マンガの黄金期は1960年代半ばもしれない。赤塚不二夫と石ノ森章太郎が、それぞれ『おそ松くん』と『サイボーグ009』でヒットを飛ばした。手塚治虫は『ワンダー3』の不発でミソをつけるが、コムでは『火の鳥』を描き、これが結局生涯の代表作となった。ガロでは滝田ゆうや楠勝平がいい仕事をしていた。貸本も永島慎二や矢代まさ子が最後のあだ花を咲かせていた。

そして、何よりマガジンで『巨人の星』と『あしたのジョー』が平行して連載していた。そんなふうに、多様な方向性がそれぞれでスパークしていたのだ。マンガの可能性が急激に広がっていた時代だった。

70年代は、噴火した火山のマグマが固まった時期といえよう。そこで天下を取ったのが、意外にも貸本から来た水島新司の『ドカベン』だった。これで80年代以降のマンガの方向性がある程度固まった。

70年代後半になると、しかし『ドカベン』の勢いは急速に衰え、代わってジャンプが