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庭について:その47(1,706字)
日本庭園の特徴の一つは、それが「ミニチュア」であるということだ。何のミニチュアかというと、自然である。日本庭園は、石や植栽そして池などの各要素を、山や木そして海などの自然に見立てる。そうして「見立て」という言葉が生まれるほど、その概念が重視されているのだ。その見立ての中でも、特に重要なのは「水」だ。日本庭園では、池は「海」に見立てられ、流れは「川」に見立てられる。面白いことに、実際には水を使わない「枯山水」の庭でも、砂を海や川に見立て、ミニチュアという特徴は失われていない。ところで、江戸以前の日本には「雑草」という言葉がなかった。雑草は、江戸時代中期から用いられた比較的新しい概念である。そう聞くと、それは古代の日本人が「八百万の神」的な宗教観を持ち、あらゆる自然を平等に尊んだからだ――ととらえがちだ。しかし、それは大きな誤りである。日本人は、古来より雑草とそれ以外とを区別する価値観を -
偽物の個人時代:その10(1,763字)
今の時代の流行哲学は、「人生を楽しく、賢く生きる」というものだ。そして、それを第一に実践しているのが今の若者である。今の20代だ。Z世代からα世代にかけてである。そして、そんな若者を指示・肯定・絶賛している大人たちがいる。それは、今や大人の中の最大ボリュームともいえる「団塊ジュニア」だ。団塊ジュニアの親である「団塊の世代」は、今や平均寿命にさしかかってかなり減ったため、発言権も自ずから小さくなった。おかげで、次のボリュームゾーンである団塊ジュニアが、今や最大勢力の時代となった。そんな団塊ジュニアが、Z世代やα世代の生き方を肯定している。Z世代やα世代は、団塊ジュニアから見れば自分たちの子供世代に当たるが、だから応援しているというわけではない。歴史的には、親と子の世代は反発することが少なくない。団塊ジュニアとZ世代、α世代が異例なのだ。ではなぜ団塊ジュニアが自分たちの子供世代を肯定す -
[Q&A]起業で成功する人はどういう人か?(2,329字)
[質問]起業で成功する人と失敗する人の差は、どういうところにあるのでしょうか? そろそろ定年なのですが、そのまま年金生活を送る気もないので、何か自分でやろうと思っています。何かヒントを教えてください。[回答]差は色々ありますが、一番は「バランス感覚」ですね。経営者は、とことんジェネラリストを目指すべきなのですが、たいていの人はこれができないんです。例えば、「世の中に貢献したい」という人はいますが、それと同時に「自分も儲けたい」と思える人があまりいないんです。「世の中に貢献して、自分も金持ちになったら最高じゃね?」って一見バカみたいな考えをためらいもなく抱ける人こそが経営者に向いています。だから、ヤンキーは経営者に向いているんですよね。それと、「ライバルは潰す」という感覚も必要です。「世の中のためになり、自分も儲けるけど、ライバルは遠慮なく潰す。あいつらは路頭に迷えば良いんだ」とい
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