seriさん のコメント
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今日の話は、自分でもまだはっきりと答えの出ていないことについて書くので、まとまりを欠いたものになっているかもしれません。 いま、「台獣物語」というコンテンツを作っている。 作り始めてだいぶ時間が経つが、まだまだできあがらないという感じだ。 「台獣物語」イメージボード 「台獣物語」は、小説とかマンガとかアニメとか映画――という表現形態がまだ決まってはいない。紙の本で出すか電子書籍で出すか配信で出すかパッケージで出すか――というメディアもまだ決まっていない。何も決まっていないのだが、そこから含めて考えていこうというのが、このプロジェクトのコンセプトの一つなのである。 今一つ考えているのは、色んな版を同時に出していこうというものだ。 例えばKindleで、100円版、500円版、1000円版と、3つの価格帯で出す。さらに、紙でも2000円版を出す。内容は全部変える。 さらに、プロモーションビデオをアニメで制作する。 そんなふうにすると面白いのではないかと思っている。 今年になって、妙に胸騒ぎがする。それは、コンテンツの発表形式が、いよいよドラスティックに変化するのではないか――という予感だ。 一つは、Kindleの登場が大きい。Kindleの個人出版で電子書籍を出し、大ヒットする作家が現れるのではないかという予感がする。そして一度大ヒットが現れれば、そこからもう、雪崩を打ってKindleの個人出版ブームが来るような気がする。 映像世界でも、YouTubeがいよいよ台頭するような気がする。YouTubeというより、YouTubeで映像を配信し、大きなビジネスを成功させるコンテンツ制作者、あるいは制作集団が現れるのではないかと思っている。 すでに、AKB48などはなし崩し的にそうなっているところがある。コンテンツをYouTubeで配信することで、そこから少なくない額の報酬を得ている。 AKB48 Official Channel! しかもAKB48は、そこで報酬を得つつ、新たなファンを獲得するという「マーケティング(宣伝)」も同時に行っているので、一石二鳥だ。 AKB48のファンでない人は、まずバズっているYouTubeの動画を見て、そこで可愛い子を見つけ、そこからファンになる。そうしてライブに行ったりCDを買ったりという導線がちゃんと引かれているのだ。 これはすごいスキームだと思った。YouTubeは、いうならば「金をもらいながら宣伝をする場所」なのである。 以前「フリーミアム」という考え方があって、それはコンテンツの一部を「ただ」で見せることで、それをマーケティングに活用しようという考え方だった。 YouTubeはそこから一歩進んでいて、そこで報酬を得つつ、マーケティングにも活用するのだ。今は、YouTubeの広告収入だけでは黒字にならないかもしれないが、それでも、持ち出しでやるよりはずっと経済的なので、他のマーケティング方法と比べると格段に優位性が高い。このスキームを使ったコンテンツマーケティングというものは、今後も増えていくのではないだろうか。 トヨタのサイトに「DRIVE-GO-ROUND | TOYOTOWN トヨタウン」というコンテンツがあった。それを見て、ものすごくインスパイアされた。 DRIVE-GO-ROUND | TOYOTOWN トヨタウン これは、走る車から撮影した動画を、ドラッグで360度動かせるというものだ。Googleストリートビューの動画版といったところだろうか。 ぼくは、以前から「映像は空間を写し取るメディア」だと思っていて、そのダイナミズムが端的に表れるのが「移動撮影」だ。だから、車から流れる景色を写すというのは最も本質的な映像の一つなのだけれど、それを360度ぐるりと見渡せるというのは、これはもう究極の映像ではないかと思った。 しかも、そこで写すのが「夕暮れの首都高」という、車で走るには最も魅力的な空間なのだ。ぼくはもう車を手放して10年くらいになるのだが、また車を買って首都高を走りたくなったほどだ。 そこでハッと気づかされたことがあった。 ぼくはおそらく、夕暮れの首都高を走るということの魅力を、そんじょそこらの広告マンより知っているのではないか。そして今なら、手持ちのAV機器を駆使すれば、それを映像コンテンツとして表現することができるのではないか。しかもそれをYouTubeにアップすれば、それは車のマーケティングにつながるのではないか。 佐藤雅彦さんの本(中村至男さんと共著)に「勝手に広告」というのがある。これは、佐藤さんがこれと思った商品を勝手に広告する――という雑誌連載を一冊にまとめた本だ。 この手法を、KindleやYouTubeでやってみる――というのは面白いのではないかと思った。KindleとYouTubeを使って、ぼくが惚れ込んだ商品をとことんまでマーケティング(宣伝)する。そうして、やがてその商品の製造元から報酬をもらうような仕組みを作る――そういうことができるのではないだろうか。 例えば、ぼくは今年タイに行ってきたのだが、この旅行ははっきりいってとても面白かった。 追憶のタイ(食べ物)旅行記(2,706字) 何が面白かったかというと、旅行の企画そのものが面白かった。行く場所や行ったレストラン、泊まったホテルのチョイスが良かったのだ。 これは、ぼくがタイのことを他の人よりちょっとだけ知っていたからというのが大きいだろう(以前に住んでいた経験を活かした)。だから、ぼくがタイ旅行のことを宣伝すれば、けっこう気の利いたものができるのではないか。特に、ぼくが行ったレストランや泊まったホテルを、本や動画で魅力的に紹介すれば、それに引かれて、けっこうお客さんが来るのではないかと思った。 こういうことを、KindleやYouTubeでやってもいいのではないか。特に車や不動産のように単価の高いものだと、それはけっこう大きな収入になるのではないか。 ただしそこで気をつけなければならないのは、「色んなものに手を出す」ということだ。そうすることで、逆に宣伝くさくなり、コンテンツとしての価値が下がってしまう。 「Hikakin TV」などは最近そうなりつつあり、つまらなく感じてしまう。だから、そこは難しいバランスだと思った。 Hikakin TV
『もしドラ』作者の岩崎夏海です。このブロマガでは、主に社会の考察や、出版をはじめとするエンターテインメントビジネスについて書いています。写真は2018年に生まれた長女です。
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