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Vol.313 結城浩/数式を見ると頭が真っ白/「本を書く生活」の良し悪し/どんな部下が欲しいか/
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Vol.313 結城浩/数式を見ると頭が真っ白/「本を書く生活」の良し悪し/どんな部下が欲しいか/

2018-03-27 07:00
    Vol.313 結城浩/数式を見ると頭が真っ白/「本を書く生活」の良し悪し/どんな部下が欲しいか/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年3月27日 Vol.313

    はじめに

    結城浩です。

    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

     * * *

    『数学ガール/ポアンカレ予想』の話。

    先日、ようやく再校読み合わせが終わりました。

    これで、原稿に関して結城の仕事はほぼ終わり。 あとは4月中旬の刊行を待つばかりとなりました。

    2012年に『数学ガール/ガロア理論』を出してから、 今年で六年目。 「数学ガール」の新作の刊行はほんとうにうれしいです。 応援を感謝します!

    刊行の記念に、 《サイン本無料プレゼント》を個人的に企画しています。 ぜひ、以下のリンクをお読みの上、ご応募ください!

     ◆『数学ガール/ポアンカレ予想』《サイン本無料プレゼント》
     https://snap.textfile.org/20180314090041/

    刊行開始よりも前に抽選を行いますので、 すでに書店さんへご予約なさった方もご応募してくださいね。

     * * *

    桜の話。

    この季節、 散歩していると「この樹も桜だったんだ」と気付くことが多いですね。 桜はいつもは目立たないけれど、一年に一度おおきな注目を浴びる木。

     私「おお、桜よ。また今年も会えたね!」
     桜「私はずっとここにいるのですが」

    そんな対話がはじまりそうな、そんな春の日です。

     * * *

    「古今和歌集を読む」の話。

    『数学ガール/ポアンカレ予想』がだいぶ落ち着いてきたせいなのか、 ずいぶん以前に始めた「古今和歌集を読む」という企画を少し進行。

    ふと「古今和歌集」を検索したところ、 Wikipediaのページの次に来てやや焦っています。 これはnote(ノート)のSEOが優れているということなのでしょうか。

     ◆古今和歌集を読む
     https://mm.hyuki.net/m/mfa4fe40c022b

     ◆Googleで「古今和歌集」を検索(スクリーンショット)

    2018-03-24_kokin.png

    それはさておき、この「古今和歌集を読む」というのは、 2014年の秋に結城が突発的に始めたものです。

    古今和歌集には千首以上の歌がありますので、 全部読むわけではありません。 自分の気に入ったものをピックアップして、 それに簡単な解説を付けた形になっています。

    「結城メルマガ」のVol.131には、 この企画を始めたときの記録が残っていました。 それによると、

     ・親しみやすい歌
     ・読みやすい歌

    を中心にして、

     ・「歌そのもの」を前面に出す。
     ・「現代語訳」で大づかみに内容を理解する。
     ・「古語の説明」と「文法事項」で各要素を理解する。

    という構成にしようと思っていたようですね。

    これまでに、約40首ほどを読んでいます。 結城は専門家ではありませんので、 古語辞典を引き引き読んでいる状況です。

    それにしても、高校時代(頭が柔らかい時代)に、 もっとたくさん古文に触れ、暗記していたら良かったなあ…… と思わないではありません。

    古文を暗記するのは、有名な言い回しや例文をたくさん頭に入れるということ。 それは勉強のときにとても役に立ちますし、 文法を学ぶときにも役に立ちます。 そうそう、文法の活用ももっと暗記しておけばよかったですねえ。

    高校のときにしっかり覚えたことは、 三十年以上経ったいまでも忘れません。 カ行変格活用とか、係り結びとか、 「だに・すら」と「さへ」の違いとか、 「瀬を早み」の「み」とか。

    高校生当時に覚えた文法知識だけでも、 古今和歌集のいろんな歌を読んで楽しめるのですから、 もっと覚えていたら、もっと楽しめただろうなあ(反実仮想)。

    さいわいお婆ちゃんが百人一首好きだったので、 いくつも一緒に歌を覚えました。あれは楽しかったですね。

    いまはもう暗記ものは無理な歳になってしまいました。 古今和歌集を読み解いて楽しむけれど、 個々の歌を暗記するまでは無理。 せいぜい「言い回しを覚える」のが限度ですね。

    でも、少しずつ楽しんでいきたいと思います。

     ◆古今和歌集を読む
     https://mm.hyuki.net/m/mfa4fe40c022b

     * * *

    重版の話。

    先日、編集部から重版の連絡がありました。 何と三冊が同時重版となりました!

     『数学ガール』29刷(初版2007年)
     『数学ガール/ガロア理論』5刷(初版2012年)
     『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』3刷(初版2015年)

    同時重版となったのは新刊『数学ガール/ポアンカレ予想』 が刊行されるタイミングがあるからでしょう。 新刊が出ると既刊本も動くので、 出版社さんは売り切れ状態を作らないように考えるのですね。

    ともかく、最初の『数学ガール』は2007年初版なので、 今年でシリーズ11年目。ロングセラーとなっています。 読者さんの継続的な応援に心から感謝します! \重版出来!/

     * * *

    日本に不安を感じる高校生の話。

    質問

    高校生です。 漠然とした質問で申し訳ありません。

    今後の日本に大きな不安を感じています。 どうしたらいいでしょうか……

    回答

    あなたがやることは明確です。

    広い意味で、自分を育てましょう。

    さまざまな本をよく読み、 自分の頭できちんと考え、 身体もしっかり鍛え、 豊かな心を持ちましょう。

    将来の日本をあなたが支えるにしろ、 日本から出て行くにしろ、 自分を育てておく必要があるからです。

    世の中にはいろんな人がいます。 あなたの不安につけこむ人もたくさんいます。 そのときに、 あなたはちゃんと判断できるかどうか。

    その判断力を身につけるには、 自分で自分を育てておく必要があります。 頭だけではなく、身体も、心も。

    応援しています。

     * * *

    面接官をしたときの話。

    もう何十年も前の話になりますが、 ある会社の面接官をしたことがあります。

    そのときには「具体的に尋ねる」という質問をよく行いました。 面接を受けに来た人はいろいろ自己アピールをしますよね。 そのアピールを受け取って具体的に深掘りしていくのです。

     「ものづくりが好きなんです」

    と言われたら、

     「どんなものを作りますか」

    と尋ねます。また、

     「グループのムードメーカーだと言われます」

    というアピールを聞いたなら、

     「たとえばどんなエピソードがありますか」

    と尋ねます。

    本当に自分の経験として持っている人は、 具体的なことを尋ねると目を輝かせて答えてくれます。 でも、面接用の対策として話を盛っている人は、 答えが次第にあやふやになってしまいます。

    深掘りしていくというのは、 負荷を掛ける面接ではありません。 アピールポイントを具体的に尋ねることで肉付けし、 より明確に自己アピールができるように手助けすることです。

    面接で自己紹介・自己アピールするときには、 「抽象的・一般的な表現」と、 「具体的・個別的な表現」の両方を準備しておくのは、 悪くはないと思います。

    たとえば、「ものづくりが好きです」というのは、 抽象的・一般的なアピールです。 それに対して「子供のころ●●を組み立てました。 最近は△△を作っています」というのは、 具体的・個別的なアピールになります。

    面接を受ける人の自己アピールというのは、 面接官に対して「私はこういう人です」 ということをはっきり伝えるのが目的です。 ですから、抽象的・一般的な表現だけだと 「物語の人物設定」を読んでるみたいになってしまいます。 具体的・個別的なエピソードがあってこそ、 その人らしさが表現されると思います。

    面接官は多数の学生を相手にしているので、 「ありがちなアピール」や、 「面接指南書に書かれているような表現」は、 聞き飽きているはずです。 聞き飽きたという顔はしないでしょうけれど。 私がとある会社の面接官をしたときには、 来る学生が異口同音に、 「私はものづくりが小さい頃から好き」 というアピールをしていました。 その時点ではまったく差別化されません。

    でも、深掘りして具体的なエピソードを尋ねていくと、 各人の考え方や物事への取り組み方が、 驚くほどはっきりわかるものなのです。

    これから就職活動をする方が、 適切な自己アピールをすることができ、 ぴったり合った仕事に出会えますように!

     * * *

    それではそろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。

    今回は、生徒の側の「わからない」と、 先生の側の「わからない」が並んだ回になりました。

    前者は「学ぶときの心がけ」に、 後者は「教えるときの心がけ」に置きました。

    どうぞ、ごゆっくりお読みください!

    目次

    • はじめに
    • 数式を見ると頭が真っ白になってしまいます - 学ぶときの心がけ
    • 「本を書く生活」の良し悪し - 本を書く心がけ
    • どんな部下が欲しいか - 仕事の心がけ
    • おわりに
     
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