Vol.684 結城浩/NotebookLMがつくる新しい学びのかたち/ChatGPTで文章作成(5)クリエイタに求められる「抽象度」の変化/数式交じりの文章を書く

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2025年5月6日 Vol.684


はじめに

おはようございます。

最近の結城メルマガの話。

最近の結城メルマガでは、ChatGPTをはじめとする生成AIに関連する話題が多くなっています。今回もNotebookLMで勉強する話やChatGPTで文章を書く話が話題になっています。

この話題はまだまだ展開できそうだと思っています。結城は毎日いろんな活動をしていますが、その中で生成AIをどのように使えばいいのかを考える割合が高くなっています。この結城メルマガでは、そうやって行っている活動や思考のようすを一週間単位でスナップショットとっているみたいですね。

結城はそれを大変まっとうな話だと思っています。私はつねづね、自分の活動はそのつどまとめていくべきだと考えているからです。この結城メルマガという個人メディアは「現時点での私」の一つの側面をまとめたものだといえそうです。

結城の活動のメインは書籍執筆にあると思っていますし、もちろんそちらには時間と労力を割いています。でも、私の関心事は多岐に渡っています。大きなものもあれば、小さなものもあります。それらをいい感じに結城メルマガという枠組みに収めていければいいなと思っています。

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AI時代に気をつけたいことの話。

どんな技能でも、練習しないと衰えていくものです。

キーボードを日常的に使うようになり、ほとんど手書きをしなくなった人は多いと思います。その影響で、簡単な漢字も書けなくなっている経験も多くの人がしているのではないでしょうか。少なくとも私はそうです。

そこから考えて、便利なAIを日常的に使うようになったことで、自分が持っていた技能のうち何が衰えつつあるのか。それには十分注意を払ったほうがいいのかもしれません。簡単な漢字を書けなくなるのとは違う次元の技能を失ってしまう危険性がありそうだからです。

筋力が衰えるのを防ぐために筋トレをするのと同じように、AIを使うことで衰えがちな部分を意識的に訓練しなくてはいけない。すでにそういう時代に入っているといえそうです。自分のどんな能力が失われつつあるのかに意識を向けないとまずいのかもしれません。

ふと、そんなことを思いました。

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「仮想的なオンライン自習室」の話。

先日YouTubeで「オンライン自習室」というライブ動画を見つけました。チャットを使って仮想的に「入退室」ができる自習室に見立てたもののようです。部屋の表示が自動的に変わり、着席したみたいな雰囲気があります。この発想はおもしろいですね。

なお、結城はこのチャンネルとは無関係ですし、利用したこともありません。ご了承ください。

◆【ライブ】オンライン自習室 -
https://www.youtube.com/watch?v=AvGbepg86JA

仮想的な自習室といえば、結城はずいぶん以前に「結城浩のもくもく会」というシンプルなWebサービスを作ったことがあります。現在も動きます。これはTwitter(現X)を「作業開始」と「作業終了」を宣言する場所に見立て、もくもくと作業をするためのものです。

◆結城浩のもくもく会
https://mokumokukai.hyuki.net/

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シチリアーナの話。

レスピーギが編曲したシチリアーナは、いつ誰のどんな演奏を聴いても切ない気持ちになります。

たいへん有名な曲ですが、もしあなたがいままでお聴きになったことがないなら、ぜひお聴きください。

◆レスピーギ: リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲:シチリアーナ - YouTube
https://youtu.be/nc9yLxrFoVc

Wikipediaにはシチリアーナという舞曲全般の解説として「ためらいがちにたゆとう曲想と付点リズムが特徴的」という表現があり、これは本当にその通りと思います。

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「談話室」の話。

結城は「談話室」という「ビデオをオフにした状態でZoomを使い、二人で自由におしゃべりするネット企画」を行っています。そこで交わされた対話は「ここだけの話」ということでプライベートに保たれ、公開はしないのですが、概要は参加者の許可を得てネットで公開しています。

2025年5月3日(土)の「結城浩の談話室」では、ソフトウェアの会社で若手の指導もしている30代のエンジニア男性とお話ししました。

生成AIと仕事との関わり、仕事における責任の考え方、問題解決の方法、時代につれて変化するもの/しないもの、現在のSNSやWebに思うことなどをじっくり話し合うことができました。

楽しくて、しかも考えさせられる刺激的な時間を感謝します!

◆結城浩の談話室
https://chatroom.hyuki.com

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それでは今週のメルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。


目次

  • Web連載《読み放題プラン》と書籍の違い
  • 数式が含まれる文章を書くときの手順 - 文章を書く心がけ
  • NotebookLMがつくる新しい学びのかたちを考えてみよう
  • ChatGPTで文章作成(5)クリエイタに求められる「抽象度」の変化

Web連載《読み放題プラン》と書籍の違い

質問

Web連載「数学ガールの秘密ノート」は、ひと月500円で過去の記事がすべて読み放題とのことですが、書籍化されたものもすべて読めるということでしょうか。

回答

ご質問ありがとうございます。

Web連載「数学ガールの秘密ノート」はあなたのおっしゃる通り、ひと月500円で過去の記事がすべて読み放題になります。その中には書籍化された「秘密ノート」や「物理ノート」シリーズの執筆でベースとした記事も含まれています。

ただし、本屋さんに並んでいる書籍版では、たくさんの加筆と修正がなされていますし、図版もかなり異なっています。また、Web版にはない「練習問題」と「解答」があり、さらに「研究問題」なども加筆しています。

その一方で、Web版の方には書籍版では削除された話題が含まれている場合もあります。また、Web版には将来的にも本になりにくい内容のものもたくさん含まれています。

ということで「ひと月500円で、本の内容がすべて読める」というわけではありません。内容的に重なりはあるものの、Web版と書籍版は異なるものとなります。

◆読み放題プランへのご参加について - Web連載「数学ガールの秘密ノート」
https://girlnote.hyuki.com/article/subscribe/

なお、Web連載は現在オフシーズンになっていて更新はしばらくありません。再開は以下の「お知らせメール」でお伝えしますので、よろしければご登録ください。

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