯舘村の面積70%を占める国有林を活用し、仮置き場として活用する案を既に出しているが、住民の本格的な帰還に向けては、将来的な中間貯蔵施設の完成を待つほかない。
しかし、中間貯蔵施設の整備にむけた具体的な議論は始まったばかり。環境省は6月28日に事故後初めて、外部の専門家による検討会議を設置。2015年1月の施設稼働に向けて、安全対策や環境保全のあり方についてようやく検討に入った。
「避難を続ける皆さんの中にはね、仮設住宅で3度目の夏を迎える人も大勢いるんですよ」。現在進行形で原子力災害と向きあう福島県の現状を、僕ら県外で暮らす人々はどの程度の実感をもってわかっているのか。時の経過とともに、日々の意識から遠のく福島の変わらない今を、僕たちはもっと知るべきだ。
8bit_HORIJUN 2013-06-24
PM0:40 南相馬市に入った。立ち寄ったのは、震災後一ヶ月で営業を再開した、今野畜産。メンチカツが名物だという。 @ 南相馬警察署 http://t.co/7LTba0m5ya
8bit_HORIJUN 2013-06-24
店を切り盛りする今野千栄子さん。店では全頭検査を実施済みの福島県産の肉と県外から仕入れた肉が並ぶ。客足は震災前の五割に回復したと話すが、将来への不安とも日々向き合っているという。 http://t.co/AXDb5qV0bz
海岸に向け車でさらに30分、南相馬市に入った。原発から約20キロ、かつての警戒区域の境界線近くで震災直後から営業を続けてきた精肉店に入った。店頭には新鮮そうな霜降りや赤身の肉が並ぶ。パッケージには、福島県産と印刷されたものと、県外の地名が書かれた肉が3対7ほどの割合でショーケースにおさめられていた。
お客さんの反応は半々。全頭検査をした上で出荷している福島県産の方が安心だといって買って帰る人もいる。三角巾に前掛け姿の経営者の妻、今野千栄子さんは率直に話してくれた。「震災から2年以上が経ちましたが、葛藤は未だにある。この先、この町や周辺にどれくらい人が戻ってくるのか。ここで商売を続けられるのか、してもよいのか。日々葛藤です。でも、忘れられるのが一番辛い」
6月21日には「福島県畜産農協連絡会」が解散を決めた。 和牛の繁殖専門の農協として1965年に発足したが、原発事故による経営悪化で傘下の各農協の経営が成り立たなくなった。
積み上げてきたものが無になり、こぼれ落ちていく不条理さ。車の中でほおばったメンチカツのうまさを東京に戻っても忘れてはいけない、と肉を何度も噛み続けた。
取材依頼、講演や講師の依頼なども受け付けています。
→hori@8bitnews.org までぜひ!
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┗■ 02.【ルポタージュ】
次世代メディアへの創造力+α
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講談社・現代ビジネスで連載中の「堀潤の次世代メディアへの創造力」。
ジャーナリズムに特化した連載ですが、
このブロマガでは「+α」として、新たなサービスやテクノロジーについて
世界各国の動きを現地レポートを交えて報告します。
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※ 現代ビジネス「堀潤の次世代メディアへの創造力」はこちら。
[リンク] http://gendai.ismedia.jp/category/horijun
■“アベノミクス3本目の矢は既に折れている”という指摘
安倍政権は成長戦略の柱の一つとして、クールジャパン政策を掲げている。国会では官民ファンド「クール・ジャパン推進機構」を設立するための法案が可決・成立し、500億円が投入されることが決まった。アニメやゲームなどのコンテンツ、ファッションに加えて日本食や伝統工芸、伝統文化、自動車などを投資対象として、政府が音頭をとって支援していくことになる。
このコラムでは、クールジャパン政策の可能性と課題について探ってきた。ソーシャルゲームの世界展開で急成長を遂げるgumi代表の國光宏尚氏は、政府主導の現政策の方向性について真正面から課題を指摘する。「クールジャパンの今の方向性は間違っています。問題は、国が支援をしすぎで過保護であること。現地と一人もつながることができないような企業を支援する必要はありません。企業に関していえば、いいものを作れば売れるといまだに思っていますが、これは大きな間違いです。売れるモデルの構築が大切です」。そう語って選択と集中を促し、個別単位での投資ではなく、プラットフォームの構築に向けた大規模な投資こそ国家が担うべきだ、と語った。
一方、経済産業省でクールジャパン政策を牽引する官僚の1人、小田切未来氏は「現在のクールジャパン戦略に寄せられる批判は、『点が面になっていない』『単なるイベントに終わってしまう』といったものです」と率直に語り、海外の現地コミュニティとの連携を強化して、華僑のようなネットワークを構築する必要がある、と持論を述べた。
6月に英国・北アイルランドで開かれた主要国首脳会議(G8)では、ドイツのメルケル首相が安倍首相と1時間以上にわたって会談。巨額の借金を抱える中でどのように成長戦略を打ち出し実行していくのか具体的な質問が続いた、と報じられた。「噂で買って実で売る」という投資家の視線は、日本が打ち出す成長戦略の実効性の行方を厳しく見つめている。
今、日本に求められる実行力とは具体的にどのようなものなのか。筆者が掲げるキーワードは「自前主義からの脱却と協業」。米カリフォルニア州シリコンバレーでは、日本の既存産業の一つである自動車メーカーのホンダと、クラウド型の情報記録サービスで成長を遂げた米新興IT企業のエバーノートとが協業し、新サービスの開発に向け模索を始めた。シリーズ最終回は、この現場主導の取り組みについて報告する。
■シリコンバレー発 IT×自動車 仕掛人は異色の経歴
米カリフォルニア州のサンフランシスコ空港から車で南東に約20分。シリコンバレー北部のレッドウッドシティにあるエバーノート本社を訪ねた。ギラリと強い日差しを反射するガラス張りのビルに、緑地にゾウのマークが描かれたおなじみの看板が掲げられているのが見えた。
エバーノート。スマートフォンを利用している人なら一度はそのアプリを見かけたことがあるのではないだろうか。インターネットを利用して、クラウド上に文書や画像を保管し記録するアプリ。欧米やアジアを中心に5000万人の会員数を誇り、日本では500万人が利用している。2008年にシリコンバレーで創設、日本では2010年にサービスが始まった。クラウドやスマートフォンの市場拡大の波に乗って急成長を遂げ、勢いに乗って1億人の利用者獲得を目指している。
吹き抜けのエントランスを通り抜けると、見通しのよいオフィスが広がっていた。6人掛けの四角いテーブルが約20並び、Tシャツにパーカー姿の男性たちがそれぞれノート型PCで作業に熱中している。オフィスの天井からはエバーノートの横断幕に加え、HONDAと赤い字でプリントされた横長の旗もつり下げられ、空調の風に揺られていた。
この日開かれていたのは、エバーノートとホンダによるハッカソン。一般からの応募で集まったシリコンバレーのIT技術者が3日間で、両社が公開した自前のプログラムを使って、技術やアイデアを駆使して新たなサービスを考え出す催しだ。
ハッカソンとは、高い技術でプログラムを開発する「ハック」とマラソンとを合わせた造語で、企業や自治体の主催でシリコンバレーでは盛んに開かれている。賞品が出るほか、サービス自体が主催企業に採用されることもある。
20代~30代の若手IT技術者を中心に100人が参加、13のチームに分かれて独自サービスの開発に熱中した。ホンダはシリコンバレーに研究所を構えて約10年。これまでは基礎研究の拠点として役割を果たしてきたが、数年前からは、車に搭載するITサービスの開発も進めるようになった。
会場の一角ではホンダの研究チームが、公開プログラムについて参加者に説明していた。プロジェクターに映し出される資料には複雑なコンピューター言語が並ぶ。「彼らのプレゼンを見たら分かると思いますが、車はもはやスマートフォンと同じようなデバイスです。生活環境の情報のハブになるような、機器としての車という概念に変化しています」
眼鏡をかけ、髭をはやした日本人男性に声をかけられた。ホンダのシリコンバレー・ラボで研究員を率いる杉本直樹シニアプログラムディレクターだ。日本の大手製造業が米国内でハッカソンを開くのはおそらく初めて、とも語る。
杉本さんは、ホンダ生え抜きの技術者ではない。7年前にリクルートからホンダに移った異色の経歴を持つ。「良いモノづくりをしていたら売れるという時代ではないんです。テクノロジーの変化とともに進化していかなければ」。研究所が関わる企業は殆どが地元IT企業。日本のサプライチェーンとの関わりは薄い、とも話す。
ホンダのチームと話をしていると、会場にもう1人、日本人が現れた。白斑の眼鏡をかけた柔和な物腰の男性。今回のハッカソン主催者、エバーノート日本法人会長の外村仁氏だ。「ホンダさんとのコラボは楽しいですよ。新しい可能性や提案がどんどん出てくれば。うちのハッカソンはとてもオープン。特にヘッドハンティングの場というわけではなく、とにかく自由な彼らの発想に、僕らも触れてみたい」
両社は今年春には、NTTドコモ投資子会社も交え、ベンチャーの育成を目指した共同育成プログラムの実施について発表している。
彼らが目指す次世代型のモノづくりとは何なのか。2人の描く成長戦略について聞いた。
■外村仁氏が語る成長戦略とは
(堀)
ハッカソンの狙いは人材の発掘でしょうか、それとも投資事業の一環ですか?
(外村)
うちは全くそこは意識していないくて、面白いものを作ってくれと。そっちをお仕事にしているハッカソン、例えば終了後に別室に呼んで「投資するからきてくれ」というのもありますが、エバーノートの場合は、いろいろとぶつかって世の中にインパクトのあるものを出してくださいねというもの。この半年では、ブラジルのハッカソンがすごく盛り上がりました。台湾、韓国などアジア、またベルリンなどでも開催していますが、ブラジルはかなりの盛り上がりで。最近はシリコンバレーで開かれるスタートアップ系のイベントでも参加者が増えていて、BRICS系は国としてだけではなく、ITエンジニアやプログラマーの台頭もあって面白いな、と思って見ています。
(堀)
この10年間の国の成長が人材の底上げに繋がっているのでしょうか?
(外村)
そうとも言えますし、BRICSの場合はその国で機会を得て良い仕事についても簡単にはお金持ちにはなれません。でもここに来て何かあてると桁違いのことができるので、インセンティブが大きいんです。アメリカや日本にいる人よりもインセンティブが大きい。ハッカソンの賞金が10万でも100万でも、彼らの通貨でいうと価値が10倍くらいになったりしますからね。実際、エンジニアリングスクールの質も良くなってきていて、でもこれまではあまり活躍の場がなかったと。ところが最近では、オンラインで参加できるイベントなども増えている。数日間という限られた中で変わった視点やアイデアを見せると、「ぜひうちで働いてくれ」というケースもあるので、彼らにとってもすごくチャンスが広がっているんじゃないですか。
(堀)
米国でのハッカソンは何回目ですか?
(外村)
今年が3回目です。最初はアメリカや先進国向けのデベロッパー系が多かったのだけれど、去年から新興国からの企業が目立つようになってきました。去年は香港。日本で開いたハッカソンでは、参加したデザイナーが、そこで知り合った東京の社長と一緒に起業しました。ネットワークづくりができればよいなと思っています。
(堀)
一方で日本の場合はプラットフォーム型の開発が弱いと言われていますが、外村さんはどのようにご覧になっていますか?
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