結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年1月28日 Vol.096
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。 いかがお過ごしですか?
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昨年2013年の前半にたくさん問題を出題したCodeIQですが、 今年も力を入れていきたいと思っています。 先週オープンした新しい《ジェムストリング問題》には、 早くも83名もの応募がありました。感謝です。
◆王女様の宝石パターンを見つけよう!《ジェムストリング問題》
https://bit.ly/gemstring
CodeIQというのは、IT技術者を主な対象とした問題を出すサイトで、 「出題された問題に解答する」というのがユーザサイドの主な活動になります。 技術者は自分の技術スキルを問題とフィードバックによってはかることができます。 また、問題の中には企業の採用に結びついているものがあり(「ウチに来ない?」問題)、 CodeIQの問題に答えて転職する方もいらっしゃいます。 実際に書いたコードを見た上で転職を決めるので、 採用する側にとってもされる側にとっても満足度が高い (ことが期待される)というわけですね。
それはそれとして、プログラムを書くというのは純粋に楽しいものですから、 出された問題にチャレンジすることで楽しみ、 またCodeIQを通じて他の技術者と交流することで楽しむ人も多いでしょう。
結城は主にアルゴリズムの問題を出していますが、 作問でも採点でも私自身がかなり勉強になっています。 多くのIT技術者がチャレンジする問題ですから、 おもしろくて有意義な題材を誤りなく提供したいと思っていますが、 そのような問題を作り、回答を採点するのはそれ自体よい経験ですね。
今回の問題の挑戦〆切は2014年2月12日。 プログラミング言語に依存しない問題ですので、 もしあなたがプログラムを書く方なら、ぜひチャレンジを!
◆CodeIQの問題に挑戦しよう! (結城のサイト)
http://www.hyuki.com/codeiq/
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さて、最近は「インクリメンタルな環境改善」を心がけています。 自分が普段仕事をしている環境をちょっぴりずつ改善していこうというものです。 ほんの小さな改善でも積み重ねたら大きくなることを期待して……
TODOファイルの自動表示
結城は、ふだんMacBook Airのターミナル上で作業をしています。 仕事ごとにディレクトリ(フォルダ)を分けています (仕事場を分けている感覚です)。
・『数学文章作法 推敲編』は、
~/doc/mw/ で執筆。
・『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』は、
~/doc/girl/note/doc3/ で執筆。
・Web連載は、
~/doc/girl/note/ で執筆。
・結城メルマガは、
~/doc/mm/doc/ で執筆。
それぞれのディレクトリに移動するためにはプロジェクト名がコマンドになっていて、 それを打つだけで自動的に場所を移動します (仕事場を移動している感覚です)。
$ mw と入力すると ~/doc/mw/ へ移動。
$ n3 と入力すると ~/doc/girl/note/doc3/ へ移動。
$ n と入力すると ~/doc/girl/note/ へ移動。
$ mm と入力すると ~/doc/mm/doc/ へ移動。
先日、そのコマンドすべてに、 「移動したらそのディレクトリにある TODO というファイルを表示する」 という機能を入れました。
ほんの小さな改善ですが、 これによって、
・前回どこまで作業が進んだか
・今回はどこから作業をするのか
・現在の問題点は何か
がすぐにわかるようになりました。
たとえば、コマンドラインから mm と入力したときの表示を以下に示します。 TODOファイルの内容が赤文字で表示されています。
◆コマンドラインから mm と入力したときの表示(TODOファイルの内容)
一文字のTODOファイル編集コマンド
さてそんな風にTODOが表示されるのは便利ですが、 さらに、
$ T と一文字コマンド入力すれば現在のディレクトリのTODOファイルを編集開始する
という機能を付けました。これはコマンドのalias機能を使いました。 このようにすると、TODOファイルを編集するのがすごく楽になります。
「TODOファイルの自動表示」にしても、 「一文字のTODOファイル編集コマンド」にしても、 とっても小さくて取るに足りない改善ではあります。 しかし、それでも自分の毎日の作業をちょっぴり気持ちよく、 ちょっぴり高速にしてくれるのは確かです。
Vimで自動コメントをオフに
ふだん結城が使っているVimというテキストエディタではデフォルトで 自動的にコメント文字列が挿入されます。 プログラムを書いているとき、コメントを連続的に書きやすくするための 機能だと思うのですが、私にはちょっとうるさく感じられました。
なので設定でオフにしようと思ったのですが、方法がわかりません。 Googleで検索してもわからなかったので「わからない」とTwitterでつぶやいていました。
すると、@rbtnn さんが「こうすればいいですよ」とTwitterで教えてくださいました。 とっても助かったので、同じような思いをしている人のために、 自分の得た情報をはてなダイアリーの記事にしました。
◆Vimで自動的にコメント文字列が挿入されるのをやめる方法(autocmdを使う)
http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20140122/vim
他の方の助けを借りて「インクリメンタルな環境改善」ができたなあ……と 喜んでいたところ、Perlのプログラムを書いているときだけうまくいきません。 オフにならないのです。
調べてもわからないので、時間を使うのはやめて放置していました。
ところが、結城の記事を見た id:mckn さんが「こうすればいいですよ」と はてなダイアリーのコメントで教えてくださいました。 とっても助かったので、その情報も合わせて記事を更新しました。
このような「インクリメンタルな環境改善」が、 多くの人の助けを借りて広がっていくのはとても気持ちのいいものですね。
結城はネットで多くの人に助けていただいています。 結城もさまざまな活動を通して恩返しをしていきたいと思っています。
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さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 今回のメインコンテンツは久しぶりの『数学文章作法 推敲編』で、 第5章「文章全体のバランス」をお届けします。
また、最近結城が運用していて、 とっても効果を上げている「色つき星取表」をご紹介します。
どうぞお楽しみください!
目次
- はじめに
- 自分の活動をざっくり把握する「色つき星取表」
- 数学文章作法 - 文章全体のバランス
- 次回予告