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  * 堀潤のテレビでは言えない話 vol.32 

      ~シリーズ「ルポ・原発産業インサイド2」の巻~

         

    発行:8bitNews  2014.7.17 (ほぼ毎日発行)

               

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皆さん!こんばんは。

一昨日はTOKYO MX「モーニングCROSS」の放送終了後、福島地裁の取材に
行ってきました。

今年のはじめから取材を続けている「生業を返せ、地域を返せ!福島原発訴訟」
の第7回口頭弁論の傍聴をするためです。

この訴訟は、2013年3月11日。
震災、原発事故当時に福島県や隣県に住んでいた、または現在も住んでいる
住民の皆さん800人が原告になって国や東京電力に対し、
補償の有無による分断や将来の健康不安に備えた医療保障制度の確立などを求めて
訴えを起こしたものです。

あれから1年4ヶ月。
裁判が進むにつれて原告として参加する住民の皆さんも増え続け、現在では3000人
に迫る勢いです。補償の有無や地域による線引きによって住民を分断する手法は、
昭和30〜40年代にかけて社会問題になった水俣病や四日市ぜんそくなど、かつての
公害訴訟にも見られた国や企業側の常套手段と同様だと批判しています。

そこで、この裁判では、補償の有無や地理的な線引きによる分断をやめさせ、
国や東京電力の責任の所在を明確にした上で、一律の賠償や将来の健康不安に
対する対応策などを今のうちにしっかりと策定しておくよう求めています。

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 「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団及び弁護団は、
平成25年3月11日、800人の原告とともに、東京電力及び国を相手方として、
福島地方裁判所に訴えを提起しました。

 安全神話を掲げて国と東京電力は原発を推進してきましたが、事故によって放出
された放射性物質は、県境を越えて広い地域や環境を汚染し、多くの方々に避難生活、
健康に不安を抱く生活を強いています。

 私たちは、本件訴訟において、地域を汚染した放射性物質を事故前の状態に戻すこと、
そして元の状態に戻るまでの間、精神的な苦痛に対する慰謝料を求めます。

 多くの被害者が、それぞれの被害の状況や立場を超えて団結し、国と東京電力に対し
て立ち上がり、これ以上の被害を生み出さないことを求めます。

 多くの皆様の本件訴訟へのご参加とご支援を心から訴えます。
※「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団HPより抜粋
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一昨日は、7回目の口頭弁論期日。
原告団のこうした訴えに対し国と東京電力側は一貫して否定的な立場を貫き、
健康不安、不動産価値の低下、風評被害などに関して、東京電力側は
「年間20msv以下は健康影響は問題ない(肥満・野菜不足より安全)」、
「仮に責任と義務が認められても莫大な金額が必要なので、一企業に負担させるには
重たすぎるので訴えを却下すべき」と主張しています。
国や東京電力側のこうした発言に傍聴席からも驚きと落胆の声が漏れました。

さらに原告側は、事故前の対策が不十分であり、国や東電の過失が今回の事故拡大
につながったとしてこの裁判の中で実態を明らかにするべきだと訴えてきました。

一方、東電は原子力損害賠償法に基づき、過失を議論する必要はないと主張。
ところが裁判所はそした東電側の弁護士の発言に続き、間髪入れず「過失は
重要な争点」と述べ、現在、津波の予見可能性を争っています。

この裁判で原告は、国が第一原発の敷地高に迫る津波への予見可能性があるとする根拠
として「国が津波高を(シミュレーションの)2倍で試算した場合に原発への影響を試算
するよう東電らに要請した」と主張してきましたが、国は今年5月「当時の資料が現存し
ないため事実を確認できない」と否認していました。

しかし、一昨日の裁判では「電力会社から提出されたと認められる資料を確認した」として、
一転、原告の主張を認めることになります。国側から証拠としてではなく上申書として
提出されたその資料を読んでみると、1997年の電力会社の試算で、第一原発への津波を2倍
にすると「(敷地高10mに)余裕のない状況になっている」と報告を受けた事がわかる資料
を提出しました。

原告弁護団では、提出された資料を上申書ではなく、国が証拠として提出してもらうよう
指示して欲しいと裁判所にお願いをしています。

国が「存在していない」と否定し続けてきたその資料。弁護団での読み解きが続いています。

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福島地裁でのこの裁判にとても注目しています。
事故原因の究明にも取り組んでいますし、福島で結審するというのは象徴的でもあります。
次回の口頭弁論は9月半ばくらいを予定されています。
皆さんもぜひ、この裁判の行方を見守ってください。                                                                      

ほりじゅん


info@8bitnews.org までお寄せください!


お待ちしております!!!




では、

今号のコンテンツをお楽しみください。

前回「Vol.31」へのリンクはこちらです。

[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar577176





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┗■  01.ルポ  原子力産業インサイド 

   

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シリーズ『ルポ 原子力産業インサイド』

なかなか一般では関わる事が少ない原子力産業の内側の人々を取材。安倍政権誕生以来、原発の再稼働、原発輸出に向けて業界内では取り組みが活発化。彼らは一体何を考え、どう行動しようとしているのか。原発の賛否を考える上でもまずは業界内の動きもしっかり知っておきたい。電力会社からメーカー、業界団体まで、福島の事故を繰り返す訳にはいかないという思いから堀が切り込む。

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それでも原発再稼働を目指す理由(ワケ)後編


国内最大規模の業界団体「原産協」

前回に続き、国内最大規模の原子力業界団体「原産協」について、あらためて。

日本の原子力政策の幕開けとなる1956年、原子力基本法が施行されたその年に設立された組織で、原子力の開発と平和利用を推進することを目的に電力会社、電機メーカー、商社、銀行、自治体などが結集し発足した。元々は文部科学省所管の社団法人だったが、公益法人制度改革に伴い2012年から一般社団法人となった。

加盟社数は2014年6月24日現在445社。原産協のHPで公開されている社名一覧を眺めてみると実に様々な企業が名を連ねており、原子力産業の裾野の広さをあらためて実感させられる。例えば「あ行」の企業を列挙してみると、IHI(旧石川島播磨重工業)、愛知金属工業、青森県、アサツー・ディーケー、ALEVA Japan など、工業から広告代理店、外資系、自治体まで多岐にわたる。

原産協が掲げる今期の目標は「信頼回復」。
原発事故の記憶から立ち直り、安心して使ってもらえる原発産業でなくてはならないと、念頭の挨拶でも述べていた。なぜ、業界は再稼働を急ぐのか?前回に引き続き、この方にお話を伺う。

原産協理事長、服部拓也氏(70)。
服部氏は東京電力出身。東京大学大学院工学系研究科の修士課程を修了後、1970年に東京電力に入社。一貫して原子力部門の中枢を歩んできた。2000年に福島第一原発の所長、2005年に東京電力副社長を歴任。2007年より現職の原子力産業協会理事長をつとめる。
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作業員不足にどう対応するのか?業界に危機感

まず、服部氏に尋ねたのは、建設業界をはじめ各業界で拡大する人手不足感。第一原発の収束作業などに携わる作業員の確保を今後どうすすめるのか。また、海外での原発輸出や国内での再稼働が進むにつれて
現場が福島以外に広がっていく中、肝心な収束作業に影響が出ないのか質した。

服部氏)
心配しているのは廃炉にかかわる現場での人手不足です。廃炉作業は土木関係の作業員が担ってくれています。汚染水や地下水の止水作業なども土木関係者です。一方でゼネコンはインフラ補修などを請け負っていてそちらの方が魅力的な部類にはいるのかもしれません。人材の取り合いになりかねません。処遇の問題、安全確保が必要になります。

放射線の被爆管理、現場の宿舎を整備するなど、安心して現場で働いてもらえる環境をさらに整える必要があります。現場で働く人たちの被爆は、つまり高い技術をもつ優秀な人ほど危険な作業機会が多くなります。そういう人たちが線量でいっぱいいっぱいになって消耗するのはよくないので、その辺りについてはしっかり長期的な作戦でいかなくてはいけません。
優秀な人たちが現場にいけなくなるのはつらい状況です。

また、海外での新設プロジェクトが動き出すと、海外の新しい現場が魅力的だと思うのは自然だと思います。これは最後はトップマネージメントの問題。ディスカッションが必要です。答えがなかなかみつからない難しい課題でもあります。若い人たちにとっては10年仕事なので、目の前に生きた現場があることが大切です。バックヤードがあれば、研究棟などで形にしていくということも。人材育成をして海外に出していく。国や電力会社はトータルとしてやってほしいと協会では願っています。

また、透明性の確保、現場でおこっていることをどう発信していくのかとうのも重要なテーマです。透明性の確保を現場に任せて情報をださないというのは安心という観点ではよくありません。どういうタイミングで現場を公開するのか、情報を発信するのか、いろいろな工夫があるかと思います。

できれば第三者のチェックをいれるような場をつくるなど工夫があると良いと思っています。どういうツールがあるのか、国も重要なテーマとしてとりあげて欲しいと思っています。世界がそれを待ち望んでいます。一方で、世界が何に困っているのかも情報が必要です。

40年廃炉ルールでさらに作業員確保が必要に

さらに、原子力規制委員会でも検討を進めている原子炉の寿命を40年と定め廃炉にとりかかる、いわゆる40年ルールの適用について、実行されるようになれば日本各地で廃炉現場が増えていくこと。人材確保の観点からは人材の奪い合いにもなりかねない。今後の対応を聞いた。