結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年9月10日 Vol.076
はじめに - 七年後
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
ニュースは2020年東京オリンピックの話題で持ちきりです。 結城の誕生年は1963年ですから、1964年東京オリンピックのときは一歳。 それでも何となく覚えているような気がするのは、 あとからテレビで何度も見たからでしょうか。 確か我が家でもカラーテレビを買ったはずです。 妙に赤いジャケットが記憶に残っています。 東京オリンピックが再びやってくるとは驚きです。
オリンピックについては特に新しい情報も意見もありませんが、 各方面の方々がこれをきっかけに良い動きをしてくださるとうれしいなと思います。
オリンピックそのものよりも「七年後」という概念に考えさせられます。 七年後、自分は何をしているんだろう(とか)。そもそも生きているのかな(とか)。 何冊本を書けるだろう(とか)。子供たちはどうしているだろう(とか)。 七年後なんて想像つきません。
想像つかないのですが「何かが変化している」のはまちがいないですね。 大人は大きな変化はないかもしれません、でも子供は? オリンピックが東京で開かれるというニュースの中で、 たくさんのスポーツジムの子供たちの笑顔が映りました。 いまは幼いこの子供たちも七年後には大きく成長しているのでしょう。
結城自身はスポーツマンでもありませんし、 スポーツに造詣が深いわけでもありませんが、 子供たちに励みとなる目標があるのは良いことだと感じます。
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別の話題。
七日前、CodeIQのクロッシング問題の採点とフィードバックを行いました。 いつもは100名、200名くらいの解答者なのですが、 今回は432名と非常に多くの解答をいただきました。うれしいです。
前回の「ディーペスト問題」が大がかり過ぎたので、 今回の「クロッシング問題」は少々軽めに作りました。 こんなに多数の方に楽しんでいただけるとは。
解答の中には、みなさんが自由に感想を書いてくださるのですが、 アルゴリズムというものの力、プログラミングの楽しさを味わっておられる方が多く、 出題者としても大喜びです。
今回の「クロッシング問題」は、超難問というわけではなく、 手慣れた方なら、ちゃちゃっと解いてしまう問題です。 それでも、いろんな方々がそれぞれに試し、悩み、知恵を絞ってチャレンジする。 それはとてもワクワクすることですね!
クロッシング問題のようなものは、 それを解いたからといって何が起きるわけでもありません。 でも自分のマシンとともに力を尽くし、 プログラムを直すたびに何百倍もスピードアップする快感は格別です。 そんな感動をみなさんと分かち合えたらいいな、 と思いつつ問題を作っています。
そして、さらに。
このCodeIQの問題をいつか書籍の形でまとめたいという願いも強く持っています。 少しずつ準備はしているのですけれど、解決すべき課題が多くあり、 なかなか大変です。がんばらなくては。
CodeIQでは最高評価を出した人には「バッジ」が付与されます。 これは実際のバッジではなくサイト上で表示することができるものです。 実際のバッジという「もの」が手に入るわけではありませんが、
「やった!最高評価のバッジもらった!」
という喜びの声をTwitterでたくさん見かけました。 「評価を形にする」というのは大切なことなんだなあと思います。
そういえば、前回の問題でも記事を書いてくださった やねうらおさんが今回も詳しい記事を書いてくださいました。感謝です。
◆やねうらおさんのブログ
http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20130904#p1
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別の話題。
結城が書いている「数学ガール」シリーズは三作がコミック化されています。 その第三弾『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』をコミカライズした茉崎ミユキ先生のイラストを使って、 いわゆる「痛車」を作った方がいます(!)
しょいんさん(@shoin39)という方で、車のボンネットやドア全体で数学ガールたちが笑顔を振りまいています。 (しかも、指で1, 1, 2, 3のフィボナッチサインを出している……。背景にはペアノの公理が書かれている……) イラストは茉崎ミユキ先生の描きおろしだそうです。 これはすごい……
◆秋葉原UDX駐車場[痛車SNAP]NO:1019しょいんさん[神奈川県]数学ガール ミルカ&テトラ&ユーリ仕様 #TOYOTA カルディナ
http://akihabaraudxparking.blogspot.jp/2013/09/udxsnapno1019-toyota.html
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さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 今月は『数学ガールの誕生』が刊行される月ですので、 それに関連して「サイン本について」および「書名について」をお届けします。
また、前回予告したとおり「再発見の発想法」として、 Random Sampling(ランダムサンプリング)をお送りします。 こちらは技術評論社Software Design誌とのコラボ企画となっています。
それではどうぞお楽しみください!
目次
- はじめに - 七年後
- 本を書く心がけ - サイン本について
- 本を書く心がけ - 書名について
- 再発見の発想法 - Random Sampling(ランダムサンプリング)
- 次回予告 - フロー・ライティング