Vol.131 結城浩/講演準備はどうしているか/Distraction Free Editorを作ってみた/古今和歌集を読む/

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年9月29日 Vol.131

はじめに

おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

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来月(10月)刊行の『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』、 再校読み合わせが無事に終わりました。 もうこれで、内容に関して結城の手はほぼ離れました。

編集部では第三校(念校)を出して、最終チェックを行います。 編集部で解決できない問題があるときに限り、 結城に質問がやってきます。

ちなみにこのとき、内容に大きなミスがあると緊迫感が漂います。 修正する時間は多くありませんからね。

 ◆『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797375698/hyam-22/

あとはサイン本作成、レビューアさんに献本送付、 それから無料プレゼント当選者への送付など、 残っているのは楽しいプロセスばかりです。来月の刊行が楽しみ!

そして「数学ガールの秘密ノート」シリーズとしては、 五冊目の準備に入ることになります。 これもまた楽しみなお話です。

新刊、応援してくださいね!

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結城のアイコンの話。

先日、森下なづなさん(@naduna_m)が結城のアイコン「スレッドお化け坊や」の 「編みぐるみ」を作ってくださいました。以下です。

 ◆森下なづなさん(@naduna_m)による「スレッドお化け坊や」の編みぐるみ

2014-09-30_naduna_m.jpg

 ◆元ツイート
 https://twitter.com/naduna_m/status/513662166814052352/photo/1

小さくてすごくかわいいですね。足下(?)のフレア感がすばらしいです。 関連するツイートを以下にまとめました。

 ◆【3D化】結城浩のアイコン編みぐるみの作り方
 http://togetter.com/li/722274

上のまとめには森下さんが作ったくださった編み図もありますので、 編み物が好きな方は作ってみてはいかがでしょう。

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「スレッドお化け坊や」のアイコンを作るといえば、 数学ガールの「痛車」を作ったしょいんさん(@shoin39)が、 「ねんどろいど」とクレイを使って楽しいツイートをなさっていました。

 ◆スレッドお化け坊やと数学ガールのミルカさん

2014-09-30_shoin39.jpg

 ◆単連結な2次元閉多様体について語り合うオバケと饒舌ガール
 https://twitter.com/shoin39/status/514753052608180225

 ◆オバケ完成形
 http://twitpic.com/ec2n5y/full

楽しいツイートを、ありがとうございます!

 ◆しょいんさんの「痛車」(茉崎ミユキさんの書き下ろしイラストの車)
 http://akihabaraudxparking.blogspot.jp/2013/09/udxsnapno1019-toyota.html

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ここもふさん(@cocomoff)が、数学的なグラフを使って「スレッドお化け坊や」を描いてくださいました。 とっても楽しい! なかなかの力作です。

 ◆数学的なグラフで作った「スレッドお化け坊や」

2014-09-30_cocomoff.png

 ◆元ツイート
 https://twitter.com/cocomoff/status/515444217716281344/photo/1

折しも(?)季節はハロウィン。お化けの季節ですね。 あなたも結城のアイコン「スレッドお化け坊や」で何か作ってみませんか?

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さて。

なぜか最近急に「古今和歌集」を読み始めました。

以前から短歌には興味があったのですが、 ふと「そうだ、古今和歌集を読もう」と思い立って少しずつ読んでいます。

ただ読むだけではつまらないので、 自分で古語辞典を引いて現代語訳を作ろうと思います。

以下のnote(ノート)にまとめていますので、 ご興味のある方はフォローをお願いします。

 ◆古今和歌集を読む(結城浩)
 https://note.mu/hyuki/m/mfa4fe40c022b

これについては、後ほどもう少し詳しくお話しします。

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よい教育の話。

熊猫さん(@Shirokumahakase)のツイートの中にあった、 UCバークレーで「よい教育とは何ですか?」という質問への答えが秀逸でした。

 > 時代が求めている知識は、時代が変われば古くなる。
 > 私たちが学生に提供できるのは、
 > 問題を設定し、適切な手段で解決するその方法自体だと思っている

 ◆元のツイート
 https://twitter.com/Shirokumahakase/status/513347422630600704

これはすばらしい。 結城は今週末に講演会があるのですが、 そこで話そうとしていたことに通じるものがあります。結城は、

 教師の仕事は知識を伝えることではない。

とつねづね思っています。 ただ、もちろんこれはキャッチフレーズとしてはいいのですが、 厳密には言い過ぎです。具体的な知識を伝えることは必要ですから。

知識を伝えつつ、そのプロセスを通してもっと深く、広いものを伝える。 それが教師の仕事だと思っています。

たとえばそれは「問題解決の方法」だったり、 「物事の本質を捕らえて味わう体験」だったりします。 そのような一般化、普遍化がなされないとしたら、 教育というものは(教える方も学ぶ方も)つまらないでしょう。

そう思いませんか。

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Webの話。

前回の結城メルマガで「結城のWeb日記の文字コードはShift_JISで、 なかなかUTF-8に変えられない」ということを書いたのですが、 そう書いたことで意識がそちらに向かってしまいました。

つまり重い腰を上げて「どれ、じゃあ、UTF-8に変換するか」という気持ちになったのです。

現在のフォーマットで書いてあるのは、 2002年1月から2014年9月までの日記です。 一ヶ月で一つのHTMLファイルになっているので、全部で153ファイルあります。 といっても、結城はHTMLファイルを直接編集しているわけではなく、 自作のMakeWebという変換プログラムを作って生成しています。 ですから、MakeWebに入力する元ファイルを直すだけで済みます。 プログラムを少し直すだけで、変換は一瞬で終わりました。 こういうときはコンピュータの威力を痛感します。

ちなみにMakeWebというのは現代風にいえばMarkdownみたいなものですね。 もっと複雑ですけれど。

「変換は一瞬」と書きましたが、トラブルが起きることを予想して、 変換前にいったん全ファイルをバックアップします。 ファイルが壊れるなど、何か致命的なことが起きたら、 変換前の時点まで戻ることができるようにしておくのです。

こういうときは「ファイルを整理してからバックアップ取ろう」と考えちゃだめです。 ゴミファイルが残っていても、かならず「作業前」にバックアップ取るのがコツ。 現時点の状態を保全することが重要なのです。 整理中に誤って重要なファイルを消してしまうミスを防ぐためです。

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今週末には高校の数学の先生方を対象とした講演会を予定しています。 準備のスライドの骨子はほとんどできたので、今週は細かい修正を繰り返します。

講演会は一般の方は参加できないのですが、 以前の『数学ガールの特別授業』のように、今回の講演の内容も読み物の形にリライトし、 結城メルマガの読者さん向けに配信する予定です。 どうぞお楽しみに。

 ◆『数学ガールの特別授業』
 http://www.hyuki.com/girl/lesson.html

今週の講演会は、 『数学ガールの誕生』のときのように書籍の形にもまとめたいと思っています。 『数学ガールの誕生』のときは大学の先生と編集者が聴衆でしたが、 今回は高校の生徒と先生が聴衆ということで、まとまりもよさそうですよね!

 ◆『数学ガールの誕生』
 http://www.hyuki.com/girl/birth.html

講演に使うスライドとして、 結城はLaTeXを使ってプレゼンテーション用のPDFを作っています。 つまり、KeyNoteやPowerPointは使っていません。 講演会のスライド準備については、また後ほどお話しします。

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映画の話。

アラン・チューリングは、コンピュータに関わる人ならみな知っている数学者です。 コンピュータの理論的研究で必ず学ぶ「チューリングマシン」や、 人工知能の思考実験で登場する「チューリングテスト」にその名前が出てきますね。

そのチューリングの人生を描いた映画が来年2015年に公開されるようです。 主役は"Shirlock"で有名なベネディクト・カンバーバッチとのこと。

 ◆実在の天才数学者A・チューリングの数奇な人生描く映画、主演はB・カンバーバッチ
 http://www.cinra.net/news/20140916-theimitationgame

特に、数学的内容や計算機科学的内容がどう表現されるかにちょっと注目しています。

(期待しすぎてはいけませんが……)

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それでは、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 お楽しみください!

目次

  • はじめに
  • 講演の準備をする - 文章を書く心がけ
  • Distraction Free Editorを作ったお話 - 文章を書く心がけ
  • 古今和歌集を読む
  • おわりに