ぼくは今、ワタナベコメディスクールというお笑い養成所で講師の仕事をしている。もう5年以上教えているのだが、そこで生徒たちと話していると、本当に教えられることが多い。 なぜかというと、彼らはいくつもの欠点を持っている。その欠点を目の当たりにさせられることで、「こうしてはいけないのだ」ということが分かるのだ。彼らは、格好の「反面教師」なのである。 先日も、そんな彼らに教えられるできごとがあった。今日はそのことについて書きたい。 ワタナベコメディスクールの生徒たちの多くが有する欠点の一つに、「演技について真剣に考えない」というのがある。彼らのほとんどが、「お笑い芸人を目指す自分たちは演技とは無関係だ」と考えているのだ。 そのため、舞台を見ないのはもちろんのこと、映画も見ないし、テレビのドラマすら見ない。およそ、人が演技をするというところを見ないのである。 しかしながら、たとえお笑いであっても、人前で何かを