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岩崎夏海さん のコメント

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岩崎夏海
>>2
それは鋭く、また重要な指摘ですね。
ぼく自身はそこまで考えてはいなかったのですが、問題解決とか生き方とか、競争に勝つのでも負けるのでもなく「競争をしない」という第三の選択をすることが、ぼくのここ最近のテーマなのだと思います。
No.4
137ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
ぼくは20代の後半(90年代の後半)に年収が1000万円に到達した。放送作家でそれなりに仕事があって、その頃はテレビ業界も羽振りが良かったので、けっこうあっという間にこの金額に到達したのだ。 しかしその後、すぐに放送作家として通用しなくなり、年収はガタ落ちした。一番下がった32歳の時には100万円未満だった。わずか数年で十分の一にまで下落したのだ。 この時、「お金がない」とはどういうことかというのを骨身に染みて実感したし、またお金がないなりの過ごし方も身につけた。 その後、いろいろあって42歳の時に「もしドラ」がヒットし年収が大きく増えた。2010年のことだ。 これは、それまで最高だった年の数十倍だし、最低の年と比べると数百倍だ。まぁ、ジェットコースター人生を味わっているわけだ。 そこで今回は、そういうふうに金持ちと貧乏とを短時間で行き来した結果、見えてきた「これからの社会」あるいは「これからの生き方」ということについて書いてみたい。 まず、大いに実感したのが「格差社会が拡がっている」ということだ。格差社会というか、勝者にやさしく敗者に厳しい世の中が加速している。 ぼくは、「もしドラ」が当たって大きな収入があったけれど、10年前にはとてもではないがそんな収入は得られなかっただろう。 10年前は、勝者はもう少し収入が少なかった。その代わり、敗者にもやさしかった。全く使い物にならなくても、100万円くらいは稼ぐことができたわけだ。今なら全くお金にならなかっただろう。 これは実感なのでデータ的な裏付けはないが、当時と今を体験している身としてそういうふうに感じるのだ。 ぼくの師匠の秋元康さんも、そういう実感を持っているのではないかと思う。 秋元さんは、若い頃からたくさんのヒットを経験してきたけれど、50歳を超えてAKB48ほどの超大ヒットを初めて記録するとは、まさか思っていなかっただろう。 秋元さんは、それまでの芸能界でも頂点をきわめたクリエイターだった。だから、自分の年収の限界というものを、ある程度見切っていたところがあったと思う。 しかし、AKB48のヒットによって、その数字は軽く凌駕された。そんな秋元さんを見ていても、昔のヒットと今のヒットは桁が違うと思う。そう、桁が違うのだ。昔に比べて、ヒットして得られる収入は確実に大きくなった。 しかしその分、勝者の数が減ったのもまた確かだ。「もしドラ」は売れたが、その年の出版業界全体の売上げは落ちた。本全体が売れなくなったのだ。CDもそうで、AKB48の売上げは上がっているが、音楽産業全体のパイは縮小し続けている。 とにかく、今の世の中は競争社会が進行していて、勝者にはとことん大きな報酬が待っているが、敗者には何も残らないようになった。 そんな社会において、「よし、ならばその大きな報酬を目指して勝者になってやる」と意気込む若者が増えるのは当然のことと思うが、しかしぼくは、それはかなり危険な賭けだと考える。 先にも述べたように、これからの社会、勝者の数自体も減らされている。そのため、倍率はどんどん高くなっているのだ。競馬にたとえるなら、手堅い馬券が少なくなって、全てが万馬券のような世界である。ハイリスクハイリターンなのだ。 ハイリスクハイリターンの世界というのは、とても独特の世界だ。その世界にどっぷりと浸かってきた経験からいうと、こういう世界で生き残っていける人の特徴はたった一つである。 それは「競争が好き」ということだ。 勝っても負けても、人と比べられたり、出し抜いたり出し抜かれたり、そういうことが好きな人である。 勝って相手を悔しがらせるのも好きならば、負けて砂を噛むような思いをするのも好きという、サドとマゾを兼ね備えたような、倒錯した性格の人なのだ。 こういう特徴を持っている人は、競争社会に強いのである。なぜなら、勝っても負けてもへこたれないから、競争を持続できるのだ。石にかじりつくことができるのである。 そして石にかじりついていれば、いつかはチャンスが巡ってくる。そのチャンスを逃がさなければ、勝者になれるのだ。 多くの人が勘違いしているのは、競争に勝つ人というのは「打率の高い人」ではない。それよりも 
ハックルベリーに会いに行く
『もしドラ』作者の岩崎夏海です。このブロマガでは、主に社会の考察や、出版をはじめとするエンターテインメントビジネスについて書いています。写真は2018年に生まれた長女です。