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カズヤさん のコメント

もしドラアニメのときからえあはいの子は気になってたんだ
活躍してると嬉しいなぁ
No.5
104ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
『もしイノ』のオーディオブックが発売された。 もしイノ - FeBe 朗読は、『もしドラ』オーディオブックに引き続き声優の仲谷明香さんに担当してもらった。 仲谷さんは、元AKB48のメンバーでぼくが秋元康さんのところにいたとき一緒に仕事をしていた。その縁で『もしドラ』オーディオブックの朗読をお願いしたのだが、その後『もしドラ』のアニメにも出演してもらったりと、いろいろとご縁ができた。 その流れで今回もお願いしたのだが、とても良かった。前回に比べると格段にテクニックが向上していて、読み方に安定感があった。それから、これは前回もそうだったが、彼女はキャラに応じていろいろな声を使い分けてくれるので、それを聞いているのも楽しかった。しかも彼女は、それを朗読しながら即座に演じるから、よくできるなと感心すること頻りだった。 こちらで試し聞きができます。 オーディオブック「もしイノ」動画 - YouTube 仲谷さんは、今は声優として『迷家‐マヨイガ‐』『キズナイーバー』『不思議なソメラちゃん』『ももくり』『CHAOS;CHILD』『ソフィーのアトリエ』『ウチ姫』などたくさんの作品に出演している。そんな彼女と、収録の合間になんとなく「声優としてこの先きのこるには」という話になった。 そこでぼくは、自分の考えを述べた。それは、「代表作があるといい」ということだ。 「代表作」というのは、聞けば誰もが知っている名作と巡り会うこと。これは、俳優もそうだが、声優にも当てはまると思う。 でも、どうすれば代表作を作れるか? どうすれば名作に巡り会えるのか? 声優は、アニメを制作しているわけではないから、名作に巡り会うには運の要素が欠かせない。名作を作る名監督に巡り会うことが、何よりの条件だ。その名監督からご氏名を受けなければ、名作に出ることはできない。 多くの人は、それには声優としての基本的な実力と、それから運の要素が全てと考えている。しかしぼくは、そこにはそれ以上にだいじな要素として、「制作者的なクリエイティビティ」があると考えている。 例えば、『新世紀エヴァンゲリオン』でミサトの声を担当した三石琴乃さん。彼女は、『セーラームーン』に出演していたところ、それを見ていた庵野監督に見初められ、『エヴァ』への出演を依頼されたという。 だから、庵野監督が『セーラームーン』を見ていなければ、『エヴァ』には呼ばれなかった。その意味では、運の要素が大きいようにも思えるが、しかし逆に考えると、庵野監督が見ていたアニメは他にもあるだろうし、あるいは『セーラームーン』には他の声優も出ていたわけだから、もちろん実力の要素も大きかった。 そしてそれ以上に大きかったと思われるのが、三石さんの制作者的なクリエイティビティではなかったか。「制作者的なクリエイティビティ」とは、演技を通じて監督を刺激する力だ。監督に、さまざまなインスピレーションを与える力である。演技を通じて、キャラクターの造形に深みを持たせたり、ストーリーに奥行きを与えたりする力だ。 連続アニメの場合、第一話が作られてから、それ以降の台本が書かれたり、絵コンテが描かれたりする。そういうときに、監督というのは第一話に当てられた声優の演技を見ながら、ストーリーを考えたり、会話を考えたりする。 「あ、こういうキャラなのか。だったらこういう展開にしてみたい」 「こういう話し方をするのか。だったらこういう台詞を言わせみたい」 そんなふうに、演技にインスパイアされてストーリーが決定されたり、キャラクターの造形が深まったりする。声優にはそういう力がある。 名作に巡り会う声優には、そういう監督のストーリー作り、キャラ作りを刺激するような制作者的なクリエイティビティがある。特に三石さんの場合は、そもそも『セーラームーン』の頃から庵野監督を刺激していた可能性が高い。庵野監督は、三石さんの演技を見ることで、『エヴァ』のキャラクターやストーリーを構築したり深めたりしたのではないか。だからこそ、わざわざ『エヴァ』に起用したのだ。 逆にいえば、そういう監督を刺激するような制作者的なクリエイティビティがないと、名作には巡り会えないのかもしれない。 そんな話を仲谷さんにしたところ、彼女はこんなふうに言っていた。 「今の私は、まだそこまではいっていないです。だから、今は監督の要望に応えて、まずはそれを間違えないようにやるので精一杯です。でもいつか、もっと実力を積んで、もっと自信がつくようになったら、そういうこともしてみたい」 仲谷さんは、とても頭のいい人だ。 そういう制作者的なクリエイティビティは、ややもすると押しつけになって、かえって作品を損なってしまう危険性がある。声優の演技が監督の演出にそぐわなかったら、作品の価値を下げてしまうことにもなりかねない。 だから、そういうクリエイティビティは諸刃の剣でもあるのだ。仲谷さんはそのことをよく分かっていて、今の自分はまだそれを持つ段階ではないと思っているのである。 仲谷さんは、とても慎重だ。だからそういう判断になっていると思うのだが、同時にとても野心家なところもある。いつの日かそれが慎重さを上回るときが来たら、制作者的なクリエイティビティを発揮して、名作に巡り会えるのではないかと期待している。
ハックルベリーに会いに行く
『もしドラ』作者の岩崎夏海です。このブロマガでは、主に社会の考察や、出版をはじめとするエンターテインメントビジネスについて書いています。写真は2018年に生まれた長女です。