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dai次さん のコメント

そうして「成長」した昨今のコメディアン達、つまらないですよ。
学ぶ過程において素直さが重要であることはそのとおりでしょう。
でも学ぶ対象が、無批判に信じる対象が、「本物」である保証がどこにあるんです?
むしろ若者の夢を食い物にする手合が溢れかえっている様に思えるんですけどね。
No.5
128ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
ぼくは、今年の4月でもう丸5年、「ワタナベコメディスクール」というお笑い養成所で講師の仕事をしている。その中で、たくさんの生徒たちを見てきたのだが、そこには成長する生徒がいる一方、ちっとも成長しない生徒もいた。 そうした状況を見ていると、考えずにいられないのが「成長する人としない人の差はなんだろう?」ということだ。また、「どうすればより多くの生徒を成長させることができるか?」ということも考えてきた。 すると、そこで見えてきたのは、成長する生徒は持っているが、成長しない生徒は持っていない、ある一つのスキルが存在する――ということだった。 そこで今回は、その「ある一つのスキル」について、書いてみたい。 成長する人は持っており、成長しない人は持っていない、ある一つのスキル――それは「素直さ」だ。素直な生徒は成長するし、素直ではない生徒は成長しない。 ただしこれは、何もぼくだけが見つけた秘訣というわけではない。古今東西、あらゆる指導者が「成長する生徒は素直さを持っている」と答えている。 それも、言われたことを何の疑問も持たずに受け入れる「純度の高い素直さ」だ。言い換えれば「他者を信じる心」である。指導者の言葉を信じ、それを無批判に受け入れる人――いうなれば「信者」こそが、最も成長できるタイプなのだ。 ところが、「信者」というと、今はネガティブな意味に受け取る人が多い。何事も「無批判に受け入れること」は良くないとされ、大人はもちろん子供たちにも「万事疑ってかかれ」と推奨する人がたくさんいる。 さらには、学校で「どうしてこの勉強が必要なのですか?」と尋ねる子供も多いという。それは、なぜ必要かを理解していないと、身を入れて勉強できないからというのだ。 確かに、疑り深い人が「なぜ必要か」を理解しないまま勉強しても、集中できないだろう。だから教師には、生徒にそう尋ねられたら、ちゃんと答えることが求められているそうだ。 しかしながら、そういう質問をした生徒というのは、ちっとも成長しないらしい。 なぜか? それは、実に簡単な理屈だった。 人間にとって「成長」というのは、理解できないことが理解できるようになる――ということなのだ。例えば数学では、「こういう解き方をしたらこの問題が解ける」というのを理解できるようになることが、本当の意味での「成長」なのである。 そして、それが理解できるようになるためには、実際にやってみるしかない。やってみて初めて「なるほど、こういう解き方ができるんだ」と理解できる。 逆に言えば、それをやらなくても理解できるのなら、それはもうすでに「身についている」ということなのだ。だから、わざわざやってみる必要がないのである。 つまり人間は、必要だと理解できることを学んでも、ちっとも成長につながらないのだ。その逆に、必要性を理解できないものをやってみて、初めて成長できるのである。 だから、人が成長するためには、「理解できないこと」をそのまま受け入れる必要がある。そして、そこにおいて必要なのが「信じる力」なのである。 「なぜかは分からないが、この人の言うことなら信じられる」と、言われたことを無批判に受け入れることこそが、その人の成長のきっかけになる。それゆえ、素直な人ほど成長しやすく、疑り深い人はなかなか成長できないのだ。 一方、そこで教師に求められるのは、「教え子たちに信じさせる力」ということになる。それは、ある種の威厳やカリスマ性だ。生徒が仰ぎ見るような風格が、指導者には求められるのである。 そこでぼくは、お笑い養成所の講師を続ける中で、そうした威厳やカリスマ性を育むようにしてきた。しかし、それはなかなか困難な道のりだった。 なぜなら、それまでぼくは、そうしたものはむしろ身につけないようにしてきたからだ。それらを身につけてしまうと、自分自身が成長できなくなるという危惧があった。そのため、極力敬遠してきたのだ。 しかし、生徒たちを成長させなければならないという課題に直面し、そうも言っていられなくなった。そこで、それまでの考えを改めて、身につける努力したのである。 すると、そこで初めて、「人に教える」ということの意味が理解できた。ぼく自身も、ぼく自身が理解できないことをやってみることで、初めてそれを理解できるようなったのだ。つまり、ぼく自身もそこで、指導者として成長することができたのである。 それが分かってから、ぼくはさらに「人に教える」ということに興味を抱くようになった。そうして来月(2014年7月)からは、新たに私塾を開講し、そこでクリエイティブやエンターテインメントについて教えることになった。 『岩崎夏海クリエイター塾』 なぜこれを始めたかといえば、そういうふうに教え、教えられる場というのは、双方が素直さを発揮して成長できたとき、他とは比べものにならないほどクリエイティブな空間になるからだ。それは、通常の創作活動をする中では絶対に味わえない体験である。 そのため、もしご興味のある方は、ぜひ参加していただけたらと思う。そうして、ともにクリエイティブな空間を構築していくことで、クリエイティブの神髄を味わっていけたらと考えている。
ハックルベリーに会いに行く
『もしドラ』作者の岩崎夏海です。このブロマガでは、主に社会の考察や、出版をはじめとするエンターテインメントビジネスについて書いています。写真は2018年に生まれた長女です。