バブル時代のCMは「掃き溜めに鶴」だ。トータルとして美しいわけではないが、その分、底知れぬ膂力を秘めている。
それは、マニラのゴミ捨て場で生活のためにゴミを拾う子供たちにも似ている。バブルという醜悪な時代に、なんとかそこだけでも美しくあろうとした反逆精神が垣間見える。

そう、「反逆精神」こそ美しさの一つの本質と言えよう。
例えば、世界で一番美しい絵を描く画家の一人にセザンヌいるが、彼の作品を作る姿勢は反逆精神の塊だ。他にも、ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ゴッホ、ダリ、日本でいえば広重や北斎なども、皆当時の絵のあり方に強く反発した反逆児であった。そうした反逆児としてのあり方が、100年経っても色褪せることのない永続的な美を絵画に宿らせたのである。

そして、バブルの時代の一部のCMも、そんな反逆精神に満ちていた。物を売ることが圧倒的な善とされる世界で、あえてそれに抗い、必ずしも売ることを最終目